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2022年5月28日土曜日

「やる意味のない仕事」と「意味不明なプラクティス」

コロナに関して、積極的疫学調査や健康観察、受診調整や入院調整といった保健所のコロナ関連業務を、ほぼすべて外部委託することが可能なのなら、そもそも「そんな業務を保健所はやる必要性がない」ということです。
これだけ長期化し、患者が増えて、「調査」の価値がなくなっても、日本はコロナ騒動をまだ続けています。保健所には本来業務がありますし、やる意味のなくなった仕事をやり続けるのには、いくら求められても限界があります。だから「外部委託してしまえ」という発想になりますが、保健所が自前でやるよりも外部委託にする方が、業務負担は減るけれどビックリするほど高くつきます。
外部委託してしまうと、上手にさばくことはできても「こんな無意味なこと、やめようぜ」という改善策は出てこなくなります。とにかくこなせばいい、意味があるか否かは問わない、むしろ人件費が高くつくほど良い儲けになる、だから続ける、ということが起こります。特にコロナは、お金は国庫から払ってくれるから「まるごと全部、委託業者にやらせておけばいい」ってことになっています。
でも「そんな程度の業務」は、そもそも保健所の仕事ではありません。感染症対策の業務について、国が「外部委託していいよ」と言う、そんな程度の指示しか出せないのなら、そのうち厚労省も中身が外部委託になったりして、と思います。

国会も、地方自治も、教育機関も、研究機関も、中身は外部委託になったりして、と。

「国会が外部委託」

悲しいことに、まあそれでも良っか、とも思ってしまう自分がいますが、そんな「外部委託でも構わない」状況が「そもそもおかしい」のです。ただ、コロナ騒動には、そもそもおかしいって言えるブレーキ役を果たせる人がいません。意味がないからやめろ、と言うことができていません。
外部委託している首都圏の保健所のように、保健所職員がコロナ業務をやらなくていいっていうのは、ちょっとうらやましいけれど、公衆衛生本来の役割は、外部委託では果たせないと思っています。

そんな「やる意味のない仕事」をやらされ続けている背後で、ちまたの病院では「意味不明なプラクティス」が横行する結果になりました。

「濃厚接触者になった妊婦」
というだけで37週を越えたら帝王切開になる、どうせすぐ陽性になるから、だそうです。
自然分娩になっても新生児は"洗浄"されたうえ、検査で陰性確認される、産道を通ってくるから、だそうです("洗浄"にはさすがに耳を疑いました)。
母児とも検査陰性を確認したら、母児同室にする、陰性確認しても新生児室には置いておけないから、だそうです。

これは、何なのでしょう。

そもそもコロナ陽性妊婦が帝王切開になる意味が分からないし(スタッフは自然分娩に付き合い切れないんだって)、濃厚接触者であることが帝王切開の適応理由になるのも意味不明です。新生児の検査や取り扱いに関しては「モノ扱い」だと思います。
日本の現象は"コロナ対策"による社会的傷害罪、歴史的傷害罪です。コロナ陽性妊婦の帝王切開は"本当に緊急"ならば仕方がないけれど、大半は緊急と名のついた"予定"帝王切開です。「スタッフの感染管理」だの「母子ともに感染から助ける」だのというこれらは、ただの屁理屈です。
感染症専門家が大好きな"欧米"でも、妊婦がコロナであることを理由に帝王切開してるのでしょうか。陽性妊婦の療養が明けるまで新生児とは隔絶されるのでしょうか。新生児にもPCRするのでしょうか。

そこまでしなきゃならない"エビデンス"なんて、本当にあるのでしょうか。

日本の産婦人科のこのような態度を見ていると「総体としては、産婦人科は過去の優生保護法に手を貸してきた歴史を全く反省できていないんだな」と思ってしまいます。

コロナ妊婦や濃厚接触者妊婦を、問答無用で帝王切開する病院には、本当に困らされていますが、一方で、妊婦がコロナ陽性になったら途端に診察拒否をして基幹病院に丸投げする、そんな「かかりつけ産婦人科」にも、困らされています。病院がすぐ帝王切開するそもそもの問題は「かかりつけ産婦人科」にもあります。2年以上あったのに、いつまでも「コロナ陽性妊婦は診ません」という態度が通ると思う方がおかしいと思っています。
そのさらに上流には感染症法上の「そもそものコロナの取り扱い」がおかしいために、末端で患者さんの押し付け合いが続きます。感染症法のせいで、かかりつけ産婦人科に診察拒否できる口実を与えています。

そんなだから「コロナ的トリアージ」を保健所がやることに加えて、健康観察の名目で「産科的トリアージ」も保健所がやらされています。

でも、これって、不可能なんですよ

精神科的トリアージ:コロナになって死にたくなった人
耳鼻科的トリアージ:コロナだけど花粉症がしんどい人
小児科的トリアージ:うつろな1歳児
外科的トリアージ:腹痛の人
循環器的トリアージ:胸痛の人
脳外的トリアージ:頭痛の人
整形的トリアージ:立ち上がれなくなった人
皮膚科的トリアージ:急に皮疹が出た人
エトセトラエトセトラ

入院や治療の必要性の有無を、保健所が判断しなきゃいけない。そんな「科別トリアージ」を保健所に求められても、ムリです。だって、それは「医療機関の本来業務」なんですから。
「科別トリアージ」を保健所にやらせたところで、患者は不利益しか得られない。そりゃあ、事故るってもんです。コロナを根拠にした丸投げが過ぎます。

「帝王切開の事実上の強制」以外にも
二重マスク、面会制限、ルーチン検査
部屋の消毒、検査機器の使用制限、常時フルPPE
患者にガウンを着せる、などなど。

一体どれほどの「意味不明なプラクティス」が「感染対策」を言い訳にして横行しているのでしょうか。悪いことに、これらはエビデンスがなくても始めたプラクティスなので、撲滅することが大変困難です。「これをやめても大丈夫なエビデンスを示せ」なんていわれそうですしね。

マスクしかり、行動制限しかり、ワクチンしかり
始めてしまったものを「やめる」ことのほうが、大変です。

戦争と同じです。

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