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2017年12月4日月曜日

第22回日本子ども虐待防止学会

2016年に第22回子ども虐待防止学会に参加したときの備忘録があったので、メモとして掲載。
京大の山極先生のお話と、三重県児相の話が、とても良かったなあと今でも思う。

2017年の学会には、都合で行けなかったので、次こそは行くぞ!
第24回日本子ども虐待防止学会は、岡山です。
http://jaspcan.org/annualconference/annualmtg24

以下。
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第22回日本子ども虐待防止学会

<大会特別講演 京都大学総長 山極>
20世紀の「ゴリラは暴力的」は誤解だった。1980年代以降、ドラミングは「自己主張」だと分かった→人間と同じ。
ヒトは食べられて進化した。
ゴリラは負けず嫌い→「勝とう」とすることと、「負けない」ことは、同じことではない。「勝とう」→友なし。「負けない」→友あり。
類人猿は食物を分配する。サルとゴリラはケチ、ヒトは気前がよい。

熱帯雨林を離れたヒト→エサが分散している。木がなく動物に狙われる。だから、これらの課題を解決する必要があった。
ヒトの赤ちゃんは、母につかまっていられる力はない→ヒトの親は、赤ちゃんと離れて育児する→共同保育する必要があった→赤ちゃんと大人の間に、「共感」が必要になった。→ここから、学習の必要のない音で、「共感」を生む方法が生まれた→これが「音楽」の起源である。

<法律>
親権
民法818-1=成年までは父母の親権に服する、民法820=子の利益のために、子の監護(育てる)、および教育を行う権利&義務。
親権は、基本、父母の共同行使。ただし精神疾患などあれば一方の親でもよい。
保護した場合の親権:児童福祉法28条では、親権は止まっていないが、「返せ」という権利は、事実上ダメで、親権は止まっていると考えられている。
親権停止は、何度でも申し立てができる。申し立てるのは、子、親戚、児相所長など。
親と子の関係にあるのは、「親権」「相続」「扶養」の3つあるが、このうち「親権停止」では、「親権」のみ止まり、「相続」と「扶養」は止まっていない。すべて止めるのが「特別養子縁組」。

<和歌山県 小野善郎>
虐待に、心理的コンポーネントがなければ、虐待とは言えない。
だから、あえて「心理的虐待」は、定義する(分類する)までもない。1980年~90年代にかけて議論されたが、実にならなかった。でも、「心理的虐待」の分類だけが、残ってしまった。

<精神疾患を抱えた親や、その子供への対応について、要対協の役割と限界を考える>
ある精神科医は「虐待を知ったからには、関わらないわけにはいかない」と言っていたが、これでは弱い。プロなのだから。精神科医の腰の重さの自覚はあるが、役割への責任感がほしい。「最前線は精神科医だ」なんて、ウソです。そんなこと言っては、精神科医が天狗になるだけです。
「虐待ではない」と言い切るのは、あぶない。

精神科医の考えること3つ
「民事訴訟のリスク」→これはみんな同じ。0リスクで仕事するつもり?
「要対協に上げる前、という言い訳」→上げればよい。「上げる」というシステムにすればよい。
「個人の疾患」に集中している→Drはそんなにエラくない。
結論:心のケガ、身体のケガ、どちらもアセスメントを。

<三重県児相の取り組み>
・判断を間違ってはいけないと思う:保護しても安全だった、だから、まちがえた→ではなく→保護しなくて死んだ、がまちがい。
・加害者は、本当に親か、にこだわらない→加害責任は、はやくから警察に任せる。
・児の安全にフォーカスする。(オーバートリアージは許容されるby平野)
・保護することに慣れていないと、保護しない理由を探すようになる→だから、基準があると、保護がブレない。

<学校での虐待対応>
吹田市
要対協における主担機関を、子どもの所属機関が組織として担う。保育園なら保育課、小学校なら市の教育委員会がなる。(保育園や学校はならない。)→これでやれるくらい、吹田市は連携ができている。
「よくできる先生1人とSSW」ではなく、組織対応にする。
学校にも福祉の視点を入れることが大切。

<弁護士 峯本耕治>
要対協は、共同・協働プランニングの場。全ケースを、全員で、共同プランニングする場。
基礎情報の収集は、面倒でも、必ずやる。すべての基礎情報を集める。

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