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2016年12月7日水曜日

保健師さんへ:カルテやサマリーの記録に使うSOAPの構成と書き方

保健所に赴任してから、ケース対応の記録の書き方については、もっと分かりやすくしたいと早くから思っていました。
最近、ようやく着手しはじめたので、ここに簡単なハンドアウトを載せておきます。
私のオリジナルですので、改善の余地はあります。

記録の書き方というものは、いろいろな方法があるかとは思いますが、とにかく「型」をあわせて記録するためのツールの1つが、これです。

具体的にケースでどう使うかは、やりながら工夫して書いていくしかありませんが
「SOAPって何?」「この記録の構成はどうなってるの?」と見慣れない方への説明としてはこれで十分かと思います。

以下。

<カルテやサマリーの記録に使うSOAPの構成と書き方>
:保健師が聞き取った事実、患者の自覚的訴えや症状。
:患者に対する他覚的所見や他覚的状況、保健師が関わって起きた事柄や保健師が見たもの、1週間の動き
(SとOに事実をすべて記載し、何が起きたかSとOを見ればすべて分かるように書きます。)
:SとOから問題点をすべて抽出しプロブレムリストを作成します。さらに問題点1つ1つを評価し、対応を考え、どうするか書きます。ここは自分たちの考えを書き、何をするかをまとめる部分です。最も大切で、知恵を絞る部分です。
:Aから今後の予定を拾い出し、項目にします。やるためのスケジュール管理です。

2016//>カルテorサマリー
S
Sは、保健師が聞き取った事実、患者の自覚的訴えや症状。
【主訴】   
【現病歴】
【既往歴】
【内服歴】
【職業歴】
【経済歴】  
ADL】食事: 排泄: 歩行:
【身長・体重】
【嗜好】ビール、タバコ等
【健診、受診など】
【家族歴・家族構成】
O
Oは、患者に対する他覚的所見や他覚的状況、保健師が関わって起きた事柄や保健師が見たもの
【患者のできごと、様子】
【身体所見】
【検査所見】
【関連機関の現況】
【関係法律の整理】
A

S
O
【本人・家族のプロブレムリスト】SとOから問題をすべて抽出する。そして評価し解決策を考えどうするか書く。
<本人>
#○○○
#△
#□
#☆
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
#○○○     ←問題点
精神症状は・・・ ←評価と解決策


#△
かかりつけ医は次回受診に・・・


#□
施設では・・・

#☆
母および妹との面接の結果、・・・

【関連機関のプロブレムリスト】
<○〇〇課>

<△△△学校>


【法律上のプロブレムリスト】
#〇〇法
#△△法
-----
【過去のリスト】←解決したプロブレムリストはこの下に移す。
-----
【想定するシナリオ】考えた結果、避けたい最悪なシナリオ3つ、実現できそうなシナリオ3つ。
<避けたいシナリオ>



<実現できそうなシナリオ>


【現在の取り組み】いつ、何をしたか、いま自分たちがやっていることを簡潔に一覧。備忘録です。
11/17
11/20:
P

・○○について   ←項目出し:Pプランは、自分たちがやることを、忘れずにやるためのメモ。
○○さんに今後相談11/15電話する。 ←具体的にやることをAから拾い出し、スケジュール管理する。

<関係機関の動き>
・健康〇〇課:12/4に○にtel12/7午後に誰&誰で訪問し、○に△君の受診勧奨をしてみる。
・児相:12/14にケース会議。今後の方針を決める、と。
・要対協:次回12/16。出席者:誰

・最後に一言:絶対忘れたくないプラン



-----以下、追記。2016/12/26。-----

ところで、
「本人の思い」や、「本人の意見」という視点を、カルテでどう扱うか、について、何度か意見を伺いました。このSOAPの書き方が悪い、と誤解される場合もあるとかと思われますので、1点、追加で説明します。
SOAPの中で、「A」は、保健師の実力が分かる部分です。A=アセスメント、これは保健師がみずから課題を評価し、解決策を練る部分だからです。

「A」に記載する評価は、評価がきちんとできれば、何でもOKです。
たとえば、「#産後うつ」が課題なら「エジンバラ」が記載されるし、「#社会資源の整理」が課題なら「関係者のリストアップ」が記載されます。
ここで、「#産後うつ」の課題に「本人の思い:心配事はない」と記載してもOKなのです。「#社会資源の整理」に、「本人の意見:ほっといてほしい」と記載するのもOKなのです。必要なら「S」や「O」に「本人の思い」の項目を作るのもOKです。
ただし、注意してほしいのは、「本人の思い」も、「本人の意見」も、私たちはプロ目線の評価の1つとして記載します。決して、心配だから記載するのではないし、本人の希望を鵜呑みにするためでもない、ですよね。
「心配事はない」と言われてもエジンバラが高ければハイリスクです。「ほっといてほしい」と言われてもBMIが13なら致死的です。そこが評価できないと、プロとしては、悪いけど失格です(だから勉強するんです)。逆に、「本人の思い」を聞き、「エジンバラ」も取り、「ハイリスク」と言えたなら、きちんと評価でき、解決につながると言えます。これが、実力です。

型ができていない者が芝居をすると型なしになる。メチャクチャだ。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる。(by立川談志)

保健師さんの強みは、「本児の思い」や、「本人の意見」を、誰よりも聞き出せること、だと思います。
ぜひその強みを、本人や家族の支援に活かしてください。

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