ちょっと詰めが甘い文章ですが、せっかく書いたので覚えとして掲載します。
1. 地域の健康危機管理拠点である保健所長には、どのような『判断』や『行動(管轄地域内外への組織的な指示・働きかけ等)』が求められているか。
健康危機管理の失敗とは何か。それは、やらずにおいて危機が広がってしまうことであって、危機が来ないのにやりすぎて無駄骨を嘆くこと、ではない。危機対応をしようとして、実際にはそれほどの危機が起こらなかったとしても、それは胸をなでおろせばよい、というものである。
だから、保健所長に必要な「判断」は、いかにリスクヘッジをするか、である。臨床で言えば救急対応に似る。いま、この場面で、絶対に否定したい疾患は何か。放置すると死んでしまう状態に陥っていないか。もし悪化しても、また病院にアクセスできる環境にいるか等々である。繰り返しになるが、アンダートリアージは失敗を招く。
ゆえに、保健所長に求められる「行動」も自ずと決まる。求められるのは、リスクヘッジに向かう行いすべて、である。「時間、場所、人、物」のファクターを、可能な限り掌握し、危機対応する行動が求められる。
2. 1.述べたような判断や行動を、医師・保健師等の医療技術系専門職が、適切かつ妥当に行っていくには、今後さらに、どのような知識や技術の習得、あるいは経験が必要か。
危機対応で気を付けたい点は多々あるが、ポイントは、危機対応はエンドレスであって、「〇〇をやっておけばよい」というものではない点である。リスクヘッジは、し続けること自体がリスクヘッジになり、また替えの利かない作業である。
事件が起こったとき、自分の体調や思考が不調かもしれない。想定外に対応する柔軟性が失われているかもしれない。驚くセンサーが退化し、危機を察知できないかもしれない。危機を前にフリーズしてしまうかもしれない。事件の数が多ければ、その中に失敗は必ずある。その失敗をも、被害を最小限にするなどのリスクヘッジが我々の役割にはある。
だから、もちろん訓練や想定というものは必要だが、職員の血肉になる経験は、日々の姿勢でのみ磨かれる。自分の癖を知り、居着くことなく、感受性ゆたかに、視野を広く持つ姿勢を、日々の業務で磨くことが必要である。そしてこれは、訓練よりも難しいことである。
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