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2017年1月24日火曜日

中学生のピロリ菌検査は医学的・政策的に妥当か:その4:【高槻市 尿抗ピロリ抗体 陽性率3%について、感度・特異度を上げて検証】

【高槻市 尿抗ピロリ抗体 陽性率3%について、感度・特異度を上げて検証】
大阪府高槻市1次スクリーニング結果の陽性率3%を参考にする (年度によって幅があるため、3%と仮定して検証する)。1次スクリーニングの結果のみを仮定の検証として示す。

尿抗ピロリ抗体
感度
特異度
コメント
1
Aliment Pharmacol Ther 2003
82.4%
83.3%
感度が低く、一般的でない。
2
Gastroenterology & hepatology 2014
85%
79%
感度が低く、ピロリ菌根絶を確かめる指標としては不向き。
まず、尿抗ピロリ抗体の感度、特異度として、現在コンセンサスがある上記1、2の値では、陽性率3%にならない(感染率0%のときに、陽性率の最低値17%となる)。
したがって、「高槻市の陽性率3%」は、「ほぼ偽陽性」である以外の可能性を考える場合、陽性率が3%になるような感度・特異度を持った検査を実施したと仮定して検証し、その時の感染率が何%かを検証する。

<仮設定の感度・特異度>

尿抗ピロリ抗体
感度
特異度
3
仮定の感度・特異度
95%
95%
4
仮定の感度・特異度
97%
97%
5
仮定の感度・特異度
99%
99%

A<感染率0.03%の場合:3の感度・特異度の場合:小数点第一位四捨五入>

疾患

有
無
検査陽性
1人
189人
陽性合計:190人→陽性率5.0%
検査陰性
0人
3601人
陰性合計:3601人

合計1人
合計3790人
検査合計:3791人
これより感染率を下げると、罹患者の数は0人となる。ゆえに3の感度・特異度では陽性率3%にはならない。

B<感染率0.1%の場合:4の感度・特異度の場合:小数点第一位四捨五入>

疾患

有
無
検査陽性
4人
114人
陽性合計:118人→陽性率3.1%
検査陰性
0人
3673人
陰性合計:3673人

合計4人
合計3787人
検査合計:3791人

C<感染率0.03%の場合:4の感度・特異度の場合:小数点第一位四捨五入>

疾患

有
無
検査陽性
1人
114人
陽性合計:115人→陽性率3.0%
検査陰性
0人
3676人
陰性合計:3676人

合計1人
合計3790人
検査合計:3791人
陽性率が3.0% より下回る場合、これより感染率を下げねばならず、罹患者の数は0人となる。

D<感染率2.2%の場合:5の感度・特異度の場合:小数点第一位四捨五入>

疾患

有
無
検査陽性
82人
38人
陽性合計:120人→陽性率3.1%
検査陰性
1人
3670人
陰性合計:3671人

合計83人
合計3708人
検査合計:3791人

E<感染率2.0%の場合:5の感度・特異度の場合:小数点第一位四捨五入>

疾患

有
無
検査陽性
75人
37人
陽性合計:112人→陽性率2.9%
検査陰性
1人
3678人
陰性合計:3679人

合計76人
合計3715人
検査合計:3791人

【結論】
高槻市 尿抗ピロリ抗体 陽性率3%について、1次スクリーニングの結果のみを仮定の検証として示す。
大きくわけて、結果はほぼ正しいか、結果は正しいが陽性率が低すぎるか、結果が間違っているかの、3つの可能性がある。これらの結論は、検査の種類が異なっても、検査の種類では決まらず、感度・特異度で決まる。
1.検査結果:おおむね正しい     陽性率3%:おおむね正しい
2.検査結果:おおむね正しい     陽性率3%:検査数が少なすぎて低くなってしまった
3.検査結果:ほぼ偽陽性              陽性率3%:ほぼ偽陽性

<1.検査結果:おおむね正しい。陽性率3%:おおむね正しい。>
この結論の場合の感染率、感度、特異度は、次の通り。
感染率
0.03-0.1%
2.0-2.2%
感度
97%
99%
特異度
97%
99%
したがって「検査結果も陽性率もおおむね正しい」と主張するためには、感度・特異度とも97%の検査であったとの証明が必要で、かつ、その場合の感染率は0.03-0.1%である。または、感度・特異度とも99%の検査であったとの証明が必要で、かつ、その場合の感染率は2.0-2.2%である。

<2.検査結果:おおむね正しい。陽性率3%:検査数が少なすぎて低くなってしまった>
この結論の場合の陽性率、感染率、感度、特異度は、次の通り。
陽性率
5.9%
10.7%
12.3%
17.1%
5.9%
10%
14%
17%
20%
感染率
5.0%
10%
10%
15%
1.0%
0-1.0%
5.0%
0-1.0%
5.4%
感度
99%
99%
97%
97%
95%
90%
90%
82.4%
82.4%
特異度
99%
99%
97%
97%
95%
90%
90%
83.4%
83.4%
したがって「本当の陽性率はこんなに低くはない」と主張するためには、陽性率または感染率を上げなければならないが、陽性率を上げようとすれば感度・特異度は低いことを認めなければならない(実際の陽性率が低かった事実を動かせないため)。感染率も同様で、感染率を上げようとすれば感度・特異度は低いことを認めなければならない。

<3.検査が陽性となった結果は、ほぼ偽陽性であった。>
この結論の場合、感染率0%のことを考える。陽性率、感度、特異度は、次の通り。
陽性率
1.0%
3.0%
5.0%
10%
17%
感染率
0%
0%
0%
0%
0%
感度
99%
97%
95%
90%
82.4%
特異度
99%
97%
95%
90%
83.4%
これは、「感度・特異度」が決まれば、「ほぼ偽陽性になってしまう陽性率」にどれほど近いのか遠いのかが分かる、ということ。また、たとえば感度・特異度は95%以上としか決められない場合、陽性率5.0%を下回るときは、ほぼ偽陽性である可能性を否定できない、ということ。
「そんなに偽陽性が多いはずがない」と主張するためには、やはり感度・特異度が必要。
「偽陽性であることの証明」を求めるのは、検査のゴールドスタンダードとしては病理診断と生検検体の迅速ウレアーゼ試験となり、検査の2次スクリーニングとして使われるのは尿素呼気試験であり、それぞれ感度・特異度があって、検査である以上、偽陽性が生じる。ピロリ菌感染を否定するには、生検などの侵襲的な検査で2-3回陰性を確認しなければならない。

ただ、本質的に「病気がないことの証明」をすることは不可能で、偽陽性の統計的な可能性を否定しようとするのは、偽陽性であることの証明を強く求めなければ成り立たない検査を企画した、ということ。

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