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2022年8月16日火曜日

積極的疫学調査の罪:いつまで経っても施設も病院もハードルが下がらない

施設はすぐ救急車を呼ぶけど
搬送先なんてありません

SpO2が90%以下になって
DNARがとってあれば
受け入れ先がある「かも」です

DNARがなく「延命を望む」場合は
断られておしまいです

何度このくだりを繰り返していることか。

保健所が「命の選別をしている」みたいに言われるけれど
それは違います

この感染症の取り扱いのせいで
コロナ患者は施設からも病院からも疎まれ
結果「命の選別」をしているように見えるだけです

病院は
「残りわずかになった病床を、高齢者施設からの入院患者で埋めていいのか?」
と聞いてきます。

当たり前ですよね、コロナの取り扱いが変わらないままでは、
患者が特定の病院に集中し続けるのですから
「限りあるベッド」に入れる患者の優先順位を決めるしかない。

入院しても対症療法しかない
ましてや挿管なんてやりたくない(延命にしかならないから)。
毎日毎日、次々と施設で患者が出るたびに
特定の病院に運んでいては、病院が施設化してしまいます。
そうでなくても、すでに満床です。

これがコロナではなくてインフルなら
看取りをする施設はあるし、受け入れ病院はもっとあります。
コロナをこんな取り扱いにし続けているから、行き先がなくなります。

「高齢者施設は積極的疫学調査の価値がある」なんて、逆です。
高齢者施設こそ、そんな調査をやろうとしては
いつまで経っても施設も病院もハードルが下がらない。

施設内で1人出れば、何をしても10人は出ます。
小さな施設は全滅し、大きな施設は半分感染する。

「基本的な感染対策」なんて、まったく役に立ちません。
ゾーニングもコホーティングも不可能。
そーいう疾患なのです。

全室個室の病院ですら、院内感染は起こるでしょう?
「ハイリスク施設は感染対策を手厚くして乗り切ろう」
という発想自体を捨ててほしい。
あきらめてほしい。
だってcommon diseaseだもん。
ハイリスク施設に見かけ上だけ手厚くしても
結果は同じだもん。

この手厚さが、コロナ忌避を生んでいて、結果、施設の行き場を奪い、病院の資源を無駄遣いさせています。

本来
一次、二次、三次医療機関には
緑、黄、赤の患者が振り分けられる必要がありますが

いまは
三次医療機関に
緑、黄、赤のすべての患者が受診してしまっています

これを、「通常の」優先順位付けレベルに戻し
救命の律速段階を阻害しないためには
コロナも「通常の」診療に組み入れるべきだと思っています。

はじめから言ってるんだけど。

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