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2016年5月13日金曜日

第90回日本感染症学会総会in仙台に参加したメモ

平成28415日~416日に仙台国際センターで開催された「第90回日本感染症学会総会」に参加したメモ

基調シンポジウム4 15 日(金)9001100 1 会場(会議棟2F 大ホール)
「“One Health:人・動物・環境のトータルマネジメント”」
司会:賀来満夫(東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座感染制御・検査診断学分野)
東日本大震災での感染症は、一般的な上気道炎などに加えて、レジオネラ症(5)、破傷風(10)が多く届けられた。1週間すぎてから、2週目あたりから感染症が増え始めた。

1.“人”in One Health:感染症・耐性菌問題で今しなければいけないこと
東邦大学医学部微生物・感染症学講座,同感染管理部舘田一博
エボラについて、2014年にケープタウンで開催された感染症国際学会で言われたことは、「コウモリを食べるな」。こんなメッセージだが、国際学会で盛んに訴えられるほど、コウモリを食べる習慣があった。
CRE:カルバペネム耐性菌→菌種を超えて耐性遺伝子が水面下で広がっている。全例届け出となっている。
ほか、耐性菌は、VREESBLMRSACDCREとあるが、家畜の体内で生まれている。
NDM-1(ニューデリー)という耐性菌は、劣悪な環境で生まれた。下水が完備されていない場所で、ヒトの便が川などに流れ込み、環境中に入って、食糧などと一緒にヒトの体内に取り込まれることで、ひろがった。
こうした耐性菌の問題を受けて、アメリカでは2015年に耐性菌に対するアクションプランが作られた。アメリカの動きをうけて、日本でも201645日に耐性菌に対するアクションプランが提示された。

2.“動物”in One Health:人獣共通感染症の克服戦略―インフルエンザを例に―
北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター喜田宏
まずは用語の整理をしてほしい:
病原性:生体応答のはげしさ。「毒性が強い」というのは間違い→インフルは毒素ではないから。
伝播性:感染の広がりやすさ
高病原性鳥インフルとは:ニワトリに対して感染するもの。ヒトへの病原性はわからない。
パンデミックインフルエンザ:「新型インフル」と言うのは間違い。ヒトが免疫性を持たないインフルが、ヒトの体内で激しく増殖するから流行し、パンデミックをもたらすのであって、新型だからといって必ず流行するわけではない。流行性だけを考えれば、季節性インフルエンザのほうが高く、病原性、伝播性が高い。
インフルの自然宿主はカモ。カモに対しては非病原性。カモ→たとえばウズラ→ニワトリに入って6か月以上たってから気がつくと死ぬもの→高病原性鳥インフルとなって出てくる。H5またはH7に限られると分かっている。
鳥インフルワクチンは感染を防げない、重症化・発症は予防できる。
201510月にWHOに報告されたのは、H7N9。中国より。ただ鳥は淘汰処分されなかったので、まだ続くと思われる。
パンデミックインフルの疫学調査には、ブタの調査も大事!ニワトリ、ヒト、ブタの中で行き来して病原性が変わるので。高病原性鳥インフルは、それだけでは、ヒトにパンデミックを起こさないが、ブタの体内で変異していくとヒトへの感染性を獲得しうる。
パンデミックインフル:カモ、アヒル、ブタが介在したもの。ニワトリのインフルがそのままヒトでパンデミックを起こすことはない。
水際作戦で侵入防止は無理。また発熱外来は害あって利なし。
“新型“インフル特別措置法は、適応しない努力を。
インフルワクチンの開発は、国や企業1つ1つだけでやっても、どうにもならない。だから産学官連携でやっているところ。
人畜共通感染症克服戦略:網羅的戦略→サーベイランス→そしてイノベーションに向かい→人材育成を。

3.アジア大陸から越境輸送されてくる大気バイオエアロゾルの2 つの顔
弘前大学理工学部自然エネルギー学科小林史尚
黄砂:asian dustという。→サハラ砂漠のamerican dustに対して。最近はyellow dustというようになってきた。飛散の度合いはレベル分けされていて外出禁止まである。
研究では「黄砂バイオエアロゾル」というようにした。
黄砂を分離培養すると生きた菌がでてきた:クロストリジウム。染色すると核が見える。
黄砂の中でみつかったもの:ビルカンデラ(きのこ)、バチルス、ほか動物の死骸、花粉。
黄砂はタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠が発生源。
日本に入り込むエアロゾルは、日本海のものも含む。タクラマカン砂漠は上昇気流、ゴビ砂漠は横、日本では下降するが、到達するエアロゾルのメカニズムはけっこう複雑。
黄砂には納豆菌もふくまれていたので、黄砂に含まれた納豆菌を使って納豆を作って商品化した。

4.特別発言Deputy Director of Division of Healthcare Quality Promotion,
Centers for Disease Control and Prevention, GA, USA Michael Bell
ヒト、動物、環境からの感染というのは、目新しい話ではない。
リソースは限られるが、パンデミックが起こっても、準備ができている、といえる人は少ない。
ヒトの行動、生活様式が、問題を生む。イタチごっこは昔からあった。
抗菌薬は、ただCREに感染することのみならず、外傷や熱傷の人にとっても、二次感染のコントロール上も、問題になる。
XDR-TB:隔離、しているからこそ、他の人は安心して寝られる。治療法がないから。

<ディスカッション>
館田:厚労省はone healthでアクションプランをやっている。
喜多:人畜共通なので、医師と獣医師がもっと協力してやっていく機運は出てきている。世界では獣医師が多い。あと、コンピューター解析ができる人も大事。
ベル:アメリカもone healthは言うが、one healthでもう進んでいる、とまでは言えない状況です。
会場:日本はどこもかしこもきれいすぎるが、世界はそうなってないことを、忘れないように。

特別講演1 415 日(金)11001150 1 会場(会議棟2F 大ホール)
司会:柴孝也(東京医療保健大学大学院医療保健学研究科)
「感染症研究と地域社会」長崎大学片峰茂
野心(野ごころ)のない熱心さは平凡に近い:石田名香雄
野ごころ:とらわれない闊達な心
BSL4施設をめぐる状況と設置に向けた長崎大学の取り組み」
BSL施設は、「検査診断」のみならず、「実験」施設でもある。「研究」施設である。
BSL4:エボラ、ラッサ、天然痘など
BSL3SFTS、結核、狂犬病など
BSL4は、NIID村山庁舎で稼働予定。
研究ができれば、開発ができる、ライセンスがとれる。人材育成もできる。危機管理もできる。
長崎大学:BSL4を作るために、市民公開講座32回、住民説明会67回やった。

ランチョンセミナー5 415 日(金)12001250 6 会場(会議棟3F 白橿12
(共催:MSD 株式会社)
司会:永井英明(独立行政法人国立病院機構東京病院呼吸器センター)
「肺炎球菌ワクチンに関する最新の話題―高齢者に対する23 価肺炎球菌ワクチンの再接種を含めて―」
独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター呼吸器内科川上健司
高齢者に対するPCV23の接種は、ワクチン代を含んでも、医療費抑制の効果がしっかりある。元気な人では1年で平均8万円/人。寝たきりの人においては57万円/人の削減!
日本ではPCV接種率はまだ43%。アメリカ、イギリス、オーストラリアは60%台。
PCV13PCV23の血清型は、ほぼかぶっている。PCV23になくてPCV13にあるものは1つだけ。
でも、実際の肺炎球菌性肺炎に対するカバー率は、それぞれ異なる。小児にはPCV13を接種しているし、血清型も違うし。小児の予防がすすむと成人への影響も出るし(間接的効果)
だから、両方を使って、再接種をすすめたらいいのでは、という考え方になった。
で、再接種は良さそうで、ガイドラインは出ている。PCV13を打つか、PCV23を打つか、で議論中だが、医療費削減効果の証明は、数が少なくて、できない。DPCを見てやるしかないが、DPCを見てもワクチンを打ったかどうかわからないので、再接種による医療費削減効果の証明は市町村単位でやらないとできない。
ワクチン接種の効果は、免疫原性は大事だが、予防効果は、免疫原性を測定してもダメ。実際に疫学的調査が必要で、それをもって予防効果をはかる必要がある。

招請講演1 415 日(金)13001350 1 会場(会議棟2F 大ホール)
司会:岩田敏(慶應義塾大学医学部感染症学教室)
「質量分析がさらに医学へ貢献するために」島津製作所田中耕一記念質量分析研究所田中耕一
<招請講演>田中耕一:質量分析がさらに医学へ貢献するために
講演を受けた理由:米国ではMS for clinical useがすでにある。国プロfirstでは貢献はかなり進んでいる。大村先生も貢献してる…それらを見て、この講演を受けることにした。またMSの生体の研究は、始まったばかり。医学で使ってもらって初めて貢献できる。Eurekaが大事。
分かっているもの、見たいものを相手にする=診断
分かっていないもの、見たくないものを相手にする=研究
ただし、どちらか一方ということはない。
一般的にはわかっていないもの、見たくないものでも、見えるように、感度を上げよう。それを周囲にわかってもらえなくてもよし。やるのは、自分。
MSの分野はまだまだ未熟です。やらなければならないことは、たくさんある。一方で、共同研究を申し込まれることは多いが、すべてに手はまわせない。できることだけを、やらせてほしい。私が得意なことだけに、集中させてほしい。でも、少しでも医学や社会に貢献できるように、今後もやっていく。

90 回メモリアル講演5 415 日(金)15001540 3 会場(会議棟2F 萩)
司会:木村哲(東京医療保健大学)
「我が国におけるワクチン戦略の展望」川崎市健康安全研究所岡部信彦
<岡部>ワクチン戦略の展望
ワクチンギャップを埋める基本戦略ができた。5年間の見直しのうちの2年目。中間報告を考え中だがまだでない。予防接種基本計画:VPDは確実に予防すること、科学的根拠をもとにすること。
予防接種法:1948年~。すみずみまでいくが、rigidで使いにくい面もある。昔は罰則付きの義務規定だった。いまは勧奨接種。
DPTのうち、Dは見る影もなく2000年あたりから0Pも昔は数万の患者がいた、ときどき副反応の事故があって、減ったり増えたりを繰り返しながら、減ってきた。最近は、ワクチンの安全度が上がった分、免疫の持続性が問題になりつつある。副反応と安全度の天秤。
新規ワクチン導入時というのは、慣れてない、使い慣れてない分、問題はでやすいもの。
HibPCVは、2011年に厚労省が一時見合わせをした。副反応報告を受けて20113月に3回議論した。たとえば、ふつうのSIDSと、DPTワクチン接種後のSIDSを比べると、接種量とは相関していないことがわかった。季節性はあるが、接種とは関係ないことがわかった。そういう手続きをちゃんとやって、再開できた。
評価は今後もきちんとやる必要あり。SIDSとワクチンの関連は、いまも調査を続けている。
で、全部がわかっているわけではないが、ここまでの天秤をかけて、HibPCV接種を再開した。
そんなこんなで、天秤を考慮してギャップをうめるために平成25年に予防接種法は改定された。厚労省で、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分化会ができた。
その下に
予防接種基本方針部会―ワクチン評価に関する小委員会
研究および生流通部会
副反応検討部会
とある。
副反応報告制度は平成2611月に改訂された。保護者も地方行政に届ることはできる。
副作用:好ましくない作用の結果
副反応:生体反応、生じておかしくないもの。
有害事象:薬物との因果関係がはっきりしないもの
有害反応:好ましくない反応で薬物との因果関係がはっきりしているもの
HPV:専門家もわからないので、勧奨はしないが、受けたい人は受けられるように定期接種になってもいいように、審議会では答申した。→ただ、結果は、事実上、接種控えになった。

教育講演4 415 日(金)15001540 1 会場(会議棟2F 大ホール)
司会:青木信樹(社会福祉法人新潟市社会事業協会信楽園病院)
「感染症診療における新規迅速検査の役割」
長崎大学大学院病態解析・診断学分野/長崎大学病院検査部栁原克紀
<柳原>迅速検査の役割
遺伝子検査の利点:迅速で、感度高い、特異的な遺伝子の検出ができる。簡便で、自動化されている。
欠点:感受性検査はある程度まで、死菌かどうかは不明、すべての病原体はカバーできない。患者の病態と一致しない場合の解釈が難しくなる。
検査は進展してるので、臨床に入ってくるが、保険収載が欧米にくらべて大幅に遅れている。

シンポジウム4 415 日(金)15401740 1 会場(会議棟2F 大ホール)
「感染症診断の進歩検査法の進歩で感染症診療,感染対策がどのように変わるか」
司会:飯沼由嗣(金沢医科大学臨床感染症学)
三澤成毅(順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床検査部)
1.微生物検査の自動化東北大学病院診療技術部検査部門豊川真弘
<豊川>微生物検査の自動化
1979年は菌をうえこむだけの機械だったが、いまは感受性まで出せる。全国的にも感受性までほぼ自動化されている。
省力化、迅速化は図れた。標準化は、できつつあるが、用いるパネル等によってMIC値が異なる。VCMCREも→機械によって、耐性と判断されたり、されなかったりする。
システム化も必要。
デメリット:機械任せになる→コンタミ、誤判定に気がつかない。標準化の問題。検査の目的を見失う→手間のかかる検査はできない、やらない、となる。

2.質量分析法による微生物迅速同定の臨床効果千葉大学医学部附属病院検査部 村田正太
<村田>MS 微生物迅速同定の臨床効果
培養したあと、MS10分で同定できる。従来は2日目に確認培地18時間にいれてた。判定は3日目だった。MS2日目に同定できるようになった。
血培ボトルからも、同じような感じで1時間くらいで同定できる。

3.微生物遺伝子診断の実際Virginia Mason Medical Center 千原晋吾
<千原>
FDPの認可は、遺伝子検査数は右肩上がり。
メリットは、死菌でも(抗菌薬投与後でも)検出できる。短時間で。
デメリットは、技術、コスト。
組織片からの直接シークエンスは、細菌、真菌、AFBPCRnext generation sequencing→複数菌を同時に、量的にできる。
凍結組織やパラフィンにいれられた組織、液体でも検査可能。
検査のコストは高くなる、が、病院全体でみると、隔離日数が減るので、安く上がる。
培養検査は必要。アメリカのvirginia masonではnanosphireを使ってる。
アメリカでの患者さんの適応は、入院、あるいは、救外のみ。外来では×。

4.新しい感染症検査と臨床応用のギャップ―どのように利用するべきか―
亀田総合病院感染症科細川直登

<細川>ギャップを埋めるには。
従来法:培養できない菌種がある。抗菌薬投与では無理。時間もかかる。
新しい方法:それぞれ得意なものがある。迅速、培養不要、生化学的性情を問わない。が、欠点もあって、感度と特異度が不足、遺伝子検査はプライマーがあるものしかわからない。MSは鑑別不能な菌種もある→大腸菌と赤痢菌が区別できない。
新しい方法は、従来法を補足はするが、置き換えるものではない。
Gram染色を超えるところに価値があるか。Classicなものを越えるところに価値がある、それができるか。
菌名同定はMALDI-TOF-MS、感受性検査はMICパネルを使っている。ブレイクポイントが変わっても対応できる。
当然ながら、感度、特異度、陽性陰性的中率、検査をなぜやるかを考えてやる必要がある。
保健適応は意識をかえて、網羅的な遺伝子検査ができるようにしてほしい。いまは限定的にしか使えない。

イブニングセミナー4 415 日(金)17501840 5 会場(会議棟2F 2
(共催:花王プロフェッショナル・サービス株式会社)
司会:藤田直久(京都府立大学)
「感染管理ベストプラクティスをはじめよう!」
1.感染管理ベストプラクティスとは特定非営利活動法人日本感染管理支援協会土井英史
<土井>感染管理ベストプラクティス
マニュアルがあっても、手順書として活用されなければ、現場では反映されない。
ベストプラクティスは、事例集であって、教科書ではない。
イラストで伝え→他者が評価する。成績を可視化する。そしてゴール設定して再チャレンジ。これは日本のオリジナル。
現場全員がやらないと意味がない。これは方法論の1つ。

2.感染管理ベストプラクティスプログラムと地域連携~北海道ブロックの状況~
北海道大学病院感染制御部石黒信久
<石黒 北大>ベストプラクティスと地域連携。北海道ブロックの世話人をしている。
院内マニュアルの順守率を上げるもの=ベストプラクティス。
1.自分たちの何が問題か
2.イラスト化
3.チェックリスト
4.結果解析と課題の抽出。 これPDCAだな。

3.新型インフルエンザ等対策における感染管理ベストプラクティス三重大学医学部附属病院田辺正樹
<田辺>
ベストプラクティスを新型インフル対策に適応すると、どうなるか。
国はパターン1~5まで決めている。隔離~そのまま、まで。
検疫感染症:1、2類と、4類のうち、ジカ、デング、チクングニア、マラリア。
特措法が対象としているのは、WHOのを参考にして、国立保険医療科学院が日本語訳を作りました。
ベストプラクティスの資料は、三重大ホームページに掲載してある。

<総括 賀来>
ベストプラクティスは、とても大事な概念。MARS版もこれから作る。
ぜひ関係者に広めてほしい。

特別講演2 416 日(土)900950 1 会場(会議棟2F 大ホール)
司会:倉田毅(国際医療福祉大学塩谷病院検査部)
「我が国における感染症危機管理―国立感染症研究所の果たすべき役割―」国立感染症研究所倉根一郎
<倉根>我が国における感染症危機管理
国の省内での連携がまだまだ不足している
WHOと厚労省との連携は進んでいて、WHOから職員の派遣を依頼される。
感染症法で地方衛生研究所の役割が位置づけられた。厚労省と共同してレファレンス活動(検査精度管理や、厚労省から衛生研へのプライマー供給まで)をしている。
院内感染症サーベイランス(JANIS)で、薬剤耐性菌のデータを集めている。国のデータとして見れるところまで、薬剤耐性菌のデータが蓄積してきた。全国1600医療機関が参加。データはフィードバックしている。
ワクチンは、国家検定をしている。検定しているロット数は徐々に増えている。検定結果を精度管理に生かしている。もし緊急でワクチンを輸入したとしても、検定は必ずする。

シンポジウム9 4 16 日(土)9401140 4 会場(会議棟2F 1
「アウトブレイク対応の実際」
司会:松井珠乃(国立感染症研究所感染症情報センター第一室)
徳田浩一(鹿児島大学病院医療環境安全部感染制御部門)
1.カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)による院内感染事例唐津赤十字病院内科ICD 宮原正晴
<宮原 唐津赤十字>
Enterobacter CloacaeCREアウトブレイクが平成27327日、整形外科オペ後の患者から出た。
430日以降、1週間に7人くらいのアウトブレイク。ICUをとめて、その後、保健所や佐賀大学と共同で対応したが、CRE10人こえて報道発表した。
その後も患者は増え続けた。NIID、日赤本部の指導も受けた。
外部評価委員会を282月に設置。
28年に入ってから、入院時に検出2例もあった。持ち込み陽性。
保健所に入ってもらったあと、大学、NIIDなどにつないで、外部評価委員会も設けることになった。かじ取り役を保健所にやってもらった。
転院する前には、3回陰性化を確認してから転院。自宅は保菌でも退院とした。
環境培養でも水回りから検出された。バスタブも。
NIIDの指導で、整理整頓、水回りの掃除など、細かく指導された。というか、全然できてなかった。結構ひどい有様だった。
あとからふりかえると、病院が確認できなかったNo.0の症例があったようだ。
反省として、1例目の対応をもっとしっかりしておけばよかった。またPtの移動があったのに把握できてなかった。症状ないのでスクリーニングしないと分からなかった。
保菌状態の患者:転院は、便咽頭尿の3回陰性を確認し、転院先が納得したら転院。自宅は生活上の注意点を説明して退院。再入院時は陰性でも保菌に準じて対応。
1か月で合計6000万円くらい赤字。ICUとめたのが4000万、ほか培地、スクリーニング代金。
感染対策加算をとってるので、外部評価にほかの病院の協力をもらっている。
佐賀県保健所 中里Drの提言があるので、参考にされたい。

2.ノロウイルス胃腸炎の院内集団発生事例鹿児島大学病院医療環境安全部感染制御部門徳田浩一
<徳田 鹿児島大学>FETP卒業生
ノロの集団感染 報告。
患者3人、職員3人で検出(症状陽性はあわせて11人)
報告基準としては満たさないが、保健所にも連絡した。病院としては、1週間以内に3人以上患者が出たら、アウトブレイク疑いとして扱うよう基準している。
職員は、症状おわって48時間経過したら復職としている。その後に検査で陽性になっても、標準予防策をやることで勤務継続としている。
PCR陽性3人のうちIC(イムノクロマト法)も陽性になったのは1人だった。ICは感度に難あり。

3.病院におけるインフルエンザ集団発生事例
国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP 石金正裕
<石金>
探知:広島県の老健A2015110日に記者発表
確定症例の属性:高齢集団、基礎疾患多い
確定症例の合併症:肺炎はあったが、脳炎はなかった。
インフルエンザ分離株の解析:ワクチン株と異なる病原性だったことが判明
確定症例と予防内服との関係:IDSA2009のガイドラインにはのっとれなかった

4.侵襲性髄膜炎菌感染症のアウトブレイク対応について国立感染症研究所感染症疫学センター神谷元
<神谷>侵襲性髄膜炎菌感染症IMD
髄膜炎菌は保菌していることは異常ではない。
飛沫感染。患者数は少ないが、致命率10-15%と高い。
ほとんどの抗生剤に感受性あり。ワクチンは日本では4価のが2015年から発売されている。
リスクはわかりつつある、補体欠損、無脾症など。集団ではサハラ以南の髄膜炎ベルト。
アウトブレイクの定義CDCのがあるが、甘いのではと言われている、改定されるかも。いまは同じ血清型で3か月以内に3例以上、10万人あたり10人以上としている。
プリンストン大で2013年にアウトブレイクあり、学生間で広がった。が、いずれも濃厚接触者ではなかった。8人まで発生。ほぼみんな敷地内の寮で生活。
無症候性保菌者からの感染伝播もありうる。ワクチンはIMDを予防するが、排除はしない。
いま日本では、0.028%の発症率で、海外とくらべてかなり低い。高齢者のほうが小児よりなぜか多い。血清型はY型が多い、昔はB,Cが多かった。
血清群が違うとワクチン打っても意味がなくなる。
日本ではやってなくても、マスギャザリングがあるとアウトブレイクおこりうる。実際、ボーイスカウト大会が日本であって、スコットランドとスウェーデン隊が帰国後に発症した、W型だったので日本のものでなく、大会でスコットランドとスウェーデン隊の間での感染だった。

教育講演14 4 16 日(土)13251405 4 会場(会議棟2F 1
司会:堀誠治(東京慈恵会医科大学感染制御部)
「“One Health”時代の感染症とリスクコミュニケーション」TBS テレビ報道局解説委員小嶋修一
<小嶋 TBS>リスクコミュニケーション。精巣膿瘍2回。科学部。
メールで賀来Drから、「災害時は、1週目までは外傷、2週目あたりから感染症が増加。50歳以降は免疫力下がり、トキソイド必要」などなど、報道に関するアドバイスをもらった。
One way:メディアの情報伝達。これをtwo wayにしなければならない。
正確で、必要な情報を、瞬時に、拡散。情報に広がりがあるのが望ましい(リンク等)
情報の更新、だれが見てもよくわかる情報を→TVは中学生レベルで出している。
出す情報は、発信源と、発言者の身分の開示、連絡先、情報発信日の明示。
マスコミとの連携:マスコミを利用するように。
SNSは武器:双方向性、迅速性に優れる。使える武器は使ってほしい。貴重な人的ネットワークになる。
報道で、パニックになる人、その逆の無関心になる人、どちらへも対応が必要だが、ここの対応まではSNSではできない。
災害時は、TVではなく、ラジオ。
第一人者には必ずゲスト出演してもらうようにしている。だから専門家とのかかわりを平時から大切にしている。
TVの世界では、社会部の記者か、科学部の記者かは、大きな違い。たとえばワクチンの副反応で問題視するのは社会部、ちょっと待てよ初めから想定されてるんじゃないかと考えるのは科学部の記者。
TVで多少難しい内容を放送することがあるが、それは、TVを見たあとで、次の行動を起こしてもらうために放送している。TVは見ておわりではない。だから、TVを見せて次にどんな行動を起こしてもらいたいか、を考えて、TVを利用すればよい。
リスコミは奥が深い。各学会が、マスコミとどのように付き合うか、有事の時はどうするかというのをあらかじめ決めておいてほしい。

シンポジウム13 4 16 日(土)14051605 4 会場(会議棟2F 1
「感染症におけるリスクコミュニケ―ション」
司会:加來浩器(防衛医科大学校防衛医学研究センター広域感染症疫学・制御研究
部門)
光武耕太郎(埼玉医科大学国際医療センター感染症科・感染制御科)
1.感染症指定医療機関におけるリスクコミュニケーション~エボラ及びMERS 対応などを通じて~
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院国際感染症センター堀成美
<堀成美>NCGM
アメリカで看護師が2人エボラに感染し、Stop blaming nurse, stop ebola→これ自体はよいメッセージだったが、のちに、すべてのナースを守る運動になってPPEの買い占めがおこり、ほんとうに必要なところでPPEが買えなかった。
いざとなっても、全然きまってなかったもの2つ。
1.誰に:仲間、院内スタッフ、保健所、自治体、国、国際機関、検疫所
2.何を:情報共有、定期訓練(オペレーションの確認)、院内スタッフ、研修
Pro med mailinternational society for infectious diseases
メディア対応の実際:病院から個人情報を発信することは絶対ない、厚労省から来る、と事前にメディアに言っておいたら、取材は外までは来ていたが、張ってるだけだった。
リスコミやマニュアルは、伝わらない、のが個人的な課題。

2.新興感染症発生時のリスクコミュニケーションを考える
国立感染症研究所感染症疫学センター第2 室(感染症情報室) 砂川富正
<砂川>
2003SARSを振り返ってみる。
香港2003年は、SARSのため、町がみんな暗かった。エレベーターのボタンを押すことさえ指先をティッシュでくるんでやるなどしてた、だれも話さなかったりして。
PWHという病院で対応:みんな2か月くらい自宅に帰らなかった。でも「陰圧室まではいらない、飛沫感染です、ふつうにやりましょう」と提言したら、スタッフはすんなり受け入れた。
アモイガーデンというマンションでもアウトブレイク:200例を超える。このため市民の恐怖感が増した。住宅の縦方向のエアロゾルによる発生が考えられた。
で、対策は、飛沫感染対策、水回りの掃除、これをやればいい、ということを、現地の学者が訴えていたのがよかった。
日本国内では、2003年でも、国の対策はバラバラだった。保健所ごとだった。
記者からは、「あんた、何か、隠してるんでしょ」といきなり言われた。
リスコミ:注意しよう(事前準備)、落ち着こう、みんなで対応しよう(クライシスコミュニケーション)
WHO outbreak communication guideline:信頼、早期の伝達、透明性の確保(弱さも出す)、人々を念頭に、計画性が大事。
IHRのリスク評価:公衆衛生上の深刻性、予測不可能性、国際伝播性など。
ゼロリスクはない。今、何もしなかったら、どうなるか。
楽観的なシナリオ、最悪のシナリオ、尤も可能性の高いシナリオ(これが大事)→これをone voiceとして発表。

3.大学病院におけるリスク・コミュニケーション~CRE 事例とその影響~
長崎大学病院感染制御教育センター寺坂陽子
<寺坂陽子>
長崎大学NICUCREアウトブレイク。報道発表2回。NICU2か月閉鎖。
CRE:便。スクリーニングは一般的に行われず、一般的な便検査ではCREは発見できない。
もともと腸内細菌なので、無症状で腸内に常在する。

4.マスメディアの側から見たリスクコミュニケーションのあり方日本経済新聞編集委員高坂哲郎
<高坂>日本経済新聞編集委員 国際部:安全保障、軍事など担当。
1.平時の備え
2.ありえなさそうなことまで考えておく
3.内外との関係
これらは報道機関も医療機関も同じ。
ただ、「報道が危機を煽った」と医療関係者から言われることが多い。手段の1つとして報道をつかってほしい。
報道機関をいかに使って目的を達するか
・平時の記者教育。少しでもわかっている記者を育てる。NIIDの取り組み:月1回やってる。
・ニュースの減少後:対策は、メモリアル報道。記念日の少し前、2-3か月前にアナウンス。
・失敗経験に向き合うのはつらい→検証作業に利用してほしい。「うまくいった場合」と「いかなかった場合」の比較研究を。→米国軍事専門家の問題意識①普段から受け手の「聞く耳」を育てる。②相手がとびつきたくなる形での報告を(プレゼンが大事)

報道対応は、危機管理の一部でしかない。危機管理のPDCAを回すのだが、訓練が何より大事。で、報道対応に関しても、訓練につぐ訓練をしてほしい。いろんな記者も呼んで、どんな記事が書かれるか、も知ってほしい。

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