2020年5月末の時点で、すでに分かっていた課題を述べます。
今後インフルシーズンが到来するときに、きっと日医あたりが「行政が体制整備を考えるべき」なんて言うでしょうから、あらかじめ言っておきます。
発熱患者が増えたときに、そんな「体制整備を考えるべきだ」論は、ただやってる感を出すだけの発言+責任転嫁です。
将来そんな発言は控えていただき、いまから体制整備に協力願いたい。
または、いまから「今年のインフルは診療しません」という合意形成を図っていただきたい。重症インフルを診る体制さえあれば、個人的にはそれでも良いと思っています。
課題1.新たな検査方法への対応
鼻咽頭のPCR検査は、唾液で検査可能になると、わざわざ検査センターなんか必要ではなくなります。一方で、検査容器の手配や、回収や、検体増加に伴う検査体制の強化という課題が出てきます。PCR検査では必ずどこかにボトルネックが発生するので、インフルのような簡易抗原検査がベターでしょう。まだ検査するのなら、ですが。
課題2.インフルエンザ流行期の対応
現状では、もっとも危ぶまれます。このままでは開業医はインフルエンザの検査もしませんし(臨床診断でもいいけど)、発熱患者自体を診てくれないかもしれません。かといって発熱患者全員に盲目的に抗インフルエンザ薬を処方はできないし、どのような対応をするのかが、今後の全国的な課題だと思われます。
だから「発熱外来を作ろう」と誰か必ず言い出しますが、そう簡単に作れませんので、難題です。たとえば1日600人の患者を捌くために発熱外来を4か所作っても、マンパワーはどこかから持ってくるしかないうえに、受け入れ自体がキャパオーバーな数です。
課題3.コロナが再度流行したときの、医療提供体制の整備。
結局、 医療機関がパンクするまでには至っていないので 、医療提供体制は未整備のままです(トリアージ機能、役割分担が未整備)。公立病院が頑張るしかない、という状況は、どの地域も同じでしょう。
課題4.コロナワクチン接種の検討
「もしワクチンが開発されたら」、それをどうやって住民に接種するか。
新型インフルエンザ対策のシミュレーションで「住民接種」のやり方をいままで検討してきたけれど、「ムリだよね」っていう結論しか出ていません。
接種会場や、接種するスタッフの確保だけを考えても、1日何人やれば住民接種が終わるのやら…。
生食ですら倒れる人がいるのに、未知のワクチンで実験的にやるのは、尻拭いのほうが大変です。
------
これらの課題で最も防ぎたいのは、インフルエンザ流行期の「インフル・コロナ関連死」です。発熱するのはインフルやコロナだけではないですから。
そう考えると、課題1、2、4は、実は些末なことなのかもしれません。
本当にリスクヘッジするべきは、課題3に関連したところにあるのかも。
0 件のコメント:
コメントを投稿