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2018年9月21日金曜日

対人保健:平成29年度国立保険医療科学院専門課程Ⅰ保健福祉行政管理分野分割前期(基礎)受講メモ


【対人保健】

6/12 NIPH 三浦:国民健康づくり対策 健康日本21(第二次)を中心として>
・健康づくり対策のながれ
1978年:第1次国民健康づくり対策:健診の充実、保健センターの整備、マンパワーの確保
1988年:第2時国民健康づくり対策:アクティブ80ヘルスプラン、運動習慣の普及
とあるが、この時代まではあまり「評価」をしてこなかった。
2000年:第3時国民健康づくり対策:健康日本21、一次予防重視
この2000年から数値目標と評価が入ってきた。
2003年:健康増進法の施行
2005年:医療制度改革関連法の成立
2007年:特定健康診査・特定保健指導開始。
法律はあと付けでできた。
2013年:第4次国民健康づくり対策:健康日本21(第二次)
・健康増進計画と国の施策との関連性
法的根拠
健康増進法

健康日本21(第二次)
平成25年度からの10か年戦略:5年後に中間評価。
都道府県
都道府県等の健康増進計画
国のコピーでなくてよい。都道府県では義務。
※健康日本21と、特定健診保健指導は、担当部局が異なることに注意。
・健康日本21(第二次)の目標設定と評価には、すでにあるデータの活用と、項目をしぼること、が指摘された。

6/12 東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チーム 藤原:高齢者保健活動>
・高齢者保健のキーワード:「栄養」、「運動」、「社会参加」。
・「後期高齢」は、特に「大都市部」の問題、と。
・平成23年の国の政策予算:「年金、医療保険、介護・高齢者医療」で6割。
・老化の予防には特効薬なし。一方、生活習慣病の予防はできる。
・疾病を避け、認知身体機能を維持し、積極的な生活(プロダクティブな活動の継続、他者との交流の維持)を送ることが、サクセスフルエイジング(幸福な老い)になる。これは「高齢社会対策大綱」でも話し合われており、プロダクティブではない人を排除しないようにしている。
・なにか住民対象の講演会をやるときに、テーマを「認知症」にすると満員になるほど参加者が多いが、「医療」や「看取り」をテーマにすると、なかなか客は来ない。
・幸福(健康)の決定要因には、レベルがあるが、認知症になっても幸せに暮らすことは可能。
公共的要因:政策、マスコミ
生活環境要因:住環境、交通、職場学校地域(ハードと雰囲気)
個人的要因:最多関与は年齢。教育歴も大きい。ほか、性、生活習慣、健康行動、性格、所得、職業、家族、社会的交流
生物的要因:遺伝子、細胞、臓器、体質

6/13 東京医科歯科大学国際健康推進医学 藤原:社会格差がもたらす健康影響>
・千葉県銚子市の長女13歳殺害事件:結婚したら夫の借金が発覚、パートでダブルワークはするなと言われていた、生保は2回断られた、など、母の事情はのちになって明らかになったこともある。
・産業革命は健康に影響を与えたか?→フランスの医師ビレルメLouis Rene Villerme(1782-1863)が書いているが、格差はこのときからすでに始まっていた、ということ。
・税収と死亡率の違い:税収によって、つまり貧困率によって、死亡率も違うことを明らかにした研究。Julia et al. JECH 2011。1817年のパリにおいて、死亡率、貧困率、税収、人口密度を調べている。
・なぜ社会によって自殺率が異なるのか。なぜ自殺のない社会はないのか。デュルケム「自殺論」1897
・ブロンフェンブレナーのエコロジカルモデル:個人を囲むシステムの、マクロシステム(文化、習慣、イデオロギー)~エクソ(直接関係のない環境要因)~メゾ(ミクロシステム同士の関係)のモデルの中に、さらにミクロシステム(家族、職場、仲間、ご近所)を入れたのが成果。
・健康の社会的決定要因についての研究は、たとえば「ファーストフードを食べずに生活できない人に食べるなと言っても意味がない」ことを無視してきたために失敗してきた。だからいまはマクロレベル(社会環境)やメソベル(人間関係)を何とかしようという研究にシフトしている。
・ポピュレーションアプローチ→原因の原因にアプローチすることで対象全体に影響を与えてリスク分布全体をシフトさせることでリスクを減らすというアイデア:Geoffery Rose。ただ、全員にアプローチすることに意味はあるが、何がポピュレーションアプローチで、何がハイリスクアプローチかは、線引きは難しい。Bell curveの山の形は変わらないモデルが多いが、実は山がシフトすると幅が広がってしまうものもある(たとえばBMI)
Michael MarmotUCLA。長寿の理由研究のため、日本人、ハワイの日本人、ハワイのアメリカ人を比べた。ほか、ホワイトホールの職員の心疾患罹患率を調べたら、職位によって疾患へのなりやすさが変わることが分かった。
Ichiro Kawachi:「自分さえよければよい」人が多い地域ほど、死亡率が高い。
・なぜ格差は健康に悪いのか。
1.収入そのものの影響:「絶対的収入」の話ではない。Rodgers, Population Studies, 1979.
収入と寿命は、上に凸の曲線の関係。その曲線上、収入が低い人の収入が上がり、上がった分だけ収入の高い人の収入が下がると(つまり格差が縮小すると)、集団としての平均寿命が上がる。つまり、収入の分配を公平に近づけるだけで、平均寿命は上がる。低収入による平均寿命低下の影響を緩和できる、ということ。
2.相対化の影響
Q:あなたはどちらを選びますか(購買力は同じと仮定する)
A:あなたの年収は500万円、まわりの年収は250万円。→さげすむ。一方で、500万円は高すぎる、と拒否する人も出てくる→「共感する力」と。
B:あなたの年収は1000万円、まわりの年収は2500万円。→うらやむ。ただし合理的ではあるかもしれない。
QAB→つまり、「隣の芝は青い」。サルの実験では、報酬が同じであることに敏感になることが分かっている。ゆえに、共感力がなくなると、ヒトでなくなる。
3.社会そのものの変容による影響:contextual effect
収入とストレスの関係:相対化によってストレスを感じるのは、負け組だけであって、勝ち組はむしろ優越感を感じているために、健康によい影響をもたらすのでは?
Kahn et al, BMJ, 2000:収入の低い集団の中では、低い集団中で少し高めに位置してもそんなに健康ではない。逆に、平均収入の高い集団の中では収入が高いほど健康。
→勝ち組も同様に影響を受けるような、格差のある社会そのものが社会を変容させ、大気汚染のように人々の影響に影響している可能性はないか?
同じ収入でも、より平等な社会では信頼関係が構築され、お互いに助け合ったりするので、寿命が長くなる。つまり、平等な社会ほど収入が寿命に与える影響は小さく、不平等な社会ほど収入が寿命に与える影響が大きい。
・ジニ係数と、日本のジニ係数のトリック
ジニ係数とは:01の値をとり、値が大きいほど所得が不平等な社会を示す係数。人口累積割合を横軸、所得累積割合を縦軸にとったときに描かれる曲線と、y=xで求められる「完全に平等な所得分配」における状態との比較をするもの。
日本のジニ係数のトリック:計算に、単身世帯が入っていない(ので、他国と比較して良いように見えてしまう)。国が公表しているジニ係数は、当然高いものになっている。
・誰がより社会格差の影響を受けやすいのか
SGA(small for gestational age)が増える要素は、父親の学歴だった。母親の学歴が影響するのではなかった。
社会格差がある→高卒以下の父親の学歴になる→結婚して→生まれた子にSGAが増える。
・社会経済的地位について:SES, socioeconomic status:健康との因果関係が多数の研究により示されている
教育歴:測定しやすい、職業・年収とよく相関する(イコールではない)
職業:測定しにくい(分類しにくい)
年収:測定しにくい(調査しにくい)
その他、資産など。主観的SESという概念もある。
・「未就学児への投資」が、28歳児の教育歴、SES、健康状態、犯罪歴に影響した。という研究あり。→小学校に入ってからでは効果はなかった、ということ。教育投資の「タイプ」は研究の条件でのみの話だが。
・子どもの貧困は脳に影響する、という研究あるが、「虐待すると自閉症になる」のではなく、SES↓と、灰白質量が↓が問題。
・全国学力調査におけるSESと学力の関係:内閣府は、SES↓でも勉強すれば学力は↑になる、と言いたいが、どう見ても、全体としてはSESが高い方が学力も高い。つまり、格差は広がれば広がるほど焦げ付く。
SESASDの関係
これまでのアメリカの研究では、SESが高いほどASDのリスクが高いと報告されてきたが、アメリカは医療アクセスがSESに依存しており、ASDを疑うSES↑の群が受診しているだけかもしれない。国民皆保険制度の国では(特にスウェーデン)SESが低いほどASDのリスクが高い。
日本ではどうか?SES↓で、ASD↑のようではあるが、父母の教育歴と年収とで考えると、一番効いているのは、母の教育歴だった。
総じて、日本ではASDの原因は90%は遺伝的要因と言われているがそれは間違い。49%が遺伝的、51%が環境要因、という程度。By JAMA 2014.4144 Abraham Reichenberg “the familial risk of autism”
・ライフコース疫学とは:意外と、高齢者研究から来ている。
胎児期の栄養と心疾患の研究:WW2でオランダの食糧事情が深刻になったとき、妊婦はパン2切れとジャガイモ2つを1日に食べていた(日本のやせ妊婦と同じ)→この時期に生まれた人は冠動脈精神疾患の罹患率が高い。
Barker仮説:成人病胎児起源仮説。動物実験では証明された。人間ではDutch Famineのみ関係性が分かっている。
2型糖尿病は:結論でている。低出生体重と2型糖尿病、メタ解析でU shapeになる。
小児期のSESADL低下のリスク→高齢になっても、小児期のSESが効いてくる。
・まとめ
幼少期の環境の影響は、生涯残る可能性がある。ゆえに、幼少期の環境を整える公衆衛生政策が大事。また、幼少期の環境がどのようであっても、可変可能な要因によって疾病発症、悪化のリスクを下げることも大事。
多くの人の関わりは、部分的で、帯にもたすきにも短い。が、変えられる立場には、いる。

6/13 NIPH 吉村:精神保健活動:ケースから見る地域精神保健>
・精神疾患を有する総患者数の推移:高齢化に伴い増加中。5大疾患の中でも精神疾患は最多だが、精神科だけ、うつ病、認知症、と分野別になってる。
・自殺企図と、自傷行為の違い:ウォルシュ著 松本俊彦ら訳「自傷行為」2005より改変
特徴
自殺企図
自傷行為
苦痛
耐えられない、逃れられない、果てしなく続く痛み。
間欠的、断続的な痛み。辛いとき、そうでもないとき、を行ったり来たり。
目的
唯一の最終的な解決策
一時的な解決策
目標
意識の終焉
意識の変化
感情
絶望感、無力感
疎外感
行動
致死的予測に基づく致死的行為
非致死的予測に基づく非致死的行為
自殺は、致死的予測に基づいて、死ぬためにやるもの。
自傷は、生きるためにやるもの。目的は、一時的な解決策を作る、転換点を自分で作るためのもの。周囲をコントロールするためではない→行為はほとんど隠れてやられている。
・よく見られる自殺企図:救急外来における精神科的対応マニュアル2008 佐藤茂樹編
飛び降り、農薬中毒、鎰頸、割腹、動脈損傷に至る切創→いずれも、致死的予測に基づく。
・自殺に至る可能性の高い精神疾患:救急外来における精神科的対応マニュアル2008佐藤茂樹編
統合失調症、妄想性障害:若年層:「死になさい」という妄想が、辛すぎて、自殺を試みる。
うつ病:中高年~老年層
物質使用障害(アルコール、覚せい剤):中年層
パーソナリティ障害:若年女性→患者の感情表出に挑発されず、淡々と接する必要がある。
・自殺の危険因子:自傷・自殺の危険性の高い状況について2012松本俊彦
1.自殺念慮、自殺の計画性:計画性は男>女
2.過去の自殺企図歴
3.非致死的予測に基づく自傷行為
4.自殺の家族歴→周りの自殺をまねする→周囲の自殺リスクが上がる
5.否定的なライフイベントへの曝露
6.身体的、性的虐待歴
7.衝動的、攻撃的行動の既往(犯罪を含む)
・自殺の保護的因子:自傷・自殺の危険性の高い状況について2012松本俊彦
1.社会や人とのつながり
2.充実した社会生活、主観的満足度:重要!
3.ストレスに対応できる柔軟性、スキル(健康な認知)
4.周囲のサポート体制
5.精神保健サービスへの良好なアクセス
6.自殺予防の情報が得やすい
・自傷する理由:自傷自殺する子どもたち2014松本俊彦
イライラしたときに切りたくなる
強い感情に襲われたときに、無意識のうちにカッターを探している自分がいる→つらすぎる脳
自傷は私の安定剤
傷口から流れる血を見て、ほっと我に返った
自殺しないために切ってる
・自傷する理由は? Matsumoto et al. 2004
不快感情の軽減が半分以上。意思伝達や操作目的は18%。自殺の意図も18%。つまり、周囲の関心を集めるための自傷や、アピール的な自傷、は、それほど多くない。
・自傷した者への不適切な「指導」:自傷行為の理解と援助2009松本俊彦
自分でやったんだから保険は使えないぞ、すべて自費診療だ
お前は馬鹿か、今度やったら傷を縫ってやらないからな
こっちは死にそうな人を助けるのに手一杯なんだ。お前みたいに自分で勝手にやってる奴の世話をしている暇はない。
これらは、「何とか立ち直ってほしい」と思う一心でも、適切な対応ではない。患者は「身体の痛み」で「心の痛み」に蓋をしている。
・自傷した者と初回面接での心がけ:自傷行為の理解と援助2009松本俊彦
頭ごなしに「自傷をやめなさい」とは言わない
援助希求行動=話せること、を評価する。希求行動を起こす能力、SOSを出す能力を育てること。
自傷の肯定的な面(生きようとしたこと、解決しようとしたこと)を確認し、「共感」する。
エスカレート(まちがって死んでしまう)に対する「懸念」を伝える
「もうしないと約束してね」などの無意味な約束はしない。
→継続的に援助を受けられるような、精神科医療機関を紹介し、連携する。
・人格の「成熟」とは。
成熟とは、自分が大勢の中の一人であり、同時にかけがえのない唯一の自己であるという矛盾の上に安神して乗っかっておれることである。中井久夫「看護のための精神医学」より。
・自殺者数の推移
自殺者数は年間3万人を下回ったものの、依然として深刻な状況にあり、減っているとはいえ、国の政策がよかったわけではない。団塊の世代が高齢化すれば、この世代は圧倒的に数が多いので、自殺者数も増えるかも。
うつ病は、慢性疾患なので、ずっと対策を続ける必要があるが、うつ病対策だけでは自殺対策は不十分。
・アルコール依存症、乱用への誤解
×手が震えなければ大丈夫、×自分だけは違う、×朝から飲まなければ大丈夫、×もう治らない、×低所得者の病気
〇TPOに合わせた飲み方ができないことを言う、〇「否認」することは症状の1つ、〇誰でも罹患する可能性がある、〇人格ではなくて脳の問題。脳の報酬系の変化が起きる→お酒で「おいしい」と感じる程度が強い。
・アルコール依存症の治療:アルコールの専門で唯一の国立病院は、久里浜医療センター@神奈川
治療の導入は、本人よりも家族が悩むことが多い。本人が断酒をして、イネイブラーが援助をやめること。
離脱症状(小動物の幻視、体表を虫が這う感じ)への対応→断酒直後の症状に対応する。
心理教育、集団療法:断酒会やAA→合わない人もいる。
薬物療法:抗酒薬(おどし型、シアナマイドは液、ノックビンは粉)による代謝能低下、これは朝、家族の前で飲む。レグテクト(報酬系を抑える)による飲酒衝動の抑制。
・病院は、地域にとっては集金装置であり、病院は、既得権である。
・精神科病院の課題と方向性:吉村私案
アウトリーチ(訪問看護部門)の拡充、救急介入の体制づくり
スタッフの支援技術の質を上げる→薬物療法の工夫、心理社会的治療の実践
精神疾患の早期発見早期治療をすすめる→産業保健、学校保健との連携。復食、復学を支援することも重要
病院機能の転換が必要となる。
家族の退院の可否をたずねても、大体は「退院してもらっても困る」で、経済的な理由が多い。入院の方が安価で、GHや施設入所は高額。入院してもらっていたほうが病院としても病床稼働率に貢献するので、ね。
国の財政事情では、精神科医療に大幅に医療資源が投入されることは期待できない。
患者の高齢化で、患者の絶対数の減少に対応する必要がある。
病院はアウトリーチと緊急介入、地域ではさならる福祉資源の拡大(選択肢の提示)が必要だが、それが可能か。
科学的根拠に基づく地域移行支援を行い、関係者の緊密な連携(譲り合い)で、成功事例を蓄積してノウハウを得ること、あきらめないこと。
・日本の医療界が守ろうとしてきたもの。3つある。が、それぞれ壊されようとしている。
1.自由標榜、自由開業→たとえば「専門医」で限定し
2.フリーアクセス→たとえば「選定療養費」でアクセスをしばり
3.国民皆保険→たとえば「混合診療」で利用の偏在を生ませる

6/14 医療法人社団みどりの会 児玉知子>
・日本における難病対策のきっかけ:スモン病:19708月、整腸剤キノホルムが原因、下痢や腸疾患に適用していた。術前の腸管殺菌目的としても使用された。疫学調査から、指示文書を無視した大量投与が長期にわたって続けられたことが原因とされた。発症患者数1万人以上、死者は自殺者も含めて650
・難病の研究費助成事業はAMEDで、「難治性疾患克服研究事業」100億円。内閣が変わって力を入れるようになった時期がある。予算4倍になった。
・日米欧における難病の定義と規定

日本
米国
欧州
定義
・希少性(患者数5万人未満、人口の0.1%程度)=欧州定義に則った場合1万人に4人未満。
・原因不明
・効果的な治療法が未確立
・生活面への長期にわたる支障(長期療養を必要とする)
・希少性(患者数が20万人未満)=欧州定義に則った場合1万人に7人未満
・有効な治療法が未確立
・希少性(患者数が1万人に5人以下
・有効な治療法が未確立
・生活に重大な困難を及ぼす、非常に重症な状態
関連法規
難病対策要綱(1972)
難病法(2014)→定義づけした
薬事法等改正(1993)
希少疾病医薬品法 Orphan Drug Act(1983)
欧州希少医薬品規制 Orphan Medicinal Product Act(1999)→製薬会社の関心が希少薬に殺到した動きが背景にある
日本の定義の「0.1%程度」は、UCが少し上回る程度で、政治的ではある(安倍首相個人の疾患)が、0.1%の設定をどのようにしたのか、議論はopenになっていない。が、あまりそこを突っついても仕方がない。UCcommon diseaseであり、普通に健康保険でやればいい。指定難病の中ではUCが最多、パーキンソンが次に多い。
・難病指定の多さは、日本>米国欧州の希少疾患>米国の難病、未分類疾患。パーキンソン病が入っているのは日本だけ。ただ、パーキンソン病の患者団体は最も結束が強い。
・希少難病に特異的なこと
研究(原因解明、治療法開発):患者数が少ないため治療開発の研究が進まない。希少な疾患のため、専門家や研究者もいない。希少疾患に対する研究費が少ない。
福祉(社会保障):社会に周知されていない。長期にわたる罹病期間。身体的、精神的な負担。就労の機会が少ない。
医療:治療法が確立されていない。適切な治療が周知されていない。診断まで時間がかかる。これらの解決のために、もっと充実した情報センターがほしい。
・日本の歴史的な特徴:スモン対応で、福祉が先行した→研究が遅れた。
・米国の歴史的な特徴:NIHFDAの連携で、製薬会社と人事交流がある。これは良いことだが、福祉的視点が弱い。今後の研究では、補充する薬ではなく、根治する薬の開発を、と言われている。
・患者団体
デンマークは血友病、フランスは筋ジストロフィー、日本はパーキンソン病、が患者団体で引っ張っていく力のあるところ。

6/19 NIPH石川:栄養領域の対人保健活動>
・栄養の分野は、まだまだ科学的エビデンスが不足している。
・食事のバランスは、家族と食べるとバランスよくなる。独りで食べると偏る。
・国民健康栄養調査のデータは、1975年からスタートした。
・日本で1980年→2012年と比較して、摂取カロリーは果物100g/day、肉魚80g/dayの増加あり。これは輸入品が増加したことによる。
2000年の食事の栄養素別摂取構成比は、米国から「日本型の健康に良い食事」と言われた。
・近年「調味嗜好飲料」が9%前後に増えているのは、高齢者の「青汁」とかが影響している。
・健康日本21最終評価では、悪化したのは4つ。Caの摂取量↓、Kの摂取量↓、果物類を摂取している者↓、朝食の欠食↑。改善傾向にあるのは食塩摂取量など。→見えてきなのは、「整備された環境や施策の実践にアクセスできない人がいること」「環境整備と住民の行動変容、健康課題の改善がつながっていないこと」
・高齢者の買い物:独り、自分で行けない、人にも頼めない。By農林水産省 消費者ニーズの変化に対応した食品サプライチェーンの再編に関するプロジェクト2010
・長野県の栄養調査データの再解析によると、「副菜」の摂取↑ほど食塩摂取量↑。おそらくドレッシング↑による、と。ただ、食塩↑でも野菜のK↑だと血圧→では?。
・長野県の味噌汁。味噌汁↓にすると野菜↓してしまう。
・味噌汁は、食塩↑でも豆のアディポネクチン↑で、結局血圧は→。高血圧にはならない。
・自治体でないとできないことは、「1:何のためにどのデータを読む、作るのかの整理」「2:住民の健康増進の継続的な取り組みのためのデータ活用」

6/19 NIPH石川:栄養領域の対人保健活動2>
・学校給食は、残菜が多いことが課題

6/19 十文字学園女子大学 加藤則子:母子保健の現状と課題 少子化時代の母子保健対策のあり方>
・母子保健サービスの概要
妊娠したのでは?で、産科受診するのは自費
妊娠の届出:法15条。平成20年までは、妊娠届に診断書が必要だった。平成20年以降は、自己申告で妊娠届OKになり母子手帳がもらえるようになった。今ではネットで申請できる自治体もある。
母子健康手帳の交付:法16
受診勧奨:28wkまでは月1回、28-36wk2週に1回、36wk以降は1週に1回。受診10回以上が半数以上。
妊婦健診補助:最大14回まで(平成24年から)
乳児検診:3-6か月、9-11か月の各1
精密健康診査:妊婦1回、乳児1回→そもそも無料の自治体が多い。
ガイドブック
母親学級:2002年から両親学級になった。
産前産後休暇:産前6wk、多胎は14wk、産後8wk。労基法の規定。
出産育児一時金(医療保険)
先天代謝異常等検査(都道府県検査機関)
新生児マススクリーニング:いまはすべてタンデムマス検査
一貫した保健指導(市町村):法10
新生児訪問指導(市町村):法11
乳幼児全戸訪問事業:市町村のこんにちは赤ちゃん事業
未熟児の養育対策(市町村):法18条、19条、20条。2500g未満の低出生体重児、市町村に届け出るが、現地主義で、出された市町村がみることになっている。養育医療の給付(指定医療機関)
育成医療(障害者総合支援法):もともと先天性股関節脱臼のために始まった。
予防接種:予防接種法
16か月児健康診査(市町村):法12
3歳児健康診査(市町村):法12
就学前健康診断(文科省):小児の健康診査は児童福祉法に位置づけられているが、就学前健康診断(文科省)を最後に、6歳を過ぎると途端にデータがなくなる。
小児慢性特定疾患医療給付(児童福祉法):平成26年からは、厚労省の内部で成人の難病対策課に移った。
・母子手帳の成長曲線の変遷
1980年調査、1981年公表の手帳:書いた体重曲線は、幅が狭く、厳しすぎた。
1990年調査、1991年公表の手帳:日本の基準に、WHOの基準を追加して、±3%ずつ足した。
2000年調査、2001年公表の手帳:範囲内の色が単色になった(±3%も同じ色になった)
2010年調査、2011年公表の手帳:範囲内に収まらなくても±100g程度あるのは当然なので、範囲は色で表示するだけにして実線で区切らないようにした。ただし範囲の境界をぼやかすのは却下された。
・母子手帳の表紙の変遷
昭和17-23年:「妊産婦手帳」
昭和24-41年:母子手帳
昭和41-:母子健康手帳
20124月バージョン 母子健康手帳改正点
妊娠中の記録:妊婦の記入欄を拡充
新生児便色カード
発達の記録:できるできない→できるようになった日
予防接種、罹患記録→6歳以降の記入欄も追加
0-18歳までの発育曲線
胎児発育曲線
検査の記録に予備欄を設けた:ここは検査伝票を貼る欄。東日本大震災でデータが貼ってあると役立ったから。
・「健やか親子21」最終評価の結果
69指標74項目について評価し、悪くなっているのは2項目:「若者の自殺」と「低出生体重児の増加」だった。

6/20 NIPH 横山:特定健診・特定保健指導>
・保健活動にPDCAサイクルを入れるのは1999RA.Spasoff2006年水嶋「地域診断のすすめ方」に詳しい。
・昭和20-25年は困窮、昭和25-35年は復興、昭和35-50は高度経済成長、昭和50-平成2年は低成長、平成2-はバブル後という時代背景。
・昭和35-成人病、昭和50-1次国民健康づくり対策~第2次国民健康づくり対策(アクティブ80ヘルスプラン)、平成12年に健康日本21、平成25年に健康日本21(第二次)という健康づくりの流れ。
・健康日本21(第一次)中間評価の目標「平成27年度までに生活習慣病有病者・予備群を平成20年度比で25%以上減少」というのは、スローガン的な数値だった。
2013年からのデータヘルス計画は、はじめは協会けんぽから、国保はあとからやることになった。
・特定保健指導の、対象者ごとの保健指導プログラムは3種類ある。「1、情報提供:これは法律用語では保健指導ではないが、やることは保健指導。紙を渡して終わりではない」「2、動機づけ支援(1回だけ):法律上の保健指導」「3、積極的支援:法律上の保健指導」。
KDBシステムの概要。国保連合会は、市町村が共同設置したもので、県に1つあり、個人情報を扱う。国保中央会は県や市町村の比較をするが、匿名化したデータを扱う。
・データヘルス計画に記載すべき事項で、抜けがちなもの:過去の取り組みの考察。分析結果に基づく健康課題の把握。データヘルス計画の評価方法の設定。データヘルス計画の見直し。
・データヘルス計画の評価は、可能な限り数値で行うことが望ましく、成果(アウトカム)による評価が求められる。
・特定健診受診率の目標は、平成29年度に60%と。国の目標がこれなので60%にしているが、達成ムリ。
・データを俯瞰的にみる:脳卒中発症数が最も多いのは、血圧分布のカテゴリー(正常高値、境界域、高血圧)で、どこか→発症率は高血圧がハイリスクだが、発症人数が最も多いのは正常高値と境界域にピークがある。
・透析、心疾患、脳卒中の高額レセプトのある者×健診受診の有無のデータ=国保連合会が作った。こーいうデータを出すのは市町村ではムリ。
・結局、「生活習慣病の減少」は、やれることトータルでやるしかない。受診率upや、保健指導や、医療との連携といった1つ1つのこと「だけ」では、なかなか難しい。
・健診を受けただけで、医療費は下がるのか→平成28年度協会けんぽ調査報告書=すべての年齢階級で未受診者よりも受診者のほうが医療費が低く、45-59歳および全年齢計40-72歳で有意な差があり。平成26年度の差は、年齢調整後約1367/人。

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