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2022年8月11日木曜日

「健康フォローアップセンター」が不要であり、何の解決にもならない理由。

厚労省から
「『医療機関・保健所の負担軽減』と銘打って通知(https://www.mhlw.go.jp/content/000973522.pdf)を出したのに、なぜやらない?」と問い合わせがきたので、以下のように回答しました。

一言でいえば、負担軽減どころか、単純に「負担が増えるから」です。

<健康フォローアップセンターは不要&不可能である理由>
1.まず患者は「医療」を求めているため、受診や処方の体制を構築しなければ、自己検査の数を増やせても対応することができない。検査の数だけを増やせば、その後は必ず受診行動につながってしまい、現状の医療提供体制がますますひっ迫してしまう。すでに地域医療の提供に支障を来している中で、このシステムは受診患者の急増を招きかねず、ひいては重症患者が受診できない状態を作ることになる。
2.また「保険や会社のために証明書がほしい」という患者が、不要な受診を増加させる原因になっている。「受診しなくても証明書を発行するシステムを構築する」のではなく、そもそも「保健所や自治体は証明書を発行しないシステム」に変更していただきたい。保険会社が療養証明書を求めるのは保険会社の勝手であって、療養証明書の発行は保健所の本来業務ではない。
3.そもそも感染症は、発生届が提出されて初めて保健所が所管する業務になる。「自主検査→自主療養」のシステムは、保健所の本来業務ではない(それってただの風邪でしょ)。それでも体制を構築したければ、国が一括してシステムを構築するべきである(オンラインであれば国が構築することは可能であろう)。
4.市町村レベルでは、すでにコールセンターを24時間体制で稼働しており、自己検査結果に対する相談を受けて、体調悪化時に繋がる体制が確保されているので、健康フォローアップセンターとして一定の役割を果たしている。
5.上記の理由により、健康フォローアップセンターは不要と考えるが、そもそもこのような大きなシステムを保健所設置市が単独で設置することは不可能である(医師の確保すらできない)。それでも設置するように指導する場合は、国または県が一括して保健所設置市の分も含めてシステム構築されたい。

<発生届の『簡略化』を実施しない理由>
1.重症化のリスクがある患者と、ない患者で、発生届の記載事項に相違が生じるため、その仕分けをして発生届を出すことは、医療機関にとって、かえって負担になる。
2.ただでさえ発生届の記載ミスが多いので、一律の発生届の記載方法にしなければ、ミスが増え、保健所が医療機関に行う確認作業も増え、保健所の負担が増加する。
3.所在地が「市町村名まで」しか書かれない場合、その後の事務処理にすべて影響が出てしまうため、所在地は明記される必要がある。宿泊療養、配食サービス、パルスオキシメーター配布、療養証明書(どうしても紙が残っていて、すべてをmy her sysで代替させることはできない)など、すべて、発生届の所在地情報がなければ手配することができなくなる。

ここまで書いても、本音では"保健所の負担軽減"なんて二の次で
「健康フォローアップセンターを作れ」って言ってくるんだろう。

あ、そうそう。

通知の中には
「忙しかったら、療養証明書の発行を、後回しにして一時ストップしてもいいよ」
とも書いてあって、ホント何も分かってねーな、と笑ってしまった。

1.療養証明書の発行を"後回し"にしても、毎日600~800通の書類を作る作業が"後回し"になるだけで、仕事は減りません。
2.厚労省がいくら「後回しにしてもいいよ」と言っても、市民は納得しない。必ず保健所に「書類はまだか?いつ届くんだ!」というクレームが来るのです。だから後回しにすればするほど、仕事が滞ってしまう。そーいう電話を受けながら仕事したことある?
3.だから保健所の我々が欲しいのは「後回しにしていい」なんていうお墨付きではなく「療養証明書は保健所に作らせないこと」です。

あー疲れる。

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