オンライン視聴の体制はあったけれど、配信は後日で、質問をしたければ当日参加するしかなかったので、参加してきました。
コロナ対応において、肝腎の西浦・押谷シンポでは、班会議があったので途中退席せざるを得なかったのが残念です。
そもそも、日本のコロナ対応は、公衆衛生学会としてどう評価するのか、批判的かつ建設的に学会でこそ議論をしなければならないでしょう。しかし、そのようなタフな議論の場は1つもなく、むしろそのような「荒れる議論」を避けているようにも感じました。
そんなへなちょこ学会には、もはや存在意義はありません。
今回の学会でおもしろかったのは
キャンサースキャンの福吉さんの話、と
子ども食堂の湯浅さんの話、です。
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12/21
<COVID-19の世界的な流行への検疫所における水際対応を振り返る
<海外の感染状況と水際対策での陽性例>
垣本和宏(那覇検疫所)
・Our world in dataの国別の新規症例データなどを参考にした発表。
・空港検疫での陽性者数を数えても、一概に傾向は言えない。バイアスがたくさんある。
・空港検疫での陽性者の比率を見ても、同じ。デルタが出たといって比率が上昇したわけでもない。
・全入国者に検査を開始したのは2021年1月。そこから検出率は上がった。サーモグラフィで少しの人しか検出できなかったときとは違う。
・陰性証明書の提示義務化後も陽性率は大きくは変化しなかった。
・滞在国は1位米国、2位中国だが、中国から入国した人の陽性者は実際に少ない。0ではない。
・それぞれの国の陽性者が増えてくると、空港検疫でその国から来る人の陽性者は増える。あたり前でもあるが、増えている国から出ようとする人の影響もある。
・貨物船はずっと止まっていない。貨物船で陽性者が初めて出たのは2021年1月。
<関西空港における入国者に対する航空機検疫の実際と課題>
沖俊佑(関西空港検疫所検疫課)
・抗原定量で判定保留の場合はPCRを行う。
・2020年12月1日~2021年7月31日の入国者は約7万人、うち263人陽性。0.36%。
・陽性者は基本的に施設に行くが、米軍陽性者は米軍で管理する。
・療養施設に入所した258人中、10人だけ医療機関に搬送された。そのうち中等症II以上は3人。中等症が3人、軽症が4人。
・関空検疫の年間予算は、2018年は8億だったが、2020年は94億、2021年は112億。検疫業務の効率化が必須。
・非協力的な乗客への対応は限界がある。
<クルーズ船などの船舶に対する検疫とその今後の対応>
梅田恭子(厚生労働省横浜検疫所)
・コロナ前の2019年には約2800回のクルーズ船が寄港していた。
・多いのは、那覇、博多、横浜、長崎、石垣。
・世界中でいまは厳しいガイドラインでクルーズ船が運行されているが、世界各地を回るようなクルーズはできていないし、船内での交流もない。今後はこのガイドラインが緩和されていくだろう。
・提言:クルーズ船の入港拒否権や、予防的検疫の権限の強化、が必要。検疫法しかないので、IHRに働きかける必要がある。
<貨物船に対するこれまでの検疫及び港湾区域における検疫衛生>
川﨑浩三(大阪検疫所検疫衛生課)
・令和2年2月を起点に、前後1年間の業務量を比較した。
・船舶の件数は、大きく変化なし。
・ただし、人数は大幅に減少した、乗客が減ったから。
・輸入動物は、船舶によって、大幅に増えた。0だったのが4万7千。飛行機が止まったので、コンテナ船で動物が入ってくるようになった。
・職員一人当たりの業務量は変わらなかった。平時業務が減少し、応援業務が増加した。
<空港検疫における感染制御>
高倉俊二(厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課)
・NIIDが初期に示した感染防御策が役に立った。最初はぬぐい作業でN95だったが、その後、サージカルマスクでいい、と変わった。
・でも実際は、物資がない、とか、患者が増えすぎた、とかで、やむにやまれず変えていく、ということがドライビングフォースだった。
→やめられる業務はある?どうやって効率化していく?で、どれが役に立った?
A:NIIDのガイドラインで示してもらえると現場で根拠として使いやすい
<日本公衆衛生学会・日本計画行政学会共同企画「感染症に強い社会のための組織と制度:新型コロナ克服のための社会システム」>
<ニューノーマルに対応したまちづくりの方向性>
後藤史一(国土交通省都市局まちづくり推進課)
・テレワークで、オフィス需要が減った。ビルの老朽化どうするか。東京への一極集中の是正が進みやすくなる、かも。
・都市の持つ「集積のメリット」は活かしつづけたい。人やモノを集中させる都市そのものの機能は変わらない。
→「選択と集中」とか、ムリやで。市街化調整区域を変えないまま行くつもりかよ。
つまんねー――――――。既存の機能を活かすのはいいけれど。
<感染症対策における国と地方自治体の情報連携、役割分担と権限>
白井千香(枚方市保健所長;全国保健所長会副会長兼健康危機管理委員長)
・感染症法は厚労省、特措法は内閣府。
<感染症危機管理における計画とリスク管理における計画行政の課題>
・新川達郎(同志社大学)
計画行政の研究の立場から。
→他人事の発表だった。「成功と失敗」って言われても。
→2学会の共同企画、なんてつまらないシンポジウムだ。フロアーからの質問を受け付けないなんて。
<ポストコロナにおける都市と交通のあり方>
森本章倫(早稲田大学理工学術院)
・コンパクトシティは「郊外の切り捨て」ではない。コンパクト化すると行政コストが下がるのは確か。コロナを考えると、悩ましい。
・人口密度の高い都市は危険か?No。密度ではなく、構造的な問題。
・必ずしもコンパクト化するのではなく「田園風景は残す」ということもやれる
→そんな都合のいいことできる?
→まちなかのビルの中に新しい図書館ができて、近所の図書館が閉鎖される。
→まちなかに市民ギャラリーができて、近所の生涯学習センターが閉鎖される。
→トマトは東京で消費される一方で、地元にとって野菜は高級品になりつつある
身体感覚として釈然としない。
実際「保健所も減っている」。行政コストは下がるんだろうけど。
そもそも、どれくらいが「行政コスト」の適正値なの?
1000人あたりの公務員数って、そもそもめっちゃ低いんですけど。
その流れで保健所は減ってるんですけど。
<包括的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)施策・政策のフレームワーク構築へ>
今中雄一(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療経済学分野、日本公衆衛生学会COVID-19施策・政策研究班)
・いろいろ評価しています。
<シンポ:感染症に強いまちづくり>
・後藤:walkableな街づくりは進めたい。あとは働き方改革。
・森本:1.社会をより豊かにすることを追及するべきだ。2.情報通信技術を駆使して賢い選択をすることができるようになった。自動運転社会にも対応できるように今から準備しておく。
<感染症に強い組織と制度>
・新川:危機管理をポイントにした計画行政を実現していくこと。1.想定外について考えておく。2.災害や感染症の事後、早い段階での評価。これの専門家の声を積み上げていく。
・白井:保健所の指針に健康危機管理をきちんと入れる必要がある。感染症が触れられていないし、20年変化なかった。コロナは計画改定の追い風と考えてやっていく必要がある。
<教育講演1:リスクコミュニケーション>
演者:吉川肇子(慶應義塾大学商学部)
・リスコミの定義:1989年national research council 個人、集団、機関の間における情報や意見のやりとりの相互作用的過程である。それは、リスクの性質についての多様なメッセージと、その他の(厳密にいえばリスクについてとは限らない)、リスク・メッセージや、リスクマネジメントのための
・相互作用的にコミュニケーションする、というのは、自分が何を知っていて、相手が何を知っているか、お互い知っている状態。
・リスコミと、クライシスコミュニケーションの違い
クライシスコミュニケーションは1960年キューバ危機の政治外交に起源を持つ。
リスコミは1980年代に出てきた。
・両社の方向性を分けた事件
1982年J&Jタイレノール事件
1984年ボパールの毒ガス漏れ事故
クライシスコミュニケーションは9.11以降、再興の兆しがある。
・感度の良い人が適切な場所にいる重要性
・「誰がやっているか」でリスクコミュニケーションなのかクライシスコミュニケーションなのか区別できる。
・噓も方便でもある。
・「助けて」と叫んでも助けてくれないが「火事だ」と叫ぶと人が集まる。
・クライシスコミュニケーションは、歴史を知らない、誰がやっているか分かっていない、起こる前の状態のことをモニターしていない。
・ひるがえってコロナは…
謝らない専門家と、訂正されない情報
結果として市民の知識が更新されない
・スティグマ化を引き起こす烙印付け
〇〇クラスタ―、〇〇の街、幽霊病床
この言い方をしても、話者自身は自分の評判を落とさない。
・結果の責任は行動変容しない市民のせいにされる
感染が起こると、努力で防ぐことができたのにもかかわらず、そうしなかったからだという推論を引き起こす
・エリートがパニックを恐れる
・エリートがパニックを引き起こす
・透明性が大事。議事録があれば見直しができるが、今回はそれをやっていないので、見直しができない。
・人の命がかかっているときに「三密」と語呂合わせをやっている場合ではない
・数字をきちんと出す、そこが第一歩なのだが、それすらできなかったのではないか
→「数字を出さなかった」のではなく、コロナの患者数を厳密に出す必要性があったかどうか議論しなかった。私は、そんな数字は必要ない感染症だと思っている。問題は、数字を出さなかったことではなく、それ以前の問題で「コミュニケーション」が立ち上がらなかったことにある。いつ、どこで、誰が、どうやって決めているのか、それすら分からない。「リスコミ」どころか、コミュニケーションの場が立ち上がらないこと」が問題。
吉川さんは「リスコミ」を科学的に批評しようとしているが、その批評性はずいぶんと主観的かつ先入観があることに自覚的なのだろうか。ご自身は、コミュニケーションの場を立ち上げようとされたのだろうか。
<教育講演2:公衆衛生分野におけるナッジの活用~ナッジの本質とテクニック~>
演者:福吉潤(株式会社キャンサースキャン)
・保健師の嘆き:なぜ住民は健診を受けてくれないのかという嘆き。住民に知識が不足している→啓発が必要、という前提。
でも、マーケティングでは、知ること、と、行動すること、は別もの。伝える、ことと、伝わる、のは別物。
・サービスの内容を変えなくても、メッセージを工夫するだけで大きな効果がでる。マーケティングが効く。しかしどうしたらもっと効果的に人を動かすことができるのか、理論的な枠組みがなかった。
・はたから見たら非合理的な決定をしている人も、いろいろバイアスにさらされているので、本人にとっては合理的な選択をしている。だから
・非合理的な意思決定者に合理的な説得を試みるのは非合理的。バイアスを理解し、バイアスを利用する。
・プロスペクト理論:損失を避けたい気持ち>得をしたい気持ち
・利得メッセージと損失メッセージで比較すると、損失メッセージのほうが伝わる場合がある。「今年度、検査を受けないと、来年度は受けれない」と。
・フレームワーク:MINDやEAST。
・伝える量と伝わる内容は、伝える側の責任。
我々が身につけなければならないのは
・エビデンスの有無、強弱をよみとく疫学的知識
・エビデンスがあることを推し進めていくという倫理観
→ナッジを使おうとする人が、自らを律することができるのか
→結局、価値観を決めているのは「こっち側」だよな…。だから、ナッジを使うか否かにかかわらず、問われるのはこちら側の倫理観だな。まずは「No harm」なんだけど、これ、出来ているかなあ?
<教育講演3:最近の医療経済学の動向―日本の諸問題に貢献できるか?>
演者:兪炳匡(神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科)
・よくある議論で国家財政が破たんする、という話があるが、出ていく方の話ばかりで、どうやって入ってくる方を増やすか、を考えていくべき。歳入増を。
・テーマは3つ
1. 患者個人の行動変容
芸術、人文社会科学によるイノベーションが必要(例:演劇手法)
2. 費用対効果。便益分析の「不適切な前提条件」は変えるべき
マクロ経済成長率を考慮すべき
経済の外部性、不確実性を無視した結果がコロナ下の医療崩壊
3.医療費抑制論への反論
予防教育の経済波及効果、雇用創出効果は高い
・「プランB」も2021/3/17に出した。絶版本も含めて3冊同時に出した。
・プランAとは
1%を対象に、勝ちを増やす、輸出と設備投資の増大、利潤率と株主配当の最大化
・プランBとは
99%を対象に、負けを減らす、地方から東京への富の流出を減らす+経済成長、実質賃金を最大化する、将来生き残る産業に雇用を創出させる
・「医療の質は同じでコストを削減した」という発表は多い
・患者個人の行動変容については、金銭的動機付けは弱い
・イノベーションが必要
More is better は否定されている。1ドルより2ドルあげるほうが体重が減る、という理論は、全然合わなかった。相関関係はなかった。だから、ここにイノベーションが入る余地がある。
・水野和夫「資本主義の終焉と歴史の危機」
国債利子率が2%以下になると、その経済システムは終焉する
国債利子率は、その国全体の、利潤率と同じだから。
・先進国はどこも2%以下になっている。日本はぶっちぎりで低い。むしろ(-)になっている。
・「医療費抑制」の根拠は、とても弱い。
<公衆衛生はコロナから何を学ぶのか(全国いきいき公衆衛生の会)>
・前田先生
第5波では若い人が感染しなくなって終息したが、若い人の感染が終息した理由が分からない。どうやら自分たちが自然に行動変容を起こして減ったようだ。
→んなアホな。
・岩室紳也
感染経路対策がないがしろにされる日本。
→うーん。そもそもが…
12月22日
<モニタリングレポート委員会による賛否の分かれる公衆衛生対策に関するディベート>
<新型コロナワクチンの接種の優先順位-「若年層」を優先する対策の賛否>
横川博英(順天堂大学医学部総合診療科学講座)
髙橋美保子(埼玉医科大学医学部社会医学)
・賛否の論点
重症化予防か、感染予防か
パンデミック下での資源の配分
パンデミック下での倫理的配慮、希少資源配分の倫理原則
医療費が減らせるのはどっちか
いつしか「医療崩壊させないためにワクチン」となってしまったが
→いやー、むずかしい。
高齢者を先に打てば、高齢者からの文句を抑えることができるし、ワクチンの副反応の実験としては特攻隊になってもらえる。一方で、接種率が高いだろうから、社会全体として接種圧が自然と高くなってしまうだろう。
若年者を先に打てば、接種率は低いだろうから初期は接種圧は低く抑えられるだろうが、最終的に高齢者が打ち始めると若者の接種圧も高くなってくるから、結果は同じで半強制になっていたかも。だから先に打ってもあまり意味がないかもしれない。しかし先に打てば副反応の犠牲者になってしまう。
<ワクチン接種者のマスクは不要か?>
鈴木貞夫(名古屋市立大学大学院医学研究科公衆衛生学分野)
吉田都美(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻薬剤疫学分野)
・効果は、セッティングや感染率によって異なる
・費用対効果や私権との関係
・マスクの弊害も十分に考慮するべき
・エビデンス未満のもの
予防活動→マスク→予防活動→感染予防
↓ ↓ ↑
→→→→→→→→→→→→→→→↑
・でも、現実の世界を、モデルに落とし込むのは難しい
・必要かどうか、と、政策として義務化するかどうか、は、別門。
・イスラエルでは、マスクしていると「ワクチン打ってないサイン」になる
・一方、日本では、マスクしてないと「予防行動してない」になる
→いやー、これもむずかしい。
「ワクチン打った人がマスクしなくていい」っていうと、ワクチンが強制になっちゃうよね。
一方「ワクチンを打ってもマスクは必要」っていうと、いつまでもやめられなさそう。
「エビデンス」なんてなくても、やらなければならないこともあるし、やらなくていいこともある。
<健康危機管理とは?首都直下型地震対策を考える>
<健康危機管理の本質―その潮流と展望->
高鳥毛敏雄(関西大学社会安全学部・社会安全研究科)
・本格的な健康危機管理体制への取り組みは阪神淡路大震災から。
・首都直下型地震においては「キャパシティ不足」。都市に集中しすぎているので、その巨大な都市を支援するだけの余力はない。「サージキャパシティ」が足りない。その中でどうするか。
<災害対策とパンデミック、感染症>
齋藤智也(国立感染症研究所感染症危機管理研究センター)
・衛生インフラの機能不全、密な環境、免疫力低下、感染症対策の機能不全(サーベイ&対応、ワクチン等)、外来支援者からの持ち込み
・感染症リスクアセスメントを常にして、必要な介入の優先順位付けをすること。
リスク=発生する可能性×インパクト
この辺のことはNIIDのホームページに載っている。
・被災者避難の広域分散化を考える必要がある→地方で受け入れられる体制づくりは難しいが必要。
→その視点はなかった!いいね、疎開をすすめるのは、とても良いと思う。本気で取り組むには沢山ハードルがありそう。
<保健所の健康危機管理機能の課題と展望>
前田秀雄(東京都北区保健所)
・負傷者は14万人と想定。(すげーな。そりゃキャパオーバーになるわ)
<災害看護学の視点からの災害への備えと対応>
宮崎美砂子(千葉大学大学院看護学研究院地域創成看護学講座)
・市町村における統括保健師の設置は、東京都が全国最下位の18%。
→それじゃあ士気は上がらないよね。
<Vaccine Hesitancy の考え方と対応~ワクチン接種を躊躇する人々~>
演者:種市尋宙(富山大学学術研究部医学系小児科学)
・「信頼できる医者」を求めている人がとても多いが、一方で医者は、躊躇する人に対して冷たく当たってきたのではないか。
・コロナ、米国は子どもたちも死んでいるので接種を勧めるしかない状況だが、日本ではそうではない、そこまでの感染症ではないからこそ、時間をもらったと思う。
・本当に小児にとって脅威になったときには。コロナのワクチンは武器だと思う。
・だからこそ、丁寧にやらないと、信頼を失ったときに、コロナのワクチンを使えなくなってしまう。日本はそういう国だから。
→なるほどね。そういう視点か。
私は、コロナワクチンで信頼を失った結果「ほかのワクチンの接種率に影響がくること」を最も恐れています。
<シンポ24:新型コロナ対策1 「新型コロナウイルス感染症感染の実像と対策」
<分析疫学の立場から
押谷仁(東北大学大学院医学系研究科微生物学分野)
・封じ込めできる感染症と、できない感染症がある。
・コロナは封じ込めできない感染症。
・正確な致死率は不明だし、ずっと分からないと思われる。が、だいたい2%。これが10%くらいだと世界が同じ動きをしただろう。だから2%というのがミソだった。
・日本の保健所は「レトロスペクティブ調査(感染源調査)」もやっている。ほとんどの諸外国では、前向き調査」しかできていない。でも、二次感染の頻度」は”低い”ので、「前向き調査」だけで”封じ込める”ことは難しい。
・日本では、感染源調査によって、クラスターを断ち切ることができてきた。
→でもさあ、結局、第4、第5波がきたよね。意味あったの?
・欧米では、早期症例をかなり見逃している。でも日本では、北海道のような医療過疎地域でも、早期症例を見つけることができた。だから「武漢株」は断ち切ることができた。
・第3波以降は、レトロスペクティブは難しくなった。特に大都市ではクラスタ―がブラックボックス化した。
・東京は、人口密度と人口10万人あたりの患者数の中で、全国一患者が多かった。
・オミクロン株がどうなるかは、これから。
→シナリオないんかい!
<新型コロナゲノム・サーベイランスから示唆される公衆衛生対策への利活用>
黒田誠(国立感染症研究所・病原体ゲノム解析研究センター)
・コロナのゲノムは、全部が読まれるのではなく、カケラの部分、スパイクやNという部分が体内で増幅されることがある。面白いふるまい。
・変異を利活用した感染リンク推定は、放射状に拡散した、と推定するほうが現実的。
・2波が3波になったのではなく、2波も3波も武漢1波から。
・一方、アルファは外から入ってきた。デルタも外から。
・ゲノムを全部読んでわかった。米国、英国、独逸などは割と粗い。
・デルタは、最初は入ってきたとき増えたものは、地方で終息したが、その後、首都圏で再度増えた、これが5波。
・ネットワーク図では感染リンクは重なるが、実体は地方ごとに感染が進んでることが多い。つまり、ゲノム情報だけでは分からないし、ゲノムはつながっているけれども、現場では別のつながりが起きている。
・オミクロンは、見た瞬間に、振り出しに戻った、と思った。変異が多すぎて、ロナは聴かない、免疫はスルー、ワクチンは…。そして再度流行すると思ったのが1か月前。1か月前にいまの英国の情況は予想できた。
→全部読む、という心意気は好きだな。さすがプロ。この力を、もうちょっと違うベクトルに活かせればいいのに。
<理論疫学の立場から>
西浦博(京都大学大学院医学研究科)
・「自分がもしいなかったら」から考えて、話をする
途中退出
<班会議>
途中退出
<コロナ禍でみえた外国人対応の課題>
<保健行政窓口における外国人対応>
矢野亮佑(盛岡市保健所)
・保健所での外国人の対応の手引きを作りました。参考にしてください。
→私も一緒に作ってます。
<コロナ下での在住外国人に関する保健師対応の事例>
堀田美香(佐賀県多久市役所健康増進課)
・悩みはみな同じ。
→小さな自治体は、やる気があれば丁寧な対応が可能ですね。すばらしい。
<都内における外国人支援NPO と保健所との連携について>
新居みどり(NPO 法人国際活動市民中心(CINGA))
・東京の外国人人口は56万人(すっげー…)
・東京での通訳や支援においては、フランス語を必ず入れること。フランス語なら片ことでも話せる、という人たちが東京にはけっこういる。
<言葉の壁をなくすために欠かせない医療通訳の活動>
森田直美(一般社団法人全国医療通訳者協会、東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻博士課程)
・日本の外国人人口は300万人。
・通訳ネットワークは行政の外にあるが、ぜひ活用してほしい。
・「コミュニティ通訳」がほしい。
→そのとおり!
12/23
<教育講演:こども食堂と私たちの地域・社会>
演者:湯浅誠(東京大学先端科学技術センター)
・子ども食堂は、貧困家庭のためのもの」ではない。子どもを真ん中に置いた多世代交流の地域の居場所。
・地域の衰退。さみしくなったから、子ども食堂がつくられる。
・2020年から2021年の1年間で、コロナだったにもかかわらず、全国では子ども食堂が1000か所増えた。
・子ども食堂は、完全に民間主導のスタート。行政でもなければ、企業でもない。自発的なスタート。
・「寺」がやる、「自治会」がやる、というのが増えた。ある意味、それぞれの存続問題だが、もともと交流の場だった。
・高齢化、役割の重複化、後継者不足、これが自治会の三重苦。さすがにあと10年はムリじゃないか、とそれぞれ思っている。自治会の役割には背を向けるが、子ども食堂なら、若い人もやる。ゆるやかにつながりたい、という需要にはまった。
・100人、200人規模なら普通。最大800人。
・いろいろな型の子ども食堂がある。自分のリスクとリソースでやっている。「農家」みたいなカテゴリー。
・農水省は孤食対応としてみている。内閣府は貧困対策としてみている。厚労省は家庭支援、
総務省は地域活性化。それぞれ、間違いじゃないが、「それだけじゃない」。
・「じぶんが地域でできること」を考えたら「子ども食堂」だった。自治の原点に立ち返る手段だった。ちょうどいい器だった。
・子どもの貧困について少し
黄色信号:260万人。数が圧倒的に多い、しかし見ても分からない。
赤信号の子:数は少ないが、目立つ。→でも、「こどもの貧困」っていうと、こっちがクローズアップされてしまう。「なんで早く来なかったの」と言い続けてきたが、来るようにはならない。
・「どこならいけるのか」→誰が言っても良い場所。ここなら黄色信号の子も来る。「気づきの拠点」と言う人もいる。でも、あくまで交流の場所、としておく。
<感染症リスクアセスメント・マネジメント研修>
<押谷>
・SARSのときは、そもそもWHOでも「世界中でパンデミックに対応する」というシステムがなかった。
・1969年IHRは3つの感染症しかカバーしてなかったし、他の感染症に対しては報告義務はなかった。で、改訂が必要だと分かっていたが、怠っていた。
・2005年IHRはすべての感染症に対応できるようにした。
→ノーコメント。
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