<OECD public health review:Japan>
OECDが日本の公衆衛生施策のレビューを実施したのは初めて。2017年から2年間、調査、分析した結果。
OECD雇用労働社会問題局医療課長:フランチェスカ コロンボ氏
出典:週刊保健衛生ニュース平成31年2月18日第1997号
OECDが日本の公衆衛生施策のレビューを実施したのは初めて。2017年から2年間、調査、分析した結果。
OECD雇用労働社会問題局医療課長:フランチェスカ コロンボ氏
出典:週刊保健衛生ニュース平成31年2月18日第1997号
【以下、上記出典から引用】
・アプローチの合理化が必要。どこに国民的なリスクがあるのかを特定し、リスクに対して、より強力に対応することが考えられる。以下、いくつかの改善点を上げる。
1.公衆衛生システムの強化:日本のシステムは地方分散型で、地方の責任のレベルが高いため、中央政府によるコーディネートが重要になる。同じような良好な結果をローカルレベルで享受できるようにしなければならない。欧州でも地方政府が権限を持つ国は多いが、不均衡な成果が生まれている場合がある。フィンランドは日本と似た地方分権のシステムを持っているが、地方で収集したデータをまとめて比較することで、地方政府で何がうまくいっているのかを分析している。また、様々な利害関係者を集めて会議を行い、より良い環境を共有できるようにしている。公衆衛生システムの強化に向けて、学べるものがあるのではないか。
2.一次予防戦略の強化・改善:健康日本21のもと、国民、企業、学校、地方自治体、中央政府が責任を持ち、生活習慣病予防を促進するための施策が行われていることが強み。ただ、もう少し優先度の高い課題に焦点を絞り、国民の健康を改善することができるのではないか。たばこ製品の販売規制の強化、食品パッケージへの教育的な表示の印刷、アルコール製品の販売・入手規制など、国民全体を対象としたより強い政策で一次予防を後押しすべき。
3.より的を絞った健康診断とスクリーニング:日本は例を見ないほど多くの健診が行われている。学校や職場、市町村など様々なところで提供されているが、そのすべてで費用対効果が良いのかどうかという疑問がある。過剰な検査が行われないよう検査を絞り込むとともに、とくにリスクの高い集団に対して行うことが必要。がん検診プログラムの強化が重要になる。より標準化された検診が地方自治体で実施されるよう、国レベルでのアプローチが求められる。
4.公衆衛生上の緊急事態への対応:非常に洗練されており、良好な法的枠組みもあるが、高齢者など脆弱なグループの健康リスクに注視すべき。公衆衛生上の緊急事態への備えを強化するためにも、関係機関の相互のモニタリング、情報共有、連携といったところで改善の余地がある。
・総評:市町村レベルでの公衆衛生施策の実施が困難であるのは日本だけの問題ではない。成果が少ない市町村をサポートできるよう、まず何が起きているかを見える化しなければならない。どの市町村で、どんな困難を抱えているのかを把握し、財務的な支援に限らず、どういった介入が適切なのか。複数の市町村をグループ化して、より広範囲を支援できるような介入を考えることが重要ではないか。
また、健診制度については、あるグループが多くの健診を受け、他のグループは十分に受けられない状況は避けるべき。
1.公衆衛生システムの強化:日本のシステムは地方分散型で、地方の責任のレベルが高いため、中央政府によるコーディネートが重要になる。同じような良好な結果をローカルレベルで享受できるようにしなければならない。欧州でも地方政府が権限を持つ国は多いが、不均衡な成果が生まれている場合がある。フィンランドは日本と似た地方分権のシステムを持っているが、地方で収集したデータをまとめて比較することで、地方政府で何がうまくいっているのかを分析している。また、様々な利害関係者を集めて会議を行い、より良い環境を共有できるようにしている。公衆衛生システムの強化に向けて、学べるものがあるのではないか。
2.一次予防戦略の強化・改善:健康日本21のもと、国民、企業、学校、地方自治体、中央政府が責任を持ち、生活習慣病予防を促進するための施策が行われていることが強み。ただ、もう少し優先度の高い課題に焦点を絞り、国民の健康を改善することができるのではないか。たばこ製品の販売規制の強化、食品パッケージへの教育的な表示の印刷、アルコール製品の販売・入手規制など、国民全体を対象としたより強い政策で一次予防を後押しすべき。
3.より的を絞った健康診断とスクリーニング:日本は例を見ないほど多くの健診が行われている。学校や職場、市町村など様々なところで提供されているが、そのすべてで費用対効果が良いのかどうかという疑問がある。過剰な検査が行われないよう検査を絞り込むとともに、とくにリスクの高い集団に対して行うことが必要。がん検診プログラムの強化が重要になる。より標準化された検診が地方自治体で実施されるよう、国レベルでのアプローチが求められる。
4.公衆衛生上の緊急事態への対応:非常に洗練されており、良好な法的枠組みもあるが、高齢者など脆弱なグループの健康リスクに注視すべき。公衆衛生上の緊急事態への備えを強化するためにも、関係機関の相互のモニタリング、情報共有、連携といったところで改善の余地がある。
・総評:市町村レベルでの公衆衛生施策の実施が困難であるのは日本だけの問題ではない。成果が少ない市町村をサポートできるよう、まず何が起きているかを見える化しなければならない。どの市町村で、どんな困難を抱えているのかを把握し、財務的な支援に限らず、どういった介入が適切なのか。複数の市町村をグループ化して、より広範囲を支援できるような介入を考えることが重要ではないか。
また、健診制度については、あるグループが多くの健診を受け、他のグループは十分に受けられない状況は避けるべき。
http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/to-keep-its-long-lived-population-healthy-and-aging-well-japan-needs-to-focus-attention-on-key-health-risks-japanese-version.htm?fbclid=IwAR2E84GzdJlD3OwZ7C6BsewPBRm9KlyMFTNdT9BQcItGUQA9929anGMyVNE----------------
<個人的感想>
・その通りですね、と思う部分が多いです。「中央政府によるコーディネートが大事(コントロールではない)」「行き過ぎた予防は、費用対効果が悪いどころか、かえって高くつく場合がある」「健診は、公平に受けられる体制を(保険の種類によらず平準化するための支援を)」など。
・注意したいのは「公衆衛生上の緊急事態」というのは、単に新型インフルや災害といった突発的事例だけを指しているのではない、ということ。国内の公衆衛生を守れなくなっている日常的な体制(公衆衛生にかける予算が減っていくなど)も「公衆衛生上の緊急事態」である、ということです。
・また、一次予防については、もう少し突っ込んでほしかったです。「たばこ製品の販売規制の強化、食品パッケージへの教育的な表示の印刷、アルコール製品の販売・入手規制など」というのは、海外から見てとても目につく日本の非常識であり、もちろん大事です。ただ、指摘としてはやや表面的で、欧米的な価値観の押し付け臭が少しあります。ここはぜひ、階級格差がもたらす健康格差にアプローチすることが一次予防のキモだ、とまで言ってほしかったです。まあ、指摘されなくても、私たちが自覚して対策していけば良いことですし、社会的に脆弱なグループに一次予防が届かないのは日本に限った話ではない(OECDのレポートで指摘するまでもない)ことですが…。
<個人的感想>
・その通りですね、と思う部分が多いです。「中央政府によるコーディネートが大事(コントロールではない)」「行き過ぎた予防は、費用対効果が悪いどころか、かえって高くつく場合がある」「健診は、公平に受けられる体制を(保険の種類によらず平準化するための支援を)」など。
・注意したいのは「公衆衛生上の緊急事態」というのは、単に新型インフルや災害といった突発的事例だけを指しているのではない、ということ。国内の公衆衛生を守れなくなっている日常的な体制(公衆衛生にかける予算が減っていくなど)も「公衆衛生上の緊急事態」である、ということです。
・また、一次予防については、もう少し突っ込んでほしかったです。「たばこ製品の販売規制の強化、食品パッケージへの教育的な表示の印刷、アルコール製品の販売・入手規制など」というのは、海外から見てとても目につく日本の非常識であり、もちろん大事です。ただ、指摘としてはやや表面的で、欧米的な価値観の押し付け臭が少しあります。ここはぜひ、階級格差がもたらす健康格差にアプローチすることが一次予防のキモだ、とまで言ってほしかったです。まあ、指摘されなくても、私たちが自覚して対策していけば良いことですし、社会的に脆弱なグループに一次予防が届かないのは日本に限った話ではない(OECDのレポートで指摘するまでもない)ことですが…。
で、そこまでOECDが言えなかったのは「天に唾するのと同じで、言った当人(OECDで力のある国)に降りかかってくるから言えなかった」というのは、邪推過ぎますかね。そこまで言うのは、意地悪ですかね、きっと・・・。
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