麻疹の関係機関に関する報道発表のあり方(実名か匿名か)についてです。
1.名古屋市の報道発表は、関係機関の名称を伏せていましたが、第二日赤がみずから名乗り出たため、名古屋市の第3報追加分から「医療機関A=第二日赤」と書くようになりました(病院も、職員の発生が4/21なのに公表が4/24でしたが)。ほかは相変わらず「スーパーA、薬局B、コンビニC」などと匿名化したままです(名古屋市第4報、名古屋市第5報)。一体なんの忖度か、と言いたくなります。
一方、愛知県の報道発表は、名古屋市が病院名を公表した4/24と同日の報道発表が、「医療機関A」になったままです(愛知県第2報)。
2.実名報道で参考になるのが、4月12日に茨城県で発生した麻疹です。こちらの報道発表は日時も細かく記載しています。しかも患者探知から2日後というスピードです(茨城県第2報)。
3.沖縄県は、最初から今に至るまで関係機関を匿名にして対応しています。初動が後手に回ったまま放置したので、あっという間に患者が10人を超えてコントロール不能になりました。
4.匿名にしておく理由。
「地域で麻疹が出ました、注意してください」という報道発表で良いのならば、そんな内容は平時でも言えることです。これでは具体的に何も気を付けようがありません。
「いまさら遅い(から公表しない)」という態度は、公表しないで済む理由を探しているからに過ぎず、「遅い」ことを理由にして、これからやるべきことを棚上げしています。潜伏期間を思えば「遅い」なんてことがないのは分かってしまいます。
「風評被害が怖いので発表しない」のは、そもそも趣旨が変わっており本末転倒です。感染拡大を予防すること、と、風評被害が起こるかもしれないこと、は、別の問題です。
「パニックが怖いので発表しない」という態度は、発表したらパニックが起こるかもという思い込みと、そんな事態に対応できないという能力不足からくる不安の裏返しです。やるべきことは能力の向上であって、発表しないこと、ではありません。
「実名にすると関係機関から訴えられるかもしれない、関係機関が言わないでほしいと頼んでくる」のも想定されますが、これは、受益者は誰なのかを忘れています。実名を公表してきちんと感染拡大の予防ができるならば、関係機関自身も受益者です。決して、実名を知りたがっている人が受益者なのではありません。
5.何のための報道発表か。
感染力が最強の麻疹において「患者が○人を超えたら実名にする」「感染のリスクが高い機関なら発表する」等の、匿名→実名への切り替えや、線引きは、意味がありません。スピードが大事な感染症危機管理において、基準を議論している時間がもったいないですし、そんなことをしている間に感染は広がっています。各自治体や病院のリスクコミュニケーションのやり方には雲泥の差がありますが、大切なことは「何のための報道発表にするのか」ということです。答えは明白で、感染拡大の予防のためです。
0 件のコメント:
コメントを投稿