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2018年6月11日月曜日

第4世代QFT:QFT-Plusについて

平成30年6月8日に行われた愛知県保健所会研修会に参加したメモです。

個人的には、リチウムヘパリン採血管を使えるのでQFTの採血がとても簡単になっていること、温度管理や検体の移送には気を遣うがそれほど難しいことではない(「管理が難しいからQFTは採用しない」は、ただの怠慢かも?)こと、がポイントだと思いました。

<第4世代QFT:QFT-Plusについて(QFT-Plusの特徴など)>
講演者:株式会社キアゲン 木藤孝 氏

・自分は2002年からQFTに関与している。第2世代のときからで、世界で初めて使用申請したり、PMDAにも申請したりした。その後、3Gにも関わった。保険点数は400点→630点と、上がっていった検査で、点数が上がっていく検査はまれなもの。

・第1世代は、刺激抗原がPPDで、日本では申請使用されなかった。日本で使えるようになったのは第2世代から。

・抗原のシグナル伝達について
CD8とCD4に伝達されるシグナル経路は、APC(抗原提示細胞)は共通である。APCからlong TB peptidesはCD4に、Short TB peptidesはCD8に提示される。CD4への提示がないとCD8への提示も少ないようだ。
T細胞のサブセットであるCD4とCD8に抗原が提示されているので、患者の全血中のT細胞から検査室でIFN-γを測定する。
CD8は、結核に対する反応や役割は基礎研究では分かっていたが、QFTの検査系には活かされていなかった。

・QFTの測定に関する刺激抗原。
ポリペプチドの刺激抗原には、3GではESAT-6、CFP-10、TB7.7の3つを用いていた。
QFT-Plusは、TB7.7を除いた。過去にはTB7.7を強調して検査感度をあげるようにしていた時期もあったが、あまり感度に寄与しないと思われる(除けばある程度は下がるが)ので、QFT-Plusでは除いた。第3世代のQFTのTB抗原のほうが、第4世代のQFTのTB1抗原よりINF-γの感度はよいくらい。
ただし、QFT-PlusではCD8の短鎖ペプチドを追加している。

・QFT-3GとQFT-Plusの採血管の差
まず、採血法の文化が日本と世界では異なることがある。日本では駆血帯を巻いたまま最後まで採血するが、他国では血管に当たったらすぐ駆血帯を緩めてその後で採血する。この違いから、採血管にかかる圧が異なる。
QFT-3Gは世界で使用される20%が日本で消費されていた。だから日本仕様に採血管を減圧したものを販売することができた。しかしQFT-Plusは世界中で使われていて日本の割合が相対的に下がったので、日本仕様の採血管を用意できない。日本の採血法に合わせた減圧度には調整されていないので、QFT-Plusの採血管を直接ホルダーに刺して日本の採血法で採血するのは推奨されない=液量が過剰になる場合があるため。

・QFT-Plusの採血法の追加オプション
「リチウムヘパリン採血管による1本採血法」ができる。
リチウムヘパリン採血管1本で採血し、3時間以内に4℃の環境に置き、48時間以内の保存で、その後は2時間以内にQFTチューブに分注・培養の開始ができればよい。輸送と採血手技が楽になった(これなら圧の調整も心配しなくてよい)。
QFTとしては全部で血液5ml必要。リチウムヘパリン採血管でやっているのは、ヘパリンナトリウム採血管のデータがないから、という理由だけ。

・QFT検査の保険適応
日本でQFTの目的には「active TBの補助診断」も入っているが、これは日本だけ。世界ではLTBIだけが認められている。これは、3Gのとき日本が初めて申請した(FDAは関与なし)。QFTがもっとも威力を発揮するのは肺外結核。そのため活動性結核を認めるに至った。

Q:スピッツの保存温度は?
A:リチウムヘパリンのスピッツは、採血前に冷蔵保存しても意味がない。もし冷蔵保存が必要と言われたら、それは担当者が知らないだけだろう。QFTのチューブにはmitogenが塗ってあるので、冷蔵保存しないと感度が変わってしまう。

Q:CD8に関連が深い→新しい感染or古い感染のメルクマールに使えるってこと?
A:まだエビデンスがないので、言い切れない。可能性がある、ということは言える。

Q:ある施設ではT-SPOTを使っていることが多いのだが、比較してQFTのほうが良いという押しがあれば教えてほしい。
A:他社のIGRAについてはあえてデータを示さなかったが、性能はQFT-Plusはハイリスク群で使えると思っている。特に高齢者群で感度が高い。価格については、QFT-Plusのほうが高い。あとは、卸しのコストによる。

Q:海外でQFT-plusのテストが多いが、海外でT-SPOTとQFTの比較は?
A:ない。すでにほとんどQFTだから。

Q:乳幼児期は?
A:データがない。症例の多いインド等でも研究が困難です。徳永先生が研究しているが、患者が集まらない。アメリカのガイドラインでは、IGRAの適応は5歳から2歳まで下がった。

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