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2020年1月10日金曜日

第25回日本子ども虐待防止学会に参加したメモ

2019年12月21日~22日に神戸国際会議場で行われた第25回日本子ども虐待防止学会のメモです。

<理事長報告:奥山眞紀子>
・「子どもの権利を守るために」
・子どもの権利条約ができて、しかし批准までに時間がかかってしまった。法整備はまだまだ。
・SDGsの16.2に、まず「子どもの貧困をなくすこと」が目標に掲げられている。
日本の外務省はGPeVACで、「path finding country先駆的に目標を達成する国」に手を挙げている!これをもっと知ってほしい。
・神奈川にワンストップセンターができた。ここにアメリカで実践している人を呼んで、勉強会をした。
・JASPCANは、国際連携の強化のためにGPeVACに協力することを続ける。ISPCANにも。
・JASPCANは、啓発活動と、権利を守るための仕組みの提言をする。
---相変わらず、奥山先生の話はつまらない。---

<スコットランドの子どもの権利のコミッショナー:ブルース アンダムソン>
・2年半前にコミッショナーになった。
・スコットランドで、コミッショナーとしてとても良い職場で働かせてもらっているが、レゴをして、木に登りながら、何が子どもの権利にとってベストかを考えている。
・日本にはまだコミッショナー制度はない、包括的な法制度もないと聞いている。
・国連で「コミッショナー制度」を作ることの重要性は確認されている。
・1993年、国連で、パリ原則を採択、2002年?にも…
・スコットランドは人口550万人、子どもは100万人で子どもの割合は日本より高い。いまはEUの加盟国である。
・EU47か国中、すべてにおいてコミッショナー制度がある。
・スコットランドは、議会を作り直したときに、最初にコミッショナー制度を作ったが、またこのコミッショナー制度に独立性を担保した。政府が立ち上げたものではなく、議員立法で作った。6年間の任期で、解任されない、という立場を作った。この独立性が大事。
・18歳までの子ども、社会的養護のある場合は21歳までの若者が対象。

<行政説明:厚生労働省 子ども家庭局 室長 柴田拓己>
・虐待件数は増えているが、死亡事例は件数自体は減っている。
・死亡事例は0歳児が多く、3歳以下で77.2%。加害者の割合は実母が55.1%と最多。
・最近の対策の流れ
H28:児童福祉法の改正で理念を明確化し、発生予防から自立支援まで全国展開。
H29:家庭裁判所が児童の保護について措置を講ずる
2018.3:目黒のゆあちゃん事件
2019.1:野田市0歳女児事件
2019.6:札幌市で2歳女児死亡事件
2019.6;児童福祉法の改正
・H30.7.30の関係閣僚会議での緊急総合対策のポイントが、いま反映されている大きなもの。
・2020年の目標:2017年と比較して児童福祉士2020人↑、児童心理士790人↑、保健師110人↑。地方交付税措置。
・H31.3からの抜本的強化:これが近年の対策ではまとまっているもの。
1. 法改正:体罰禁止の法定化、体罰によらない子育ての普及啓発(もちろん親を追い込むためのものではない。社会全体で進めるのが趣旨。)民法上の懲戒権の在り方を検討。子どもの意見表明権を保障する仕組み。
2. 予算:児童福祉士の処遇改善。人員増。
3. 運用の改善、進化:健診未受診者の定期的な安全確認。地域における相談窓口を2020年までに全国展開する。相談窓口の周知徹底、189の無料化(12月5日から)。学校における相談体制の強化(SSWをおく、SNSを活用する)。児相の体制強化いろいろ。
・児相の設置強化:網の目を細かくすること。
・「体罰の禁止」は、よくTVで、何が体罰にあたるから、ではどうするの?といわれるが、素案では、ただ禁止するだけではなく、支援することまで入っている。12月3日からパブコメ実施中、R2.1-2でとりまとめする。息の長い対策が必要だと思っている。
・児相の設置に関する基準のWGには豊橋市も入っている。

<特別講演:人と関わるロボットの研究 ロボットによる生活・学習支援 阪大 石黒浩>
・自閉症の子どもや、高齢者の方と、ロボットを、関わらせてもらっている。
・この学会で話させてもらいたい、と思ったのは、それが理由。
・いじめの研究、も、始めている。
・自分そっくりのアンドロイドを作った、それに講演にいってもらうと
誰がアイデンティティを持っているのか?
石黒本人に石黒のアイデンティティはあるのか?
アイデンティティとは何か?
と、よく聞かれるし、自分でも疑問に思う。
・つまり、「人間の本質」が問題になってくる。ロボット研究は、これを考えるきっかけになる。
・なぜ人間型ロボットが必要になるのか?
人間は人間を認識する脳を持つ
人間にとって理想的なインターフェスは人間。
ゆえに人間を取り巻くロボットや情報メディアは、少なくとも部分的には人間らしくなるべき。
一方で、人間らしいロボットやアンドロイドは人間を理解するテストペットになる。
より高次の人間を理解するためのツール。
・人間の脳、と、人工知能の違い
「猫」を認識するとき、例示を沢山必要とするのは人口知能。子どもは「猫」を数匹みたら「猫」を認識してしまう。
・「知能」はまだ誰も定義していない。
・「身体性」は、まだ解明されていない。
・マルチモダール統合:人間は同時にいろんなことを理解するから理解している部分がある。たとえばマンガ。話し言葉と絵を同時に理解する。なぜこんなことができるのか、研究は進んでいない。
・家庭の中に監視カメラは抵抗があるが、ロボットを入れることは、抵抗が少ない。
・人と英語を話すのは恥ずかしいが、ロボットと英語を話すことは恥ずかしくない→実際、ロボットと勉強したほうが、成績が上がる。
・自閉症の子との研究:医者との対話では話をしない子が、ロボット相手だとよく話す。
・直接質問するのは恥ずかしいが、ロボットを介して、演者に質問されると、質問が増える。「いいね」がつく質問だけ出るように誘導もできる。
---これ、それぞれ、もっと「なぜそうなのか」を考えたほうがいいでしょう。
また、「それでいいのか」も。---
・ソシオグラムをロボットで作る
学校にロボット入れる。最初の3日間くらいは力の強い子らがロボットのところにくる。飽きる。そのあと、孤立している子のところにロボットが行く。その子のほうがロボットとコミュニケーションがうまくなったりする。
・「感情、意識、知能の、本質」とは。に、アプローチしたい。
・新学術領域「対話知能学」という新しい学問分野を立ち上げている。
・ほか、問題としては
存在感とは何か、対話とは、身体とは、心とは、生命とは。
・誰もが受け入れてくれるアンドロイドは
「観察に基づく認識」と「想像に基づく認識」
「観察に基づく認識」:見たまま
「想像に基づく認識」:足りない形を補完する必要のある状態→ポジティブに補完してもらうには?
・存在感を認識できる最低限の条件とは
音と形。しゃべる、触って抱きかかえられる。このように、2つのモダリティがあると良いらしい。声+接触、匂い+接触、声+〇〇。

感想
「アプリに依存した身体感覚」は、このままでいいの?と思ってしまいます。
「AIの学習とナチスの賞賛」の話が脳裏にちらつく。
スマホもゲームもロボット、の違いはよく分からない。
少数意見の無視、というか、空気の支配のほうが強い
ロボットが「危ない状態になったら通報する」は、危ない。治安維持法に通じてしまう私達が本当にやりたいことは、虐待の予防であって、虐待の発見ではありません。
ニホンザルのサル山という閉鎖環境では、「ボス」が登場し、腕力による上下関係が生じる、という話。一方で、山の中という自然界では、「ボス」などいない。


【シンポジウム11:15歳以上の支援】
<流通大 加藤曜子>
・ネグレクトと不登校の関係に切り込む、と。
→ちょっと雑な議論。「ネグレクト」と「不登校」をX2検定したら「関係性がある」といっているが、これは「株価が上がる」と「虐待件数が増える」を検定しているようなもの。

<鳥取県教育委員会 福島史子>
・鳥取県の高校でSSW活動をしたところ、中退率が下がった。
・常勤、週35~30時間勤務。2人。
・高校では、生徒の背景に関する情報が、圧倒的に足りない。
・高校は、要対協のことをあまり知らない。要対協の事務局だけが高校にいくと情報提供としては不十分で、高校は子どものことを知りたいので、中学校の先生とかも一緒に行ってもらうほうが良い。
・高校での支援は、スケジュールを立てること。困ったことがあれば要対協事務局に連絡を学校からもらうこと。「退学が決まってから連絡くれるのはナシね」と言っている。
・「進学」については、誰もが関わるようになった。
・情報をとってくる、SSWも問題解決しようとする、その姿勢が良い。
・中学校から高校に進学すると要対協ケースが終了するのは残念。と。
・18歳の壁:18歳を超える制度が必要、支援機関とのつながりを作る。
生活困窮者自立支援制度の個別支援会議への移行に期待しているがまだ1例もやっていない。と。
・中学校と要対協事務局は、「学校側」は不安、かつ、どうにもならなくなってから連絡してくる。しかし事務局は、嫌がらずにとにかく足を運ぶようにした。10年たてば学校は動けるようになる。

<枚方市 白石毅 生保の支援員>高校生に向けた支援の取り組み
・40万人、被保護者数7800人↓、被保護世帯5700世帯↑=単身高齢者の保護者数が↑
・査察指導員6人、CW33人でCW1人あたり100世帯担当。
・「進学支援」は、CW任せになっていた。だからCWによる対応になってしまっていた。だからプログラム化した。
・応援BOOK=なかなか難しい制度のことを、生徒に分かるように説明するためのガイドブック。→しかし、これでも大変難しい内容だ…。しかもこれらの内容は、生保家庭の生徒にだけ分かってもらえば良い内容ではない。一般の生徒にこそ、社会制度の1つを卒業前に知っておいてもらいたい、高校卒業したら、誰も教えてくれない子が多いだろうから。
・家庭に応援BOOKの説明をしてリアクションが大きいのは、「生徒がバイトで貯めたお金は保護費から引かれない制度がある」ことを言ったとき。
・市の福祉職員は、学校にどうかかわればいいのか分からない、特に中学校以降。しかし高校の側も福祉職員とつながるにはどうしたらいいのか分かっていなかった。
・生保のCWが高校生にどうやって会うか:夏休み、年末年始。親が会わせることに抵抗する場合は無理に会おうとはしていないが、そういう状況であることを把握する機会にしている。
・生保28条の生活調査権をグイグイ活用して、そのとき要対協の職員も同道する。

<枚方市子ども青少年部 八木安理子>
・ネグレクト家庭をあつめて、子どもと親の「お料理教室」をやっている。
・学びの小部屋「きみいろ」、少人数で、新学期へのスムーズな登校につながる。
・ほか、子どもへの直接的な支援を、いろいろメニュー用意している。
プレイセラピー、継続面接、心理テスト、居場所etc
・高校進学時や転学時に要対協が学校訪問して情報提供している。

【シンポジウム18:要対協と虐待の一次予防 大阪市西成区の要対協の取り組み】
<阪大 人間科学研究科 村上靖彦>
・西成区では、各中学校区で月1回、要対協やっている。地域の支援者も出席する。たとえば子ども見守り隊の挨拶の人とかも。
・西成区では虐待は増えていない!すでに虐待が可視化されているから。
→すごい。

<大阪市 こども支援課 木岡剛>この仕事について4年目
・西成区では1995年頃から、あいりん子ども連絡会がある。西成地区教育連絡会議もある。どちらも民間団体が始めたもの。
・その後、名称変更し、2005年から市が引き継いだ。実務者会議。
・ケア会議=実務者会議を、各中学校区ごとに月1回やっている。
・全体で400ケースくらいで、1校区100ケース~40ケースになっている。会議が長時間になるので、重大ケースと最重大ケースを話し合うようにして、それ以外は2か月に1回話すようにしている。
・市長から「重大な虐待ゼロ」といわれているので、今後工夫していきたい。
・家族の全員について、支援者全員が語れる状況にある。

<阪大 村上>
・ケース1
特定妊婦支援:要対協に入っている民間団体が支援の手を挙げる。
・ケース2
中学校の先生が、弁当持ってこない子に気がついた。で、要対協メンバーに相談したら、小学校の先生と、育成園と、ほかスタッフが訪問して、他の兄弟も九死に一生を得た。
・ケース3
次男を一時保護したとき、長男は一時保護中で措置解除前だった。だから長男を措置解除することに反対した。
あれ?児相とはつながりは悪い?→いや、参加している。

<追手門大学 林大造>要対協の再現
・それぞれの機関が自律した動きをしていて、役割が自分ではっきり自覚されている。
・各関係機関が知らん振りさせない状態を作るには。
・西成区は生保23.25%。全国1.66%。一方、虐待報告は300人台で推移。
・西成区の要対協は、要対協+子育て支援。
・子育て支援専門部会設置要綱第1条を音読するところから会議が始まる!
・ケース4
「これはもうネグレクトやと思う」と里の人が言う。「家庭科の先生なにしてるんですか」とも。
・民間の率先行動が、制度側の踏み込んだ対応を引き出す。
→民間の精度保障がどれほどできるか?荘保さんいなくても、できるか?
・予防のためにはすべてのケースを扱う必要がある。
→しかし、「働き方改革」の号令のもと、人は増えないので、質を落とすしかない、と本気で語られる時代になっているぞ。

<NPO法人こどもの里 荘保共子>
・遊び場、居場所、一時保護の場所、かつ、中高生、20歳以上の場。
・「子育ち」対策+貧困対策+子育て対策+虐待防止策=予防になる。子どもの最善の利益になる。
これを、「あいりん子ども連絡会」の地域のネットワークでやっている。
・「虐待防止は、子育て支援をしなければ、できない」
・目黒、野田市、島根、鹿児島の共通点
【家族の共通点】
転居している:前の場所で色々言われている、警察、行政の動き
DV家庭
ステップ
【地域の共通点】
地域がその家族のことを知らない
知っていた地域の人は、ややこしいと思い、関わらない→隣人が引っ越した。つまり、孤立していた。
専門機関の動きがある(役所、子ども相談、警察など)。
要対協が動いていない(上がっていない)。見落としも含む。施設入所すると要対協から落としてしまうが、落とさないほうがいい。
・「親の仕事だ」と支援機関が言う、地域が言う、が、結局は、「地域の力」。本気でやってますか、と。行政に任せないで、民間が、地域が、行政に対して私たちも入れてくれ、役割分担しようよ、と話をするんだ、と。

【シンポジウム37:親を殺人者にしないために】
<世田谷区 河島貴子 保健師>
・生後3か月の児を浴槽内にしずめて死亡させた。
・母、精神疾患あり、H24で精神相談したがよくなって終了。H28に妊娠。H29に事件おこる。
・裁判で明らかになったことと、世田谷区の見立ては、全然ちがった。
・世田谷区の死亡事例報告書に詳細はある。
1夫が精神保健相談にきたが、30代なので妊娠の可能性があることを考えていなかった。
2母が「児が泣いてかわいそう」と言っていたが、精神疾患があるかも、という思いに至らなかった。
・地区担当が単独で管理せず、チームで共有、点検する。保健師にとって都合の良い「相談待ち」にしないこと。月に2回、共有する場を設けている。
・当たり前のことなんだけど、保健師の業務を、見直すようにした。
→記録はきちんとかけているか、サマリーは。

<狭山市保健センター 渡邉優子 保健師>
・H28.1 3歳女児虐待死亡事件 22歳の母と、24歳の継父。シャワーで熱傷。
・未受診や、未連絡であっても、1か月遅れくらいで連絡がとれると、慣れてしまって安心してしまう。
・「健診のタイミングで把握する」は、把握できないときの言い訳だな。
・検証報告書の提言
1妊娠届け出時の活用→2か所でだけ発行し、面談率98.9%。
妊婦リスク判定会議に全例かける。
2アセスメント能力。
→でも、結局、「児相さんお願いします」では、意味がない。
・人員も増やした、と。
7000人に1人、保健師配置、と中板先生に書いてもらった。ので、増えたが、それによって事務職が減った→そんなこんなで意味がなくなっちゃったので、体制を見直していく。2人体制でHVとか。市長は熱いのでこれから。

<多摩付中保健所 藤原千秋 保健師>
→これ、あんまり検証したって言えないな。
・健診を医師会に委託して個別健診にするとマズいですよ。
・健診は、「短時間に」という力が働くのもまずい。
・「誰の都合の支援か」が、間違われてしまう、と。
・藤原さんがやった、この1つ1つのアセスメントを、日々、普通のケースで、できるかどうか。

<さいたま市 金澤典子>
・すべての乳幼児健診が医師会に委託。保健師が会う回数が少ない。
・131万人、保健所1か所、10地区、保健師201人、分散配置。
・毎月、保健所内のケース検討会を始めた。これを、現任教育のかなめと位置付けた。
・ケースカンファ、月1回以上。と。
→ケースカンファをやることは目的ではないぞ。
・これで力が伸びたというが、伸びる人は一部だけ。「ケースカンファで確認すべきこと」というよりも、「普段のアセスメントでやるべきこと」を整理できた、ということだな。

<武蔵野大学看護学部 中板育美>
・子どもの発達だけを見ることが母子保健ではない、3歳健診が終わったら終わり、ではない。
・健診することが目的、ではない。(ケースカンファも同様)。
・見えていたものを、しくみで消してしまうことは危険
・見えていないものを見る力を。
・予防的なかかわりを。
・見たり聞いたりしなかったことにする、誰かにゆだねる、あとは自己責任とするetc。
・母子保健は手段が階層的にある、宝庫。これをうまく使うこと。システムを作るのは人。

【シンポジウム41:社会的養護措置解除後の生活実態をどのように把握するか】
<昭和女子大学 永野咲>
「社会的養護の質が良いかどうかは、措置解除後の生活がどうなっているかで評価する」by Roger Goodman
UKでは1995年ごろ?政権交代時に調査したら、社会的養護後の子どもたちの生活の実態がひどかったことが分かって、これは社会的に許容されないだろう、と大改革を必要とした。
USではMid west study
日本では、公的調査がない、量的調査もない。ただ、調査すると、生保、無職、が増加していることが分かった。居住先も、分からない、親の家にいる、
詳しくは、永野咲「社会的養護のもとで育つ若者のライフチャンス」の著書に詳しい。

<三菱UFJリサーチ&コンサルティング MURC 家子直幸>
・研究レビュー、アンケート調査、インタビュー調査を実施した。
・リサーチクエスチョン:「実態把握の必要性、制度的枠組みとの連動、対象者、調査項目、倫理上の問題、調査デザイン」
・そもそも自治体では、あまり調査がされていない(全然ないわけではないが)。
・ベストプラクティスの共有と、調査ガイドラインの作成が必要
・実態把握をしたいのは自治体だが、対象者は実態把握されることよりも支援が必要→ケースマネジメントの在り方を検討する必要がある。
・実態調査以外の情報経路がある。これを支援に使うように。

<Warner Eric:Foster club>
NYTD:national youth in transition database 連邦レベル、州レベルのシステム
2008年に連邦規則で設立:そもそもは1999年?から構想が始まった。
2010年からデータ収集を開始
2019年時点で、8つのレビューがある。
州に求められること:ユースに対して、自立生活サービスを追跡するデータ収集システムを開発すること、成果測定システムを開発すること
CFCIP:社会的養護自立支援プログラム→ここから予算が出されて、資金を州に提供される。
・州が収集するデータの属性
基本属性、成果、自立支援サービス(IL)
・自立支援サービスを受けるにあたって、CFCIPの対象者であって、foster careの有無は必要ない。
・自立支援サービスを受けた人、ベースライングループ(17歳時点、3年毎にデータ更新される)、フォローアップグループ(17歳で長鎖うけた人が19歳、21歳になった)
・ILを受けた人は全員が調査対象だが、ほかのグループは3年毎の調査。
・連邦チームは、州を監査する役割がある。

データコレクションの州の差、結果の州差
州データの精度管理→連邦チームが行う
結果の考察
政権が変わった影響は、
評価が最も悪かった州の分析(なぜ悪いのか)と、そんな州に最も必要な介入は→直接的な介入はしない。良い州を紹介する。また、その州の子どもたちにとってベストプラクティスは州ごと違う

・NYTDチームが何をするのか
州が挙げてくるデータの検証と確認:正確で信頼性の高い、必要なデータを、収集、管理、報告できているかどうかの確認
評価:ユースにとって適切かどうか
アセスメント:
・現地調査前の段階:16週間かける。
・現地調査:3-4日。準備のほうが大事。ステークホルダーへの聞き取り(ユースにも)。
・調査後:16週間以上かける。レポート、改善計画、計画の承認、計画の管理、計画の完了。
・とにかく、ユース(当事者)を参加させること。これが大事。ユースなしに考えることはできないし、ケアを経験した若者は専門家で、他の誰にもこの視点を提供することはできないということを忘れない。
・どういう風に若者を募るのか:$15.”youth experience survey If you use your voice”@ NY州。

【lunch time discussion 4 社会的養育】
<甲南女子大 伊藤篤>
・2006年から、助産師のペリネイタルアウトリーチサービス始めた。この取り組みは、現セックス大学のJanetに、「SPだね」と言われた。
・ソーシャルペタゴジーSPの支援は、使えるものはすべて使う。
・SPは、イデオロギー、主義、である。社会の仕組みをどうつくっていったらいいか、の、方向性を導いてくれるもの。
・つまり、「施設養育」だけではなく、もっと大きな考え方。
・イギリスのevery child matters はSPに通じるのではないかとも思っている。

<さいたま子どものこころクリニック 星野崇啓>
・児童養護施設 国立武蔵野学院にいた。いまは開業医。
・SPを理解したら、集団管理的養育がどのように発生してきたのか理解しやすくなった。
・ペスタロッチ、と、ヴィヘルン、の名前は、必ず出てくる。
・感化院(1900年)は、SPの理念が基盤。つまり、感化院以前は、監獄則により刑務所の中に少年をいれていたが、改善効果が認められないことが分かっていた。
・で、集団主義養育になった。これ自体は悪いことではなかったが、運営が管理主義的になった。
・SPは、社会的な生きづらさと、当事者の間の差を、埋めてくれるもの。
・お金さえあれば(なくても)一人で生きていこうとすれば生きていける社会になってしまった中で、失われたものがあって、SPがクローズアップされるようになったのではないかと思う、と。
・一人だけで生きていくことを自立とは言わない。主体的に、社会の制度も使いながら、自尊心も保ちながら生きていけること。

<救世軍世光寮 塩田規子>
・施設養護であって、養育ではないと思っている。つまり、傷ついた子供たちを育てるのです、と。ソーシャルワークである。しかし、教育とも違う。その変の違和感はまだあるが、良いソーシャルワークを展開できればいいのかな。
・立ち位置を失うと、施設内虐待が簡単に起きる。
・18歳になる1日前に措置決定になる(親がそれまでうやむやにしている)例も少なくない。
・目的、目標は、well-beingかな。と。

【シンポジウム64:中核市児童相談所設置のリアル 奈良市児相設置を目指して】
<大阪歯科大学 久保樹里>
・もともと大阪の児相で働いていた。いま、奈良市の児相設置在り方委員会でアドバイザーをやっている。
・アドバイザーになって、課題の多さを認識した。また経験から問題点は語れるが、それらを踏まえて一つ一つを実現化していく大変さを実感した。専門家が色々言うことと、現場がやることの、遠さ。
・問題点となったもの:
1組織体制:市の相談機能と、児相の機能がくるとき
初期対応、要対協の調整機関、緊急対応、クリニック気脳、支援拠点、継続指導、里親支援、措置中の児童への支援、社会的養護出身者への支援
2職員採用:どれだけ、dのような、どのように。取り合いも起こる。
3人材育成:働きやすさ、異動、キャリアアップ、研修、外部アドバイザーをどう活用するか
4建物:相談しやすい+プライバシー、規模、事務所の配置
5一時保護所:組織体制、建物、定員、自由と管理のバランス、一時保護所からの通学
6リソース:使える資源、サービス
7社会的養護:施設、里親→圧倒的に少ないのは自明
8関係機関との連携:素地はあるが。
・リソースはあるのか
一時保護所:平均では来ない、感染性疾患の対応、被害と加害の子が一緒にきたら、出先がないと
施設:奈良県との契約
里親:増やしていく工夫
家庭:家族を支援する資源、サービス
すべてを行政では担えない。→成果を出せる民間機関の活用、育成は。
当事者ニーズをとらえる。話し合いに当事者を入れたい。
統計データが必要。
・働き続けたい児相にするには
いま、不安と疲労で、やる気が奪われている
顔の見える関係を。

<奈良市 家児相 岡本あい>
だいたい豊橋と同じ。
研修は、豊橋よりも充実している。
ジェノグラムだけで妄想大会をやっている。事例検討もまずはここから始めるので、楽しむこともできる。
児相設置の前に、まずは支援の充実を目指したい、と。

<奈良市 児相設置準備室 岡本純一>
・支援と介入を組織で分けるべきか、1つとっても、なかなか答えでない。
・メリット;支援を一体的に取り組む、と。だから今のところ分けない考え。
H28:市長から検討を指示。
H29.6:市長が表明。
・奈良県の中央児相は奈良市にある。その施設はもらえない笑。
・「奈良市子どもセンター」整備、と。

<彦根 そだちの臨床研究会 菅野道英>
・まず「作らないほうが良い」と話をした。ブラックだし。
・せっかく作るのなら…良いものを作らなければならない。
・全国児相心理判定セミナーのように、現場の知恵を持ち込むことが必要。
・いまの現場のジレンマを引き継いでも意味がない。

→「合理的」「選択と集中」という声と、どう戦うか。人数の基準も17人いればいい、という基準ではないが。
母子保健課、子ども育成課、保育課、子育て相談課→統合する?
児童養護施設は作らない?→作らない。ビジョンも出てるし。県と協定。
近隣の市町村との調整は?
やっぱりやめよう、と言えるか。ムリやな。
そもそもデータが足りないのでは。
喧々諤々の議論ができるか。

アドバイザーは、別に児相作るから必要、ってワケじゃない。児相作らないとしても、必要なことばかりで、かつ、今できていないこと。これを、児相作れば改善される、というのは、ちょっと楽観的すぎるうえに、根拠もない。
「ジェノグラムだけの妄想大会」は面白い。

【一般演題 O-85~90 市町村】
<飯塚市議会 江口>
・市議会発の条例:まず、議員は、知らない。要対協にかかわるようになって知った。誰がいいかは、選べば良い。一人くらい、関心があって信頼できる議員がいるでしょう、と。

<九大 デザイン 田北雅裕>
・10万人、230回会議ある市
→すばらしい。よくこの市に介入したなあ。良い変化が起きそう。

<県立広島大学 松宮>
「連携が必要なのではない、実質化が必要」と書いてある。

「網の目を細かくする」なんて、口当たりの良い言葉。
責任転嫁。

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