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2022年8月16日火曜日

第1波も第7波も見分けがつかないコロナ対応

施設やグループホーム、寮でコロナが出ると
「閉寮する」
「家に帰す」
って言われてしまう。これでは家に拡げるだけだ。見る人もいない家でもムリに帰される。こういう施設は、インフルでも同じ対応をするのだろうか。こんな対策、害しかない。

一方で、施設からは「毎月いままで往診に来てくれていたのに、コロナになったら来てくれなくなりました。SpO2は85%です。」という訴えも聞いたし、「下顎呼吸している、入院したい」とも言われました。・・・母体の病院に入院を断られたそうです。

二次医療機関とのやりとりでは
保健所から「90代のコロナ患者が施設で転倒し、頭部外傷を負った。受診希望しているので診てくれないか。」と受診相談したら
病院からは「頭部CTを撮ることは可能だが、90代ならまずDNARは必須である。もし手術適応で手術を希望されたら、本院ではコロナ患者の脳外科手術は対応できない。検査後に別の病院に紹介することはとても手間なので、手術希望があるなら最初から受け入れ不可である。だから『DNARがある、手術希望しない』ことが受ける条件である。」とのお答え。
こうやって、単純な頭部外傷すら、結局は指定医療機関に受診せざるを得なくなっている。
医療崩壊は最初から感染症対策の「結果」なのです。

さらに二次医療機関から
「発熱外来をストップします」と連絡がきました。
「もう職員がもたない、外来機能が維持できないから」とのこと。
仕方がないですよね。保険金目的で受診する患者が多すぎて通常の医療が提供できません。

三次医療機関からは
「土日は人手が足りなくて発生届を出せない。月曜でもいいか?」
と言われました。
ほらね、そりゃそーですよね。こんな数、いちいち書いてられないよね。全数把握には意味がないどころか、こんな状態では弊害しかありません。三次医療機関に余計な負担をかけているのですから。
それにもかかわらず、発生届を出してくれないと、今のシステムでは保健所以外がその後のフォローを誰もしないことになっています。そして保健所がフォローしていても、「SpO2 92~93%」でも「入院レベルじゃないから、うちでは診れない」と、言われる。これでは保健所が健康観察をする意味がない。

それどころか「施設入所中、93歳、大動脈解離になったコロナ濃厚接触者。ope適なし、看取りなので、入院させずに施設で看取りできないか?」なんて、三次医療機関から保健所に言われても困るワケです。

一方、厚労省からは「自主検査を増やし、陽性になったら自主療養できる制度を作れ」と言われる。こんなものは、もはや感染症対策でも何でもなく、保健所の仕事ではありません。

自主療養に「検査」は不要です。
熱や咳があればコロナであってもなくても自主療養すればよろしい。「重症化リスクがあるから検査が必要」なのでもない。治療が必要な人だけ検査すればよろしい。
そんなに証明書がほしけりゃ、健康フォローアップなんて保険会社にやらせればいい。
保健所の負担軽減と言いながら、確実に負担は増えています。

そもそも「検査」は鑑別診断のためにある。検査する価値は、治療に役立つかどうかで決まる。それにヒトヒト感染は「検査」をしても止められない。検査をすればいいってモノではない。

神奈川県は、仕方なく「検査→自主療養」という制度を早くから作ったが、本当はこんな制度すら不要であることを分かっている。分かっているけれど、国の感染症専門家会合がいつまで経っても「検査&隔離・全数把握」をやめないので、その逃げ道として「自主療養制度」をわざわざ作っているのです。
そうでもしないと、回らないから。

検査はもはや、入院させる病院が「部屋をどこにするかを決める指標」にしかなっていない。それでも「検査したい、検査キットがない」と言われる。
施設内でコロナが確認されたら、その後は次々と発症するが、もう「検査」なんてやっていられない。スクリーニングも対応できる数じゃない。「検査での確認ありき」をやっていては、どれだけ検査キットがあっても足りない。
「発症した人に検査する」これもキリがなく不可能です。検査して、陽性であっても、できることは何もなく、行き先も無いのだから。
最初から「検査の適応」を間違えてきた、それを修正せずにここまで来た結果です。検査適応は、現状に合わせて、入院させる病院が「部屋をどこにするかを決める指標」としてだけにすればいい。

日本の感染症対策には、最初から最後まで、プランがない。
未だに今後のプランがない。

相変わらずインフルとコロナの死亡率を比較して、まだ時期尚早とか言ってるけど、コロナ死の発表なんて「死因がコロナ」ではないからね。

ずっと同じことの繰り返し。
インパール作戦。

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