<日本語訳>「Tuberculosis and air travel: a
systematic review and analysis of policy」から。
航空機内で結核患者から感染がどれくらい拡がるかについては、誰しも検討が困難だと思われます。確実な基準というものはありませんが、レビューがあったので、これはある程度大事な論文と考え、つたないながら日本語訳をしました。接触者健診を考えるときの一助になれば幸いです。
この論文を引用した上での私見を述べます。
このレビューを読むときに、注意すべきことがあります。まず、レビューで扱われた研究の検査方法はツ反で、中には二段階法を用いたものもあります(※二段階法とは:回復現象(ブースター現象)を考慮するため、まず2回のツ反をやっておき、回復現象を見て、この反応をベースラインとする。結核に接触したあとは、再度2回のツ反を行って、ベースラインの2回の成績と比較する)。しかし、各々の研究での陽性基準は書かれていません。ゆえに、二段階法については同一の方法で評価されたかどうかが不明です。ツ反の「陽性転化」についても評価方法が同一かどうか不明です。ちなみに、研究によって「陽性転化」を検出した検査方法にも違いがありそうですが、読みにくいので「陽性転化=ツ反陽性」と考えれば良いと思います。また、これも書いてはありませんが、ツ反の評価基準は発赤径ではなく硬結径を見ているはずです(肌の色では分からないため)。
次に、本レビューに出てくる欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、2016年にガイドラインを改めているようですので、本文に出てくる記載とは乖離があると思われます。【参考:Systematic review on tuberculosis transmission on aircraft and
update of the European Centre for Disease Prevention and Control risk
assessment guidelines for tuberculosis transmitted on aircraft (RAGIDA-TB) Eurosurveillance, Volume 21, Issue 4, 28 January 2016】
また、この論文では、「証拠」や「エビデンス」という言葉を使っていますが、この言葉は「確認」や「状態」や「結果」くらいの意味のものです。いくら事例を集めても、証拠や、根拠や、エビデンスにはなりません。せいぜい、「今までこれだけ行った接触者健診のあいだでは、機内感染は多くはなかった」というのが関の山だと思います。本文には、そのようなニュアンスで述べている抑制の効いた部分もありますが、「証拠」として述べたい著者の揺らぎも垣間見えます。
さらに、現時点では、日本での接触者健診はほとんどIGRA検査であって、ツ反ではありません。再現性の高さ、特異度の高さなど、ツ反とは異なるでしょうから、IGRA検査を用いてデータを集め提示することは日本が今後貢献できることでしょう。
さて、このレビューを受けて、日本の私たちはどうするか。このレビューの文言を「日本の現状に対して、そのままあてはめてよい」とは考えません。本文にある通り、『資源が豊富な国であっても、政策として結核の完全な制圧を目指すのではなく、結核のコントロールを目指す』ことには賛成です。また『接触者調査の目的は、結核に感染している「すべて」の人を同定することではなく、活動性結核に進行する確率が高い「最近感染した人」を同定して、検査陽性の検出レベルが人口のバックグラウンドと同じになるところまでスクリーニングを広げること』にも、賛成です。さらに『たとえエビデンスが弱いとしても一度実施されてしまうとスクリーニングをやめることが困難になる』ことも、実感しており、不必要なスクリーニングは避けたいと思います。
注意したいのは、このレビューは「スクリーニングをしないで済ませるための根拠」として、すべての国、すべての場合に、あてはめるためのものではないことです。著者の意図は、経済的に豊かな国々からの要求で、低所得~中所得国が必要以上に調査を要求され、結果としてハイリスク国での結核対策が有効でないものになってはいけない、というところにあります。
日本は高所得国であり、航空機利用客の接触者健診を実施する体制は整っています。手間を惜しまずにやれば、できます。しかも常日頃からやっている接触者健診と同じスキームで可能です(コストもあまり変わらないはず:連絡や関係職員の手間、依頼文書のやりとり、IGRA検査費用、人件費など)。そして、そもそも接触者健診は、健診を実施した結果、「感染者0人」と結論付けられても良いものです。感染したリスクが高いと判断するからこそ、接触者健診を実施するのですが、その結果、集団感染が認められなければ「あ~よかった」と胸をなでおろし、それ以降の健診拡大はやらないだけです。決して「航空機内で感染が拡がったなんて聞いたことがないから健診はやらない」ではないのです。
たとえば、健診結果から感染者や罹患者が検出されなければ健診は「無駄だった」と判断する場合、「コストをかけてまで予防することは無駄だった」という意味になります。もちろんこの考え方で良い疾患もあると思います。怖いのは、費用対効果を求めるあまり、ゼロコストを希求することです。目的は、「結核のコントロール」であって、「ゼロコスト」ではないはずですが、予防は無駄だとして航空機の健診はとにかく不要と拙速に結論付ければ、そもそも結核のコントロールは果たせなくなります。いつしか日常の接触者健診も不要と言える日が来るのかもしれませんが、それは、まだまだ先の話です。
ゼロコストを希求するならば、予防はできません。そして、「予防はできなくても構わない」という思惑には、個人の立場から反対します。
結論としては、本レビューにある通り、結核患者が航空機を利用していた場合、接触者検診を「常にやらなければならない」とするのは間違いです。ただ同時に「どんな状況でも航空機の接触者検診は常にやらなくて良い」とするのも、確たる根拠はなく、私は間違いだと思います。
確実なことは分かりません、だから、「確実なことは言えないけれど、今までのところ経験的にはこの程度なので、みんなで落とし所を探しましょう。ただ間違っているかもしれないので、今後も検討を続けていきましょう。」というのが、正確な態度かなと思います。
キーワード:結核、接触者健診、航空機、飛行機、乗務員、旅客、旅行客、搭乗、民間、フライト、8時間、ガイドライン、スクリーニング、レビュー
------------------以下、引用------------------
<日本語訳:citation>Tuberculosis and air travel: a systematic review and analysis of
policy. Abubakar I. Lancet Infect Dis. 2010;10
航空機での旅行に関するWHO国際ガイドラインは、結核のコントロールのために、塗抹陽性または塗抹陰性の肺結核患者の近くに8時間以上座っていた旅行客については、リスクアセスメントをしたあとで追跡することが必要としている。
さらに、肺結核患者は、薬剤感受性の結核の場合は2回連続塗抹陰性となるまで、多剤耐性結核の場合は2回連続の培養陰性となるまで、すべての民間航空機での旅行を禁止することを推奨している。このレビューでは、これらの推奨をサポートするエビデンスを検討し、この推奨された方法の正当性を評価する。系統的レビューで39本の研究を同定し、そのうち13本をレビューとして検討した。ほとんどの研究において、感染の証拠となるものは示されなかった。2本の研究のみ、感染についての確かな証拠を示していた。今回の分析によれば、結核の感染を疑って旅行客を積極的にスクリーニングする価値があるかどうかには疑う理由があり、結核のコントロールのためには他のことを優先して取り組んだほうが、資源がより無駄なく使えると言える。
<はじめに>
航空機での旅行の頻度はここ数十年で急増してしまい、旅行客が感染性疾患にかかるリスクも増してしまった。病原体が感染するリスクとしては、特に空気感染する病原体が大事で、保健機関や国民の不安を強める。この不安に対峙するために、WHOは結核と旅行者についてのガイドラインを1998年に示した。これらのガイドラインは、この時代に感染性のリスクが低かったことに基づいたものになり、感染症に曝露された旅行者のフォローのときに的確なアドバイスでもって情報提供することを推奨していた(訳者注:この程度のガイドラインにとどまった、の意)。
しかし、近年、WHOはガイドラインを2度も増版している。これらの新しいガイドラインでは、肺結核患者の近くに8時間以上座っていた旅行者を追跡することを推奨し、患者の結核が多剤耐性菌や超多剤耐性菌の場合はさらなる基準を設けている。くわえてガイドラインでは、患者の民間航空機での旅行を、感染性がなくなるまですべて禁止することを助言している。欧州疾病予防管理センター(ECDC)も、論文の系統的レビューを出版し、その中でWHOのガイドラインを支持し、また、さらなる基準を(たとえば症状があることを)追加調査が必要とされる状況として扱うことを推奨している。一方、イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)の2006年3月に出版されたガイドラインでは、航空機での旅行者が結核と診断されたあとは、接触者の追跡はルーチンで行われるべきものではなく、特定の場合においては、曝露された接触者には情報が提供され、結核の感染リスクが小さいことを助言されるべき、としている。ゆえに、どのガイドラインを拠り所とすべきかには、齟齬が生じている。
もっとも発生率の低い国々における接触調査は、いわゆる”stone in the pond法”(訳者注:池に石を投入して波を広げる方法、つまり輪を徐徐に広げるやり方)で、もっとも感染リスクの高い接触者のみスクリーニングして、感染の証拠が示された場合にはさらにスクリーニングする接触者の輪を広げる、という方法をとる。通常は、非濃厚接触者は、濃厚接触者の感染の証拠が示されるまでは、スクリーニングの対象とならない。これは主に、非濃厚接触者のスクリーニングは労多くしても陽性者を検出することがほとんどないことによる。航空機での旅行に関する結核のリスク調査には限界があるとはいえ、結核感染を調査したレポートはいくつか存在する。それらレポートのエビデンスに基づくWHOのガイドラインでは、塗抹陰性であれ塗抹陽性であれ、患者に接触した人をスクリーニングすることを推奨している。このスクリーニング対象者のほとんどは、通常はスクリーニングの対象とならない非濃厚接触者に相当するであろう。今回の系統的レビューと政策分析では、接触者検診と旅行禁止という国際的ガイドラインが勧める重要なルールが、感染性(かもしれない)旅行者に対して理にかなっているかどうかを評価した。著者は、結核患者からの曝露をうけた旅行者や乗務員に関する研究すべてを同定することを目標とした。
<方法:調査方法と選択基準>
Medline、Embase、Biosis、Cochrane Library、およびWeb of Scienceを使って、結核菌と疾患について次の用語のキーワード検索をした:用語は“Mycobacterium tuberculosis”, “Mtb”, “M tuberculosiscomplex”,
“tuberculosis”, “TB”, と “air travel”,
“airtravel”,“airline”, “passenger”である。また国際結核肺疾患予防連合、英国胸部疾患学会、欧州呼吸器学会の、アブストラクトとレビュー、会議の議事録のデータベースも検索した。過去のレビューを含めた論文の参考文献は追加調査としてチェックした。調査はヒトの研究に限り、言語の制限は設けなかった。
検索した結果のタイトルとアブストラクトはすべて査読した。それぞれの論文はフルテキストを入手し、結核患者からの曝露をうけた旅行者や乗務員に関する研究の場合は検討にまわした。
<データの抽出>
筆者がそれぞれの論文からデータを抽出した。抽出したデータに含んだのは、出版の詳細情報(出版年、著者、出版地)、研究種別、飛行時間、結核患者情報(塗抹情報、胸部レントゲンの空洞の有無、旅行者なのか乗務員なのか、薬剤感受性情報)、スクリーニング基準と検査、スクリーニングした旅行者と乗務員の数およびスクリーニングで陽性になった数、調査費用、および感染伝播に関する結論である。結果は3グループに分けた:感染の証拠がないもの、感染を否定できないもの(ツ反が陽性となった接触者でほかに本国で感染したなどの説明がつかないもの)、感染の証拠があるもの(ツ反が陽性転化したことを示しているもの)。
抽出したデータは上記の評価リストに照らして一覧にした。研究の特徴、感染の広がり、スクリーニングの効果、調査費用については要約し掲載した。正式なメタ解析をやっていないのは、スクリーニングの基準と診断基準が研究ごとに異なっていたからである。機内感染の有無はそれぞれベストな証拠に基づいて研究ごとの詳細を検討した統計上の不均一性や、公表バイアスを明らかにするための分析は行っていない。
<結果>
37本の研究が検索され、その参考文献からさらに1本研究が見つかり、また灰色文献から1本研究が見つかった。検索された研究のうち、16本のフルテキストを検討し、13本を分析に使った。3本の研究はデータ不足のため除外された。2本の研究では複数事例を検討している(<図:研究の選別>を参照)。そうしたところ、検討した論文の数を超える38例の結核患者と53本のフライトについてが調査対象とされた。
表1では、とりあげた研究の特徴を要約している。6カ国からの研究である。すべての調査が、肺結核患者が判明したあとで接触者をレトロスペクティブにフォローしている。調査したほとんどのフライトは、8時間より長いフライトであった(幅:最短2.5時間~最長14時間まで)。4件については患者が多剤耐性結核菌で、1件が超多剤耐性、1件がリファンピシン耐性、1件がイソニアジド耐性結核菌であった。
調査者が使える資源はあっても、多くの場合はあまり大きな接触者グループではフォローすることはできない。同定した接触者のうち追跡した率は、1.6%から100%であった(表2)。多くの例で、接触者を追跡できないのは、航空会社が提供する接触者の情報が不足していることに関連していた。多くの例で、接触者の唯一の情報は、出発した国の旅行代理店の情報だけで、目的地の国で追跡できるだけの情報はなかった。最も成功した調査は、CDCが行った研究で、FFPを利用している米国在住者を調べたものであった。
11本の研究で、単独事例集を報告し、旅行者からの結核感染の可能性を調査していることが特定された。1本の研究で、6件の事例調査について報告し、このうち3件はそれぞれ別の論文として公表された。もう1本の研究は、24件の調査結果について報告した。41件の事例を検討した13本の論文のうち、2本の研究だけは、初発患者が塗抹陰性または塗抹結果が不明である事例も調査した。塗抹陰性患者に曝露された結果、航空機での旅行で接触者に結核感染が広がったことを報告した研究はなかった。
7本の研究は機内感染のエビデンスを示していなかった。感染を否定できなかったケースでは(表1)、すべての初発患者は感染性の結核患者だった。4本の研究が、全員で10人の接触者のツ反が陽性転化したことを示したが、これらのツ反が陽性転化した説明はつかなかった。ツ反が陽性転化した説明がつかない人のうち、一人は結核罹患率の高い台湾からの旅行客で、初回のツ反により以前の結核による反応が高められたことが陽性転化した理由かもしれない。(訳者注:ツ反の回復現象、ブースター効果)。もう一人は、乗組員の間で結核感染があり、航空機以外の場所でお互い曝露させあっていた可能性がある。しかし、2本の研究では、飛行中に感染したことを示す良い証拠を示している。Kenyonらの研究が、いまのところ最も信頼できる感染の証拠を示している。4人の結核曝露は低リスクであってもツ反が陽性転化したが、それのみならず、この4人は結核患者の近くにすら座っておらず、特に近くを頻繁に通っていたわけでもなかった。CDC(Miller)による他の報告では、257人のスクリーニングされた旅行者のうち、6人が長距離のフライトで塗抹陽性患者に曝露した後にツ反が陽性転化したことを示した。航空機内での曝露のあとで活動性結核の発症が診断されたという報告はなかった。
スクリーニングにかかる費用について報告している研究は2本だけである。最初の1本、Vassiloyanakopoulosらは、144人分の調査に$4000(米ドル)と300時間のスタッフの労働時間をかけて、感染拡大の証拠がなかったことを示したと報告している。同様に、MacFarlandらは、1992年に、$25000(米ドル)以上と、600時間のスタッフの労働時間をかけて、152人の旅行者を調べて感染拡大はなかったと報告している。費用対効果の研究はどこにも存在しなかった。
<ディスカッション>
このレビューでは、航空機の旅行で結核感染拡大の証拠を示すには限界があることを示した。13本の論文を評価して、2本だけが感染拡大の証拠を示せていた。全研究で4328人以上の旅行者が対象となった。2761人以上の旅行者と乗務員のうち、ツ反が陽性転化したのは10人だけだった。いままでのところ、接触者の中から活動性結核の発症を検知した例はなかった。証拠は限定的なのに、国際ガイドラインでは、塗抹陰性および陽性の肺結核患者に曝露された旅行者はスクリーニング検査をするよう推奨している。他の専門家の経験によれば、たとえエビデンスが弱いとしても一度実施されてしまうとスクリーニングをやめることが困難になる、と訴えている。だからこそ、(スクリーニングする、しない、という決定について)その政策から引き起こされるであろう結果を検討しておくことが重要である。
あるモデル研究では感染のリスクを、1000人に1人と試算している。一人の患者が結核を感染させる可能性は、塗抹検査の結果、接触歴、接触時間、共有した空間と排気の状況、および曝露を受けた人の感染のしやすさなどのいくつかの要因によって決まる。塗抹陰性患者は家庭内では10-20%の感染があるとされる。効果のある抗結核薬で治療を受けた患者で、異なった日の喀痰塗抹検査の結果が3回陰性の場合は、感染の可能性は非常に低いと言える。同様に、接触者の危険性を接触度合の観点から順位付けしようとする場合、塗抹陰性患者の接触者といった非濃厚接触者からスクリーニングすることは効果が低いだろうといえる。
航空機の中は狭い密室であるけれど、家庭内での感染や毎日同じ行程で通勤・通学する場合に比べれば、接触している合計時間は相対的に短い。さらに、病院とは異なって、ほとんどの場合、航空機の中には免疫力の弱い人はおらず、また事前に持病を知ることも困難で、優先順位付けをして免疫不全や持病があるなどのリスクの高い人の可能性をなくすことも困難である。
現代の航空機内で感染性をさらに緩和する要素としては、不規則に変動することのない空気の流れを生む空調システムがある。国際基準はないけれども、長距離飛行に使われる多くの航空機はHEPAフィルターが設置されており、0.3um以上の細菌をフィルターで除外して結核を除去し、感染リスクを減らしている。さらに、客室には、1時間に15分以上という、多剤耐性結核菌に使われる陰圧室の場合よりも長い時間動く空気交換機がある。
疾病の頻度と有害転帰の重大性を評価し、そのリスクが高ければ、資源集中型の接触者の調査を含めた公衆衛生上の介入をすることは、理にかなうだろう。航空機で旅行中に結核菌へ曝露されることは、特に結核の高まん延国を含まないフライトでは、めったに見られない。しかしながら、航空機での旅行の大部分は、結核の高まん延国での発着を含んでいる。航空機内での結核のほとんどは、保健機関に認識されていない、あるいは、認識することができない。したがって、航空機内での感染が認識されていない可能性はある。幸いにして、活動性結核のほとんどは治療することができる。しかし、多剤耐性あるいは超多剤耐性結核の患者は、さらに積極的な調査をすることが当然と言えるだけの十分な有害転帰となる。残念なことに、多剤耐性や超多剤耐性結核菌のLTBIの治療のエビデンスは限定的で、国際的に認められた治療レジメンはない。結核菌に曝露された人には、活動性結核を発症していたとしても、早期発見、早期診断のためには、情報提供されることが推奨される。
2本の研究からの限られたデータが示しているのは、ツ反が最近陽性転化したことをもって検査すれば、だから結核症が進行しうると言えて、結核菌に曝露された航空機の接触者が特定されるべきかもしれないことだ。ツ反が陽性転化した人の場合は、LTBIの段階から治療をする価値がある。しかし、航空機の接触者フォローが実行できるかどうかは、旅行者情報の不足や、国家間の情報共有の複雑さ、そして通常は感染のリスクが低いといわれている接触者間の固有の応答の悪さ、が限定要因となっている。一般に、家族以外の接触者調査からの公表データによれば、接触者健診は有効性がさまざまであることが分かる。56000人の接触者を調査した米国の研究では、活動性結核を発症したのは1%で、LTBIと診断されたのは23%であった。これは10倍換算に匹敵し、今回のレビューでは2761人の対象者のうち活動性結核を発症した人はいなかった。このような状況では、接触者調査の目的は、結核に感染している「すべて」の人を同定することではなく、活動性結核に進行する確率が高い「最近感染した人」を同定して、検査陽性の検出レベルが人口のバックグラウンドと同じになるところまでスクリーニングを広げること、といえる。実際に、IGRA検査が陽性であることは、単に免疫システムが準備できていることを意味するに過ぎず、最近感染した結核菌によるLTBIであるとは意味しない(訳者注:だからバックグラウンドはゼロにはならない→過去に感染した人も検査陽性となるため)。
航空機での結核感染の防止に関しては、介入効果を調査した研究がない。あるモデル研究では、感染者から15席はなれていれば感染リスクは非常に低く、2倍の換気でさらにリスクを減少させることが分かった。同様の報告をしているもう1つのモデル研究では、感染者や濃厚接触者がマスクをしていなかった場合は感染が減らなかったとしている。これらの指標は、感染の可能性のある旅行者には使えそうではあるが、関係機関は感染源となる患者の情報を旅行前からは知りえそうにない。旅行者が感染性結核に罹患していることが分かっている場合は、WHOはその患者が民間航空機を使わないように推奨している。
塗抹陰性の結核患者の場合は、航空機の旅行中に曝露した接触者の結核感染リスクが上がることを示した研究はなかった。したがって、これらの接触者をスクリーニングすることを正当化することは困難である(表3)。結核の自然歴および旅行後の結核感染リスクの調査の常として、続発する結核がないことを証明することは、非常に困難である。しかし、限定的な感染環境では病気の進行リスクは非常に低いと言える。
ByrneらはBritish Airwaysのデータを用いて、旅行者の結核の有病率を、10万人あたり0.05人(高いところではアフリカに向かう航空機は10万人あたり0.36人、インドに向かう航空機は10万人あたり0.35人、低まん延国に向かう航空機はとても低い有病率という幅をもって)と試算している。乗務員の有病率は10万人あたり7.69人であった。試算された5年間の全旅行者1億9106万人中では、数百人の旅行者が結核に罹患したまま旅行したことになった。Kenyonらは、1994年7月~12月にかけてこの期間に届け出のあった30例の結核症例に基づくと、少なくとも2万6千人に1人の旅行者が結核に曝露されたと計算した。
Vassiloyanakopoulosら、および、McFarlandらによる調査にかかった費用を、結核罹患中の旅行者の推定数にあてはめてみると、たとえ結核患者が過去最も感染性が高い最悪の想定をしたとしても、非常に非効果的であると示唆したものになった。
多くの国において、中所得国も含め、結核の負荷はまだまだ大きい。これらの国の多くには、資源が豊富で負荷の少ない国々からの要求で、資源集中型の健診手法に従うことが期待されている。必然的に、調査が行われるときは、資源は、他の結核関連の調査やもっと効果のある健康診査から流用・融通される。この流用・融通は、国の政策として結核の完全な制圧を目指しているところでは正当化されるかもしれない。一方、資源が豊富な国であっても、国の政策が結核の制圧ではなくコントロールである場合は、これらの調査を優先して行うことを正当化するのは困難であろう。
航空機への搭乗自体を避けるために旅行者と公衆衛生上の結核調査をすることは、個人の人権に影響をもたらす。患者が感染性で、感染拡大防止のための適切な治療を拒否した場合は、搭乗拒否をして他の旅客の健康を守ることは正当化される。一方、多くの人は、社会的、経済的、ほか様々な理由で航空機を利用せざるをえない。航空機利用のニーズは、旅行者が訪問している国では治療の無料化が実現できていないという失策と関連しているかもしれない。このような状況で、WHOのガイドラインが示す通りの全面的渡航制限は、人権を侵害するかもしれず、WHOのガイドラインが示す渡航制限解除基準を満たさない状況で非常に高額となる特別輸送が唯一の利用可能な対策であった場合は、特に人権侵害となりうる。このような旅行者には、少なくとも2週間の治療後に渡航許可を与えることは、薬剤耐性菌でない限り、妥当と思われる。
塗抹陰性だが感染性の可能性がある患者が結核と診断された場合の、接触者の調査は、とある米国人の旅行者にうっかりして起きたように、初発患者の個人情報の漏出を招くかもしれない。公衆衛生上の目的のために個人情報を公開することは、本物の公衆衛生上のリスクが存在する場合は、通常は許容されているが、塗抹陰性患者の場合にはそれを正当化することは困難である。我々が拠り所とする公衆衛生政策の在り方が、哲学的、倫理的理由からさらに深く検討されるためには、この状況はよい一例である。
免疫不全の人や感染後まもない人は、そうでない人に比べて、結核菌に罹患したあとで活動性結核を発症することは多いとは言え、健康な人が結核菌に罹患しても活動性結核を発症することは少ないと考えられている。したがって、たとえ感染者であっても、活動性結核を発症するリスクは一生のうちでは小さい。さらに、ツ反の特異度の低さが示すように、最近になってツ反が陽性転化したことを示せる人以外ならば、多くのツ反陽性者は、偽陽性となる。これらの人たちは、INHによる予防内服を不必要に施行され、副作用による肝機能障害や死亡(特に高齢者)の危険性に晒されているかもしれない。IGRA検査には偽陽性を減らせる可能性があるが、的中率についての論文は限られている。
今回のレビューでは、レビューで扱った研究の質に限界がある。なぜなら、すべての研究が観察研究であり、ほぼコントロールグループの設定がなく、バイアスを最小化するための手段がまったく講じられていないことによる。さらに、いくつかの研究では、積極的フォローアップをすべての旅行者にしたのではなかったし、またはツ反の2段階法を用いて陽性転化を判定している研究もあり、感染性を判定する上での限界となっている。そうはいっても、これらの研究で明らかになったのは、旅行客の追跡の困難さと、それゆえ調査を資源集中型にすることの妥当性、である。このレビューでのもう1つのリミテーションは、出版バイアスの形式的評価がないことである。灰色文献を調べて同定されたいくつかの調査研究は、ECDC出版レビューに掲載されていた。今回のこのレビューには、これら灰色文献を調べて同定されたものは、転帰に関するデータがなかったため、含まれていない。心配の強い患者は保健機関では強く主張するため、今回のレビューで言及した感染率の試算では、本当の感染率を多く見積もり過ぎているかもしれない(訳者注:日本人なら逆も考えますが。)。逆に、追跡が困難な人こそ、より貧困な地域から来る、より旅行の頻度の低い旅行者であるかもしれないので、(訳者注:発症や感染を検出する機会が減るため)結核のリスクが最も高くなりうる。また、旅行でLTBIに罹患した人の予防内服の効果については、どの研究も報告していないので、今回のレビューでは評価できていない。
<結論>
本レビューでは、航空機での結核感染のエビデンスは限定的であることを示した。WHOガイドラインではリスク評価の必要性と、可能ならば各国のガイドラインを利用することを推奨している。多くの国において、中所得国も含め、結核の負荷はまだまだ大きい。これらの国々の多くは、航空機での結核感染を調査する資源を持っていない。本レビューでの分析で言えるのは、旅行者を積極的にスクリーニングする価値を疑う理由が存在しており、スクリーニングのための資源は、他の結核コントロールのための優先事項に使った方がよく、結核関連のミレニアム開発目標がすべて達成されるために使った方が良いということである。
<利益相反>
本レビューの著者は、WHOガイドライン第3版のワーキンググループのメンバーであり、欧州疾病予防管理センター(ECDC)の航空機旅行における結核対策ワーキンググループの議長である。
<図:研究の選別>
39本が関連性のある研究とした
37本はデータベースから検索
2本は参考文献から
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↓→→→→→→→→→→→→→→→→→
↓
↓
↓
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→39本中、23本を除外した
14本はガイドラインのレビューだった
7本は結核関連ではなかった
2本はモデル研究だった
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16本をフルテキストの検討にした
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↓
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→3本はデータ不足で除外した
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13本を本レビューに使った(そのうち2本には複数の事例が含まれている)
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<表1:公表されている航空機旅行での結核感染事例>
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初発患者
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飛行の詳細
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スクリーニング対象者
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スクリーニングした人数
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陽性者数
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結論
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【CDC1995(USA)】※
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6個の事例調査
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乗務員:塗抹陽性
(Driverら)
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複数回飛行
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乗務員に対するツ反
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感染性の時期に一緒に働いていた212人、一緒に働いてない247人、搭乗頻度の高い旅行客59人
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ツ反のコントロール群は4.1%陽性に対して、接触者は25.6%。2人の乗務員が陽性転化、4人の旅行者がツ反陽性。
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乗務員には機内感染が広がったが、旅行客に機内感染が広がったとまでは結論づけられなかった
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旅行者:塗抹陽性、多剤耐性
(McFarlandら)
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9時間
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すべての旅行者および乗務員
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343人中79人
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8人がツ反陽性(BCG接種歴あり、または接触者)
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機内感染のエビデンスなし
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旅行者:塗抹情報不明
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4.5時間
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すべての旅行者
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応答があった92人中22人
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22人中、10人はツ反陽性(うち9人は米国民ではない)
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機内感染のエビデンスなし
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旅行者:塗抹情報不明
(Millerら)
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8.5時間と1.5時間
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すべての旅行者および乗務員
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219人中142人
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142人中32人がツ反陽性で、そのうち5人が陽性転化(全員BCG接種歴あり)
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機内感染を否定しきれず
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旅行者:免疫不全あり、塗抹情報不明
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3時間と9時間と3時間と0.5時間
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応答があった345人中87人(米国在住者)
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14人がツ反陽性
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機内感染を否定しきれず
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旅行者:塗抹情報不明
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7時間50分と2時間
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すべての旅行者および乗務員
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応答のあった925人の米国在住者のうち755人
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短いフライトでは113人中3人がツ反陽性、長いフライトでは257人中14人がツ反陽性(6人が陽性転化、4人が米国出身)
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旅行者から旅行者へ機内感染したエビデンスとした。
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【Kenyonら1996(USA)】
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接触者のフォローアップ
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旅行者:塗抹陽性、多剤耐性結核菌
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8時間と1.75時間と8.75時間。HEPAフィルターあり
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米国在住のすべての旅行者および乗務員
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スクリーニングした接触者1042人中760人
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731人の旅行者および乗務員のうち、29人がツ反陽性(うち4人が陽性転化:2人は陽性転化するリスクがない人で、2人は初発患者の近くの席でリスクが高い人)。
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感染性旅行者から、乗務員および旅行者に感染したエビデンスとした。
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【Driver 1994(USA)】
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後ろ向きコホート研究と多変量解析調査
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乗務員:塗抹陽性、空洞あり
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167回のフライト:累積曝露は乗務員が10.8時間以上、旅行者は平均3.8時間
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すべての旅行者および乗務員
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乗務員274人中266人、旅行者71人中62人
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初発患者と接触したことしか感染リスクがない乗務員212人中23人がツ反陽性、2人が陽性転化。感染リスクが低い旅行者59人中4人がツ反陽性
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乗務員へは感染したエビデンスとし、旅行者には感染したエビデンスとしての可能性があるとした。
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【Wang 2000(台湾)】
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接触者への後ろ向き調査
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旅行者:塗抹陽性、空洞あり、治療開始後1カ月
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14時間
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すべての旅行者および乗務員
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旅行者277人中225人
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9人が陽性転化、うち3人は20席以上離れていた。173人は初回からツ反陽性
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旅行者に機内感染したエビデンスとした。
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【Millerら 1996(USA)】
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曝露した接触者の後ろ向きフォローアップ
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旅行者:塗抹陽性、培養陽性、両肺野に空洞あり、降機4日後に診断された。
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8時間22分と1時間22分。HEPAフィルターあり
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2つのフライトに搭乗した米国在住者
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接触者219人中169人(旅行者153人、乗務員16人)が在住者で、そのうち応答があった142人を対象に。
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22人は過去にツ反陽性あるいは結核既応があり除外した。29人は初回からツ反陽性(4人は国内線の利用のみ)、5人は陽性転化(全員国際線利用した米国民以外で、ブースター効果を受けた可能性あり)、86人は陰性(活動性結核なし)。ツ反陽性となった34人中、米国出身は3人のみ、陽性転化した5人は全員米国以外の出身(ソ連、ドイツ、インド)、2人のツ反陽性者は結核への曝露が否定された。
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機内感染を否定はできないが、証明することもできなかった。
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【Moore 1996(USA)】
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接触者への後ろ向き調査
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旅行者:肺結核または咽頭結核、塗抹陽性、空洞あり
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2つのフライト(それぞれ1.25時間)、HEPAフィルターあり
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すべての旅行者および乗務員
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旅行者146人中110人、乗務員14人中10人
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米国あるいはカナダ出身の90人のうち3人がツ反陽性、米国以外出身5人のうち2人がツ反陽性
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機内感染を否定できず、証明もできず。
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【Parmet 1999(USA)】
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副操縦士の半年間にわたる後ろ向き調査
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操縦士:活動性肺結核、塗抹情報不明
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数回にわたる国際線、時間は様々(合計60時間以内)
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半年間のすべての副操縦士
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副操縦士48人、旅行客なし
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ツ反の陽性転化なし、活動性結核なし
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機内感染のエビデンスなし
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【Beller 1996(USA)】
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接触者のフォローアップ
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旅行者:塗抹陽性、感受性あり
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2.5時間
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すべての旅行者および乗務員
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接触者12人
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1人がベースラインのツ反陽性、陽性転化なし
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機内感染のエビデンスなし
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【Whitlock 2001(ニュージーランド)】
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接触者への後ろ向き調査
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旅行者:塗抹陽性
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8時間(フライトA)、8時間20分(フライトB)、HEPAフィルターあり
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フライトBはすべての旅行者および乗務員、フライトAは座席の近い旅行者
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接触者238人中206人(フライトAは67人、フライトBは171人)
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24人がツ反陽性だがすべて機内感染以外の理由で説明がついた。4人が陽性転化したが機内感染以外の理由で説明がついた。
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機内感染のエビデンスなし
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【McFarland 1993(USA)】
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接触者への後ろ向き研究
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旅行者:塗抹陽性、空洞あり、多剤耐性結核菌
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8時間以上
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すべての旅行者および乗務員
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18人の乗務員を含む343人が搭乗し、米国からの旅行者97人中91人と、米国以外からの旅行者246人中55人に連絡がとれた。
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米国からの旅行者で59人中1人がツ反陽性(BCG接種歴あり)、英国からの旅行者で20人中2人がツ反陽性(他にも曝露歴あり)。
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機内感染のエビデンスなし
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【Vassiloyanakopoulos
1999(ギリシャ)】
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接触者への後ろ向き研究
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旅行者:塗抹陽性、INH耐性
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8時間以上
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すべての旅行者および乗務員
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旅行者144人と乗務員4人
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ベースラインとして検査した3人のうち1人がツ反陽性、乗務員4人は全員陰性。旅行者は2回目のツ反を拒否した。
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機内感染のエビデンスなし
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【Chemardin 2008(フランス)】
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接触者への後ろ向き調査
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塗抹陽性、空洞あり、超多剤耐性結核菌、家族への感染あり
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5時間
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近くにいた旅行者
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旅行者11人
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旅行者4人は胸部レントゲンで異常なし
LTBIのスクリーニングは実施していない
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機内感染のエビデンスなし
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【Abubakar 2008(英国)】✝
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いくつかの事例の後ろ向き調査
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初発患者24人中19人が塗抹陽性、2人が多剤耐性、1人がRFP耐性
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平均8.9時間(最短8時間、最長11.7時間)
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初発患者と同じ列、および前後2列にいた旅行者
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感染性のある状況で接触した5人
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4人はツ反陰性
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機内感染のエビデンスなし
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【CDC1995(USA)】※の研究は6件の事例を扱い、のちにDriver、MacFarland、Millerらによって報告された事例も含んでいる。このCDCの研究で報告された数字はDriver、MacFarland、Millerらの数字とは異なっているが、それは調査された時期が異なったためと考えられる(調査研究は別々の時期に発表されている)。
【Abubakar 2008(英国)】✝の研究は、24件の事例を扱っている。
<表2:スクリーニング結果※>
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報告年
|
国
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スクリーニング対象者数
|
実際にスクリーニングした人数
|
ツ反陽性者数
|
ツ反が陽性転化した人数
|
陽性転化した説明がつかない人数
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Driverら
|
1992
|
米国ほか
|
274
|
266(97%)
|
23
|
2
|
2
|
MacFarlandら
|
1992
|
米国
|
343
|
79(23%)
|
8
|
0
|
0
|
Millerら
|
1993
|
米国、ドイツ
|
169
|
142(84%)
|
34
|
5
|
0
|
CDC (MacFarland) ✝
|
1993
|
米国、メキシコ
|
92
|
22(24%)
|
10
|
··
|
··
|
CDC (Miller)
|
1994
|
米国ほか
|
925
|
755(82%)
|
18
|
6
|
4
|
Kenyonら
|
1994
|
米国ほか
|
1042
|
760(73%)
|
29
|
4
|
4
|
Mooreら
|
1994
|
米国
|
160
|
120(75%
|
5
|
··
|
··
|
Bellerら
|
1994
|
米国
|
12
|
12(100%)
|
1
|
0
|
0
|
CDC (Driver) ✝
|
1994
|
米国、台湾、日本
|
345
|
87 (25%)
|
14
|
··
|
··
|
Parmetら
|
1995
|
米国ほか
|
48
|
··
|
··
|
0
|
0
|
Whitlockら
|
1996
|
ニュージーランド、米国
|
238
|
206 (87%)
|
24
|
4
|
0
|
Wangら✝
|
1997
|
米国、台湾
|
277
|
225 (81%)
|
173
|
9
|
0
|
Vassiloyanakopoulosら✝
|
1998
|
ギリシャ、タイ国
|
144
|
24 (17%)
|
1
|
0
|
0
|
Chemardinら✝
|
2008
|
フランス、レバノン
|
12
|
11 (92%)
|
··
|
··
|
··
|
Abubakarら✝
|
2008
|
イギリスほか
|
247
|
4 (2%)
|
0
|
··
|
··
|
※いくつかの研究では、データを複数事例から得て報告している。この表では、6件の事例を報告したCDC(MacFarland、Driver、Millerら)のデータは、詳細に分けて載せている。それは、これらの研究が、15本の研究や事例から、スクリーニング結果を載せるために十分な結果を得ているからである。
✝高まん延国へのフライトを含んでいる
<表3:結核と航空機旅行のためのWHOガイドライン第3版が示す推奨>
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推奨または政策
|
エビデンスの有無
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航空機利用後、塗抹陰性の結核が判明した場合
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初発患者と同じ列、および前後2列に座席のあった人をスクリーニングする
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なし
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航空機利用後、塗抹陽性の結核が判明した場合
|
初発患者と同じ列、および前後2列に座席のあった人をスクリーニングする
|
なし
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航空機利用前の場合
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搭乗予定者の感染性がなくなるまでは飛行時間にかかわらず航空機利用の旅行は禁止:感受性のある結核なら2回の塗抹陰性を確認するまで、多剤耐性や超多剤耐性ならば2回連続で喀痰培養陰性が確認されるまで。
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限定的にあり
|
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