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2023年10月31日火曜日

感染症予防計画の独自性

感染症予防計画策定の目的が、「連携すること」ではなく「独自性を出すこと」に少しずつ成り下がっている。

「作るのは、都道府県、保健所設置市、それぞれなのだから、独自の取り組みはなくていいのか?独自性を出せよ」と言われ、そのことが目的化していっている。

「独自性」とかいって、何かやれてる気になったところで、感染症に国境はない、県境もない、市町村すらないのだから、区市町村のそれは「独自の対応」ではなく「独りよがりの対応」になるだけだ。サービス充実させますとか、宿泊施設を使えるように大盤振る舞いしますとか、民間の会社とたくさん協定を結びます、とか。
もし何か独自の対応があるとすると、それは「できる対応」ではなく「できない対応」です。「うちの市町はとてもじゃないが独自にはできません、という独自性」を出して、計画から削る。そして連携協議会で助けてもらう、これが意味のある会議です。

一方で、「できることを増やす」独自性がそんなに大事なら"連携"協議会なんて要らないのだが、こーいう「そもそも論」って、とことん無視されるのよね。「うちはこんなに独自性の高い計画を作りました!と言うこと」が目的になっているので、本当に始末が悪い。独自性を出せば乗り切れる健康危機なら、そもそも計画なんて要らないじゃん。

そして取りまとめ役が不在な都道府県(特に保健所設置市をいくつか抱えるところ)では、上から言われる「独自性」と、現場で分かる「汎用性」とのせめぎ合いが起きる。こういうムダな作業は本当に疲れるし、何も生まない。私は「せめて担当者同士では、歩調を合わせましょうね」と言ってきたけれど、はたしてどこまで担当者が各々の現場で抗えるか。

「独自性を出すことが難しければ、せめて検査件数とか、職員数とか、目標値を上乗せできんか」という話にもなり、心底がっかりする。そんな数字遊びには何の意味もないことを、コロナ対応した保健所が一番分かっているからね。数字をかさ増しすると、今度は「その数字の根拠は?」なんて言われる。いや、数字を足せといったのはアンタやろ。

こんな作業が津々浦々で起こる「計画」の舞台裏。

都道府県レベルでも「これがうち独自の取り組みです」と、がんばっちゃうところが出てくる。でも、この感染症予防計画の成功例は、独自性など求めず、汎用性があるように計画は指針通りにさらっと作り、計画なんて置いておいて、いかに実際の連携を動かすかにフォーカスできる都道府県だと思う。

セカンドベストは、言われる通り独自性を盛り込んで(戦わず)、でも実際の都道府県内での連携を充実させること(いや、これが難しいんだけど)。
ようは「計画倒れの計画」にしたくないだけなんだけどね。

日本で、医療機関が受診拒否することが一般化しなければ、もうちょっとマシな計画(理念ばかりではなく実務の計画)になったとも思う。

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