Valsalva手技で10秒ほど息むと、胸腔内圧が上昇し、静脈還流量が減少する。
静脈還流量の減少は、左室容積を次第に減少さす(最大50%まで減少)。
その結果、血圧低下、1回拍出量低下が生じ、反射的に交感神経が緊張し、頻脈となる。
息こらえを解放すると、はじめの数拍の間、血圧は低下する。これは虚脱した肺血管からの血流は数秒間減少したままだからである。
その後、血圧は、Valsalva操作前の値を上回るように上昇する。これは交感神経緊張による末梢血管抵抗の増大により引き起こされる。加えて、胸腔内圧上昇により抑えられていた静脈血が一気に心臓に戻る。数秒後にはこの増大した血液が左室に到達し、1回拍出量を増加さす。その結果、頚動脈洞の圧が上昇し、逆に反射性の徐脈を引き起こす。
コメント:なんと、Valsalva手技で徐脈になるのは、息こらえをやめた後だったのか!
参考文献:
Bedside Cardiology―診断のエキスパートを目指して [単行本]
Jules Constant (著), 井上 博 (翻訳), 富山医科薬科大学第二内科 (翻訳)
出版社: 総合医学社 (2002/04)p71-73
DOCTOR‘S MAGAZINE
2011年03月号