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2016年7月6日水曜日

熊本地震関連の災害時対応に関するメモの抜粋

2016年6月4日から1週間、保健所支援として御船保健所の業務に携わりました。
熊本地震派遣関連、主に受援、支援、組織運営について
災害時対応に関する「思ったことメモ」の抜粋。
保健所の立場からの私見です。

 項目         思ったこと                    キーワード
組織運営
指揮命令系統の組織図 (ICS) 作成は、図示することが目的ではないし、支援者全員に示すべきもの、というわけでもない。ただ、指揮命令系統の組織図を「描ける状態にあること」は必要。
指揮命令系統
ICS
組織運営
指揮命令系統の組織図(ICS)を描けても、この図からは、各組織のコミット具合や主体性の度合いは見えない。だから、指揮命令系統の組織図(ICS)があるからといって、それだけで動けるものではなさそう。
アクションカードも同様で、それだけで動けるものではなさそう。
指揮命令系統
ICS
組織運営
組織内で、ロードマップや、先の見通しを立てて、共有することは必須。
あらかじめロードマップを作っておいたとしても、発災した場合は、早くから定期的に進捗状況を確認していく。
ロードマップ
見通し
組織運営
保健所も入ったほうがよい市主催の会議(たとえば被災者生活支援会議)もロードマップに入れて、あらかじめ把握しておきたい。あらかじめ把握することで、保健所にとって目標となる。
被災者生活支援会議
組織運営
仮設住宅に移ってからの被災者生活支援サポートセンターが設置されたのち、サポートセンターとも保健所は連絡を密にとっていける体制にしておくとよい。
被災者生活支援サポートセンター
組織運営
保健所職員や市町村職員は、災害時にはそれぞれの部署でやらなければならない業務に専念せざるをえない。業務に必要な人員を、たとえば長期間従事となる避難所要員などには割いていられない。
避難所要員
市町村職員
組織運営
避難所運営を円滑に進める方法の1つに、運営すべてをパッケージ化して提供することがあるようだ。シンプルで円滑な運営ができていそうなのは、外部団体がパッケージ化して提供した避難所であった(たとえばNPOのテント村)。反対に、避難所運営が寄り合い所帯のところでは、連絡さえ複雑化していた。
ただし、これは外部団体に委託すればいいという話ではないので注意。
避難所運営
外部団体
パッケージ化
組織運営
支援が必要かどうかの判断には、必要な仕事量の把握が必要である。必要な仕事量を把握するには、先の見通しが必要である。
そこで、支援をする側は、被災組織に対して「仕事量」や「先の見通し」を求めるのではなく、「仕事量」や「先の見通し」を把握することそのものの支援を一緒にできるとよい。
ただ、被災組織も支援者も、そこまでできる状態になければ、支援が必要かどうかの判断をすることは困難となる。
支援の必要性
仕事量
見通し
組織運営
だから、先の見通しが立てられない、仕事量を把握できない、コミットできない、主体的に動けないことを勘定に入れて、そんな状況であっても役割を果たす(にはどうしたらいいか)ということを考える。
訓練していなくても危機は訪れる。備えがないから対応できない、と言ったとしても、逃げられない。そんな中でも対応しようとするのなら、訓練していてもいなくても、常日頃からの仕事に対する自分の姿勢、自分の役割、自分の存在意義を、磨くしかない。

主体的に動けないこと等を勘定にいれてどうしたらいいかを考えるポイント

1.これを解決するのは「私の仕事だ」と思う人を育てる。
2.組織、自分たちの仕事の、役割や存在意義に立ち返る。
3.100点中、60点以上が合格とは考えない。1点でも10点でも、とれるものならとればいい。0点にはしない、というように考える。
4.できないことは、手伝ってもらう。
5.「なにもかも元通り」になるこをは、めざしていないと思い出す。
役割を果たす
組織運営
災害に関するニーズがあるからといって、「ニーズに答えることが仕事」ではない。
たとえば避難所にて、「野菜が足りない」という声があっても、集団食中毒の危険性が高ければ野菜無しでしのいでもらうのはやむを得ない。
たとえば支援側にて、「物資を送ろう」という声があっても、現地を物資で混乱させる送り方をしてはならない。
ニーズに答えないといってメディアが騒ごうと、市が非難されようと、やってはいけないことは、決してやってはいけない。
ニーズ
組織運営あるいは教訓
管理できないものを危機ということからも分かるように、危機管理とは、管理できないものにどう対峙するか、ということである。やるべきことは、何が起きても驚かずに柔軟に対応できる体制でいること。やってはいけないことは、できない管理をしようとして蓋をして、あふれ出したら身動きがとれなくなること(これこそ危機)
危機管理
柔軟性
支援者の仕事
ロードマップ、マニュアルを整備することや、組織の運営そのものを求められる場合は、1週間の派遣では短く、対応できない。月単位で派遣されると良い。
派遣期間
支援者の仕事
支援先の組織から指示があることを期待せず、活動は自立し、主体的に動くこと。
支援者
自立
支援者の仕事
とはいえ、外部チームが入って仕事をすることで、支援先の組織の自立を阻害しないこと。
支援先
自立
支援者の仕事
撮った写真は、支援先の組織の人にも渡すと良い。支援先の組織は、業務に追われてしまって、活動記録や写真が残らないので。
写真
支援者の装備
ネット(wifi)につながらないパソコンは不便だった。
ネット
Wifi
パソコン
支援者の装備
Wifiルーターをレンタルでもして持っていればよかった(宮城県はwifiルーターをレンタルして持っていた)
Wifiルーター
レンタル
支援者の装備
救援車両に貼るマグネットタイプのステッカーは、走行中に飛んで紛失する。
車両ステッカー
マグネット
支援者の装備
i-padのようなタブレットが一人1台あったので、とても便利だった。
タブレット
支援者の装備
プリンターを持っていくか、いかないか、という話をしていたが、持っていく・いかない、で迷うのではなく、現地で買えばよかった(宮城県は現地で買っていた)
プリンター
購入
支援者の装備
災害用ベストには、ポケットがあると、とても便利。ベストの左右がマジックテープタイプのものは、体格が大きくても調整できるので良い。
災害用ベスト
避難所
「喫煙場所」が設けられていて、吸わない人にとってもよかった。
喫煙場所
避難所
移動式トイレは、使わなくなったら虫や臭いの発生源になるので、片付けまで考えておきたい。
移動式トイレ
片付け
避難所
移動式トレーラーハウスは、感染症隔離にも、診察にも、会議にも使えて、便利そうだった。
移動式トレーラーハウス
避難所
避難所の建物は堅牢でも、避難所周囲には地面の亀裂や陥没があって、外階段やスロープが使えなくなるなどがあった。
避難所周囲
被害
避難所
避難所内にはチラシの掲示が多すぎて、整理できず、何が必要な情報かも分からない。
掲示物
避難所
避難所生活でいくら衛生や健康管理を呼び掛けて規則を作っても、できない人は必ずいて、ある程度は仕方がなさそうだった。
避難所生活
避難所
避難所入口の蚊帳は重宝した。
蚊帳
避難所
スペースの仕切りの高い避難所は、プライバシーは確保できるが安否確認が困難。仕切りの低い避難所は、安否確認は容易だがプライバシーの確保が困難。
仕切り
プライバシー
安否確認
避難所
弁当を配布するまでのあいだ、保冷目的で作った「かまくら」(発泡スチロールの箱で四方を囲み、真ん中に弁当を入れ、上に氷を置く)は、良いアイデアであった。
弁当の保冷


避難所
ペットは外のゲージに入れる、ということが徹底されていてよかった。
ペット
避難所
すべての避難所でペットの受け入れができるわけではないが、ペットも受け入れられる避難所があることは必要そう。
ペット
避難所
飼い主ができるペットの世話は飼い主がやるように、たとえば「餌は飼い主がやること」等のルールがあったようだ。
ペット
飼い主



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