レース振り返り:2026年9月21日:信越五岳トレイルランニングレース100mile
<記録>
32時間40分44秒(制限時間33時間)
男女総合282位/完走323人中/出走747人中
完走率:43.2%
<距離>
大会発表:163km 累積標高:7100m
大会GPX:162.1km 累積標高:6918m
走行実測:161.4km 累積標高:6780m(coros vertix2)
<出場までの経過>
・信越五岳を知ったのは5年以上前で、いままで何度かエントリーを試みたものの、クリック合戦で敗けていた。その過程で「110kmよりも100mileのほうがエントリー受付終了までに少し時間がかかる(エントリーしやすいかも)」ことを知った。今回は最初から100mile狙いでエントリーしたところ、「宿泊なしプランならエントリー可能」だったので、登録した。エントリー完了したときには、正直、「あれ?通っちゃった?」と信じられない気持ちで、実感は湧かなかった。2026年4月の出来事だった。
・信越五岳の100mileは制限時間が厳しいと分かっていたので、完走できるかどうかは半信半疑。2023年に走ったUTMFは40時間かかり、そのうちエイドに使った5時間を引いたとしても、信越五岳の33時間には足りない。だから走力で補うしかない、これはエントリー時点で分かっていた。
・lake biwa100に出場するには、itraの100mileカテゴリーで500ポイント以上が求められるが、私はまだそこに達していない。そこで信越五岳の100mileで完走してitraポイントを上げたいという狙いもあった。
<大会前の練習記録>
2026/4:198km 5212mD+
2026/5:266km 10129mD+ (aso volcano出場)
2026/6:200km 2508mD+
2026/7:238km 4220mD+
2026/8:350km 5661mD+
2026/9:163km 3808mD+(ナタショウ出場。信越五岳前の記録。 )
信越五岳の準備レースは、5月のaso volcanoと、9月のナタショウ。本当は7月にもレースに出たり、試走に行ったりしたかったが、時間がとれなかった。
「暑さ対策」を意識していたので、8月は距離よりも「短時間でパッと終わる練習を"毎日"」やることを意識した。実際、8月に走った日数は30日に達した。
2026年4月からを振り返ってみると、そんなに多く練習したワケではないと分かる。せめて毎月300kmほしいと思うが、今回はこれ以上はムリだったとも思う。
<前日~当日に心掛けて良かったこと>
・体調の良い状態でスタートを迎えるために、2週間のカフェイン抜き、アルコール抜きを実施した。その上で、長距離移動があるので、スタート会場近くの宿に前泊した。可能な人は前泊したほうがいい。
・信越五岳セミナーで石川さんが言っていた「余計な事をしない」をとにかく守ろうと思い、実際にこれが一番良かった。前泊でも緊張して寝られないとか、時間があるからyou tubeやテレビを見るとか、そういうことをしたくなる。でも全部やめて、夜9時半には就寝した。レース当日も受付を済ませたあとは早々に移動して、車中で極力休むようにした。多少の緊張もあり、ずっと睡眠をとっていたワケではないけれど、余計なことはしなかった。本当は受付会場で写真を撮りたかったけれど、行列ができていたので、あきらめた。おかげでレース中に眠たくなることはなかった。
<靴>
nnormal tomir2.0 2024(スタート~黒姫までの99km)
nnormal kjerag2.0 2026(黒姫~フィニッシュまでの64km)
「kjerag2.0」が素晴らしかった。ラグは深くないのに、滑りそうな石でも滑らないし、安定しているから安心して足を任せられる。唯一「値段」がネックだけど。
<ポイント通過時間とエイド所要時間、エイドで食べたもの>
<持参した補給>
・食べ物:カロリーメイトゼリーと魚肉ソーセージだけを持ち、どちらかを1時間に100kcal摂取するだけで「ジェルは一切使わない」ことにした。 やはりロングトレイルではジェルは使わないほうがいい。結果、最後まで気持ち悪くなることなく、むしろお腹はペコペコになってエイドでしっかり食べられる状態で、最後まで行けた。
・飲み物:600mlボトル2つ。1本にはtop speed のultra mineral tabletを3粒いれ、もう1本にはgu roctaneのsummit tea(カフェイン入り)をいれる。スタート後、ultra mineral tablet はエイドにあったメダリストのクエン酸飲料で2粒いれる。これで飲み物からもカロリーを摂取することができた。
足攣り対策として、水分摂取が不足しないように努めたところ、対応が奏効し、足を攣ることはなかった。やはり水分摂取は大事だ。
<長野県の山とトレイル>
・今回はなにより「豪雨」のレースで、長野の山の保水力がハンパないことを思い知らされた。雨が上がったあとも、山の中は水が豊富で、標高が高い山中であっても至る所に川ができて、山中では水が流れる音ばかり聞こえた。トレイル自体が川になって、木道が水で完全に浮いている場所や、腰まで水に浸かるような場所もあった。暗くて見えないけれど、トレイルのすぐ隣に雨のせいで川ができて音が聞こえる場所もたくさんあった。
・トレイルはぬかるみだらけで、復旧はムリだろうと思ったほど、道は大量の泥と化していた。トレイルの元の姿が分からないけれど、普通の登山であれば絶対に進まない状況になっていたので、来年度以降も大丈夫なのか、スタッフの人たちは復旧に苦労するだろうなあ、と思った。
<ドロップバッグの使い方>
・ドロップバッグは、アパ53km地点と、黒姫99km地点に設置できた。補給食は数を事前に準備して入れるが、靴、靴下、ウェアは、天候を見て替えるタイミングを計る。
・アパ53km地点:「まだ雨が降っている」ことを想定して、靴や靴下は替えない。上のインナーとシャツは着替えた。
・黒姫99km地点:靴と靴下を交換。上のインナーとシャツも交換した。手袋、アームカバーも着けた。
<持っていて良かったもの>
・腰ライト:ライトは基本的にヘッドライトと腰ライトの2つを同時に使うスタイルで走った。天候から霧が出ている区間も長く、ヘッドライトで照らしても光が霧散してしまい、かえって前が見にくい。そんなときは、ヘッドライトを消して、腰ライトだけにすると、光が霧散することもなく、とても快適に走ることができた。
・手袋、アームカバー:分厚いものでなくてよいので、少し寒くなった場合に念のため持っておいた。これが2日目の夕方からとても役に立った。
・薄いウィンドシェル:これも分厚いものでなくてよいが、濡れたレインをずっと着ていたら冷えてしまっただろう。レインはザックにしまい、薄いウィンドシェルにしたら、ちょうどよかった。もしシェルがなかったら、戸隠あたりでは寒さで震えていただろう。
<走り:全般を通して>
・正直、細かなことは、あまり覚えていない。エイドの順番や名前は、レース前に覚えきれなかったし、関門も覚えられなかった。そんなことを覚えるより、とにかくレースに集中して、進むしかないという状況だった。
・希望としては、2日目の夜中1時くらいまでにゴールしたかった(30時間前後)が、33時間かかることも想定していた。そして、実際に33時間ギリギリになった。
・2日目の昼間も走ったはずなのに、夜があまりに長く、印象が強烈だったので、日中に走った記憶があまりない。そして走っているそばから「さっきどんなコースを走ったっけ」と忘れるほどで、エイドの名前も気にしていられなかった。
・「33時間ギリギリ」になったのは、最初から計算していたワケではないし、走りながら調整できたワケでもない。とにかく完走すると自分に言い聞かせて進んだら、結果的にギリギリでゴールできた、ということ。制限時間が絶妙なセッティングだったということ。以前、奥三河パワートレイルを走ったときも、制限時間に間に合うかどうかハラハラしていた気がする。石川弘樹さんプロデュースのレースだからかな、と走りながら感じた。
・今回は、「間に合うかどうか」ということが、ほとんどずっと頭の中を支配していた。前半の悪天候とぬかるんだトレイルがあまりに厳しかったので、「これでもしDNFになっても、完走できるイメージがまったく持てない状態になって、二度目のエントリーはしないだろうから、今回はぜったいに完走しなければならない」と思っていた。「間に合うか?」「絶対に完走したい!バックルもらうぞ!」この2つばかり、頭の中で繰り返していた。
<走り:スタート~アパまで>
・スタート時は、いつもの通りテンション低め。石川さんも「スタートで興奮してペースを上げないように」と言っていたので、ちょうど良かった。大雨の中で花火が上がるのを初めて見て綺麗だったけど、1つ2つ仰ぎ見るくらいにして、あえて「感動しない」ように心がけた。
・スタートからの大雨は、アパに着くまで続いた。その結果、山は水を含み、道はぬかるみ、足は膝下まで泥に浸かり、下りは転んだままお尻で滑ったほうが早く進めると思えるほどだった。私が転んだところに他の選手の足が来て手を踏まれたこともあったな。
・時間を気にしないレースであれば、この豪雨はアドベンチャー感があって楽しいもので、貴重な経験をさせてもらったと前向きになれると思った。ただ、どう考えても制限時間が頭をもたげる状況で、バンフ(19km地点 )に着いた時には「制限時間が延長される措置はないのか?」と思ったほど、周囲の進み具合は悪かった。赤池(33km地点)に私が到着したときは、係の人が「まだ2/3の選手がたどり着いておらず、山の中にいる」と言っていたが、完走を目指すならすぐ次に進まなければ間に合わないことが明らかだった。あとから振り返ると、やはりアパ(53km地点)までに、200人以上がリタイアしている。あの天候とトレイルの状況では、当然の結果だなと思った。
・とはいえ、冷静に考えると制限時間の延長はムリで、大会は予定通りに進めるしかない。なぜなら、ゴール地点のバス運行や、翌々日の表彰式まで時間が決まっているからだ。「時間延長の特別措置はありえない。だからどのような状況でも進むしかない。」と思っていた。
<走り:アパ以降>
・練習でも、レース前日も、アパに至るまでも、やれることは全部やったし、たとえばこれ以上ペースを上げるとかはムリな状況だった。だから「もしこれでどこか関門アウトになっても、仕方がない。だから関門アウトになるまでは、とにかく前に進む。自分の意思では絶対に止めない。」と思うことができた。
・アパに着いて空を見上げたら星が出ていた。これ以降は雨が上がると読んで、レインをしまい、ドロップバッグから上だけ着替えたところ、これが大当たり。せっかく着替えたのに、濡れたレインを着ていたら、身体が冷えてしまうところだった。
・太陽が昇ったが、明るい時間の記憶がない。コースを覚えていなかったので、「チャンピョンゲレンデ」がどこなのかも分からず通り過ぎた。
・「上り」は確かにあるが、全体的には下り基調で、それは後半になっても変わらなかった。
・私設エイド?で、石川弘樹さんがいらっしゃって、応援してくれた。これが本当に嬉しかった。パワートレイルのときもゴール前の参道に弘樹さんがいてビックリしたなあ。
・エイドに着くごとに、お腹がペコペコだったので、腸の調子は良くて助かった。「ジェルを一切使わない」のはロングトレイルでは良いようだ。お腹がすき過ぎないようにするために、補給は「米」でも良いかもと思った。
<走り:戸隠スキー場~飯縄林道~フィニッシュ>
・後半になると、山の中の1kmが、信じられないほど遠く感じた。スタッフがいろいろな場所で「エイドまであと3kmです」「あと1kmで下りは終わりです」とか言ってくれる。普段ロードの3kmなんてすぐだし、1kmなんて5-6分なのに、山の中の1km、2km、3kmが、途方もなく遠く感じた。
・戸隠スキー場:夜中だが、このエイドでは蕎麦を5-6杯食べたほど、お腹が空いていた。そして寒かった。ウィンドシェルやアームカバーをしていなければ、寒さで動けなくなってリタイアしていたかもしれない。そして、あまり長く滞在しているとゴールに間に合わなくなるという自覚もあった。
・飯縄林道:ここまで来たら、もう最後はゴールに向かうだけ。ただし、ホッとしてはいけない。「飯縄林道からゴールまで2時間もかからない」とスタッフが言って、それを聞いて安心している選手がいたが、不必要なエイドの滞在がDNFの原因になる。そう思って、休憩することなくエイドを出発した。
・フィニッシュ前:時計が示す「残りの登り」は0mになったのに、まだ登っていると感じる。ゴールまでの距離もないはずなのに、まだ着かない。GPXが示す距離を当てにしていると、最後の最後でゴールまで実はもう少しあって「間に合わなかった」ということが起こりそうだと思った。だから、ゴールしたければ、本当に最後の最後まで気を抜いてはいけない、あきらめてはいけないレースだ、と感じた。
<フィニッシュ後>
・フィニッシュ会場は熱気に包まれていて、ゴールした安堵感で満たされたが、休憩できる部屋に一度入ってしまうと、外が非常に寒く感じられ、ブルブルと震えていた。足が痛くてトイレに行くのも億劫なので、水分は摂らず、ドロップバッグを回収して早々にバスに乗り込んだ。
・スタート地点近くに停めた車に戻り、朝6時過ぎまで車中で仮眠した。ホテルの風呂が使えるようになってから、風呂で汚れを落とした。
・表彰式およびバックル贈呈式の会場駐車場でまた仮眠。バックル贈呈式では、パワートレイルのTシャツを身に付け、石川弘樹さんに直接感謝の意を伝えることができて、1つ目標を果たすことができた。
・ゴール前までは「絶対にバックルもらうんだ!」と思ってそれが完走の励みになっていたのに、いざバックルをもらってしまうと、レース中の物欲はどこに消えたのかというほど。人間の感情は不思議だ。
・完走者には、後日、フィニッシュ時間が書かれた木製パネルが送られてくることをあとから知った。これは嬉しい誤算だ。
<ダメージ>
首の痛み、後頭部の痛み、脇の擦れ、前腿の筋肉痛(ひどくはない)、足趾3本の爪が剥がれた、足首の水ぶくれ。
・首の痛み:豪雨でトレイルが悪くて、ずっと足元ばかり見て同じ姿勢だったからか、首の後ろが痛くなり、首が回らなくなった。
・後頭部の痛み :帽子とヘッドライトの締め付けのせい
・脇の擦れ:テングバームを塗ったが、アームカバーをしたあとで脇が擦れるようになった。アームカバーをどこまで上げるか、工夫が必要だ。
・前腿の筋肉痛:ゲレンデの長い下りで使いすぎた。フォームの問題。
・足趾3本の爪が剥がれた:両小指趾は、長時間湿って、ふやけて、靴ずれを起こした。左拇指は、爪が長くて、靴に当たってしまい、爪の中に血豆ができた。足のケアをもっとやる必要がある。
・足首の水ぶくれ:今回のダメージで一番重症だった。原因は、泥が靴下の中まで入り込み、表皮と擦れてできたもの。エイドには足を洗う水が用意されていたのに、靴下の中までは洗わなかった。後半徐々に足が痛くなってきていたが、あとから思えばこの痛みだった。選手の中には、エイドで足をきれいにして、泥も落とし、ドライな状態を保っている人もいた。私は膝まで泥に浸かっても、そのまま放置していたし、黒姫でせっかく靴下と靴を新しくしたのに、そこであまり泥を落とさずに靴下を履いた。その結果、泥が乾いても靴下の中で皮膚と擦れ続け、傷つけることになった。
<写真とゴミ>
2023年のUTMFと同じく、レース中は写真を1枚も撮る余裕がなく、ゴミを拾う余裕もなかった(幸い、ゴミはあまり見かけなかったけど)。自分でも「余裕がない」という自覚があって、写真とゴミ拾いは諦めた。
<フィニッシュするために最も大事なもの>
・事前に大事なもの:周到な準備と、前日~当日に余計なことをしないこと
・当日に大事なもの:エイドは通過するところ。最後まであきらめないメンタル。
<次回、走るときに改善したい点>3つある。
1.あまり後ろからスタートしない。スタート後に抜かれることは気にせず、臆せず前のほうに並ぶ。
2.足についた泥をエイドで洗い流し、できれば足はドライに保つ。
3.エイド滞在時間の短縮(合計1時間30分以上かかっている・・・)
なによりも1と2を改善できるだけで、レース運びはかなり異なるものになったと反省している。
